強気が一変、安倍政権が「辺野古和解」に急転したウラ事情

takano
 

3月4日、辺野古基地移設問題を巡り突如裁判所の和解勧告を受け入れた安倍総理。この動きを「政権の余裕の現れ」とする意見もありますが、メルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』で高野さんは「和解勧告の内容を精査した官邸が、国が敗訴するリスクの高さを察知し腰が引けた結果」と断言、その上で沖縄県が辺野古への基地定着を避けるために取るべき対策を具体的に示しています。

辺野古「和解」はオール沖縄のひとまずの勝利である!

安倍晋三首相が3月4日、辺野古基地建設への強気一点張りの姿勢を翻して、裁判所の「和解」勧告を受け入れて沖縄県との対立を一時休戦に持ち込む決断をしたことについて、御厨貴=東京大学名誉教授は同日の報道ステーションで「安倍政権の余裕の表れ」とコメントしていたが、違うと思う。

もちろんそれは、誰もが指摘するように、6月の沖縄県議選と7月の参院選を前に柔軟姿勢らしきものを演出して世論の反発をかわしつつ、特に沖縄では辺野古移設の是非を争点から外して(1月宜野湾市長選の2匹目のドジョウ狙い!)、「歯舞」が読めない島尻安伊子=沖縄・北方担当大臣の落選を避けようという、小賢しい選挙目当て戦術という一面を持つ。しかし、それだけがこの君子豹変の理由ではなく、菅義偉官房長官が少数のスタッフと共に和解勧告の内容を精査して国が敗訴する危険が高いことを察知し、慌ててそれを受け入れることにしたというのが、もっと大きな理由である。

辺野古現地では海上とゲート前で頑強な非暴力実力闘争が続き、それを背景に「あらゆる手段を尽くして阻止する」と公言して止まない翁長雄志知事が執拗な裁判・行政闘争を展開した結果、国側は一旦撤退して態勢を立て直すことを余儀なくされたのであり、仲地博=沖縄大学学長が言うように「県が政府との争いの初戦に勝ったと言える」(3月5日付毎日)というのが本当である。

この初戦における成果をどう活かして、辺野古断念にまで行き着いていくかが課題である。

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