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Piotr Debowski/Shutterstock.com

【ドローン】政府も規制でかんじがらめにしようとは思っていないらしい

すべての都立公園・庭園での飛行が禁止されるなど、ドローン包囲網が着実に狭まりつつあります。そんな中、ドローン対策について政府の聞き取りに応えた軍事アナリストの小川和久さんはメルマガ『NEWSを疑え!』で、ジェット戦闘機のシステムを応用した落下事故対策を紹介しています。たしかにこれなら安心です!

私が提案したドローンの安全対策

4月22日に首相官邸屋上で落下しているドローン(無人機)が発見されて以来、この一見ユーモラスな形状をした飛行物体に関心が集まっています。

そんなおり、墜落事故とテロ対策を視野に、以下のような取り組みが始まりました。

飛行範囲広い機種に無線免許義務…官邸事件受け

 

政府は8日、首相官邸の屋上で小型無人機「ドローン」が見つかった事件を受け、飛行可能な範囲が5キロ以上と広いドローンの操作に国家資格の「無線技士」の取得を義務づける方針を固めた。

操縦者に一定水準の無線の知識や技術を求めることで墜落事故を減らすとともに、所有者の身元確認を容易にする狙いがある。

 

ドローンは、飛行範囲が広くなるほど出力の高い無線機を搭載する必要がある。5キロ程度を境に、求められる通信性能が格段に上がるため、国家資格が必要と判断した。資格はタクシー無線の管理者などに求めている「第3級陸上特殊無線技士」となる見通しで、取得には国家試験や養成課程修了を義務づける。資格を所管する総務省が免許対象を定めた省令を改正し、ドローン操縦者を加える方向だ。

 

飛行範囲の広い高価な機種は中国などからの輸入品が多く、一般に国内で市販されている1万~5万円前後の機種は、飛行範囲が数キロにとどまるという。このため、多くの機種は免許の対象にはならない見通しで、首相官邸で見つかった機種もそうだった。 (5月9日付け読売新聞

これとは別に、航空法などの面から国土交通省でも取り組みが始まっています。

テロ対策や首相官邸のセキュリティの面からは、私自身の経験を踏まえて4月27日号で「私にとってもドローン事件は痛恨事」と書かせていただきましたが、今回は、もう少し「身近な危険」としてのドローン対策について、政府の聞き取りに応えた内容の一部をご紹介したいと思います。

私は、ドローンの危険性を「危険自転車」への対策と同じ視点で捉え、民生面での活用を阻害しない形で解決できないかと考えています。

>>次ページ 小川さんが提案する画期的なドローン落下事故防止対策とは?

そのひとつは、ジェット戦闘機の「ゼロ・ゼロ・システム」の原理を応用した落下事故対策です。

ジェット戦闘機の「ゼロ・ゼロ・システム」は、かりに地上で射出座席を作動させた場合でも、パイロットをシートごと上空100メートルまで打ち上げ、そこでパラシュートを開いて安全に着地させるようになっています。

それと同じ仕組みの装置をドローンにも組み込むことを義務づけ、なんらかの原因で落下状態になると、自動的に20~30メートルほど上空にドローンごと打ち上げられ、そこでパラシュートが開いてドローンを軟着陸させるというものです。

むろん、軟着陸してくるドローンであっても、機種によっては結構な重量がありますから、あたった人が怪我をする可能性はありますが、軟着陸してくるドローンが警告音を鳴らし、ストロボライトを点滅するようにしておけば、地上にいる人は避けようとしますから、死亡事故にいたる危険性は大幅に減ると思います。

ドローンのローター(プロペラ)をフレームで囲って怪我を防ぐ対策や、バッテリーの持続時間(現在は持続時間25分と表示してあるバッテリーも、実際には飛行条件による消耗によって10~15分で落下)の大幅な強化などとともに、上記の軟着陸システムを導入すれば、かなりの安全性が確保できるのではないかと思います。

私に聞き取りを行った政府当局者は、規制でがんじがらめにするのではなく、テロ対策などを有効に講じながら、その一方でドローンの民生利用を促進したいとの意向でした。

私もその考えには賛成ですから、技術立国・日本として上記のような安全対策を、それも世界に先駆けて実現するよう提案した訳です。

『NEWSを疑え!』第394号より一部抜粋

【第394号の目次】
◎テクノ・アイ(Techno Eye)
・北朝鮮の「北極星」と米国の「ポラリス」
(静岡県立大学グローバル地域センター特任助教・西恭之)
◎編集後記
・私が提案したドローンの安全対策(小川和久)

著者/小川和久(軍事アナリスト)
地方新聞記者、週刊誌記者などを経て、日本初の軍事アナリストとして独立。国家安全保障に関する官邸機能強化会議議員、、内閣官房危機管理研究会主査などを歴任。一流ビジネスマンとして世界を相手に勝とうとすれば、メルマガが扱っている分野は外せない。
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