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Todor Rusinov/shutterstock

1億総中流時代の終焉。子供は無理してでも海外で育てないと貧困層に

「日本円だけでこれまで通りの生活をするには、最低今の3倍は稼ぎ続けなければいけない」。そんなショッキングな「予告」を、シンガポールの国立大学で教鞭を執る前参議院議員の田村耕太郎さんがメルマガに記しています。「そして子供には無理をしてでも海外で教育を受けさせるべき」とも。残酷すぎる現実、ご紹介します。

無理してでも子供は海外で育てるべき

当たり前過ぎることをアホの繰り返しの様に書く。これから日本は人口が減っていく。そのペースは毎年1%の減少となっていく。「なんだ1%か」という人もいるが、ざっくり過ぎるいい方をすれば、50年で半分になる、100年でなくなる、というペースだ。経済成長も、毎年生産性を1%向上させても、ゼロ成長なのだ。今の教育やインフラで日本が生産性を毎年1%向上させ続けるのは簡単ではない。

その上でより少ない人口により巨大な負債が残されるので、これからの子供たちは、ある計算によれば給与額面の90%近くを差し引かれる時代が来る。その状況では円も暴落しているだろうから、輸入物価は高騰しているだろう。この日本の貧困化をどうするかを、さすがに日本政府中枢の連中もよくわかっていて、考えてはいるが、意見交換すると相当な荒療治しかないという結論にいつもいたる。

もちろん、荒療治をもっと早く始めれば未来は多少はいい方向に向かっていく可能性がある。シンガポールに住んでいる私には日本の貧困化は痛切に感じる。シンガポールのミドルクラスの生活と同じ生活ができる日本人がどれだけいるだろうか?

>>次ページ 今、日本は世界からどう見られているのか?

シンガポールにいてエリートたちと交流すると、「昔日本のミドルクラスが豊かだった頃」という枕詞がよく使われ本当にカチンとくる。日本はここ1~2年で円を4割切り下げたので、国家大バーゲンセールをやっているようなもので、「日本人はお金持ちではなく(まだあるところにはあるが)、日本は安い場所」という見方に変わってきている。

日経平均も上がっていて素晴らしいが、為替が4割も切り下がっているとシンガポールドルで暮らす身には違うチャートが見えてくる。何度も言うが、世界の中での自分の相対的地位を見失ってはいけない。閉じた世界で生きていくことはできない。日本がどうなるかについては色々なシナリオがあるが、いずれにせよ、今のような日本人だけでやっていく世界はなくなっていくとみる。日本が繁栄しようが、衰退しようが、世界はもっと日本に入ってくる。その時に世界に出る人だけしか、自分を相対化できていなかったらどうなるか?

「世界もやがて高齢化するから」と意味もない反論めいた当たり前のことを言ってくる人がいるが、世界も高齢化するから日本の人口減少の痛みが和らぐわけでもなんでもなく、その事実はやがて日本の苦しみに拍車をかけるかもしれないだけだ。自分のことを心配せよといいたい。外貨を稼ぐ努力を積み重ねていくこともいいだろう。日本円だけの世界でやっていく人には最低今の3倍は稼ぎつづけよといわせていただく。無理してでも子供は外で育ててあげなさい。絵空事の様に聞こえる助言かもしれないが、やがて「そうしてあげればよかった」となる人がたくさん出てくると思うのでしつこく言っておく。

日本人相手に日本語でしかサービスできないベンチャーはやがてジョークのようなものになるので、国内である程度稼いでお金を集めたら、アジアの有望なスタートアップに投資しなさい。

当たり前過ぎる助言です。30億人市場相手に最初から英語でサービスしていて、本当の課題解決になっているようなベンチャーがアジアにはたくさんある。激減し続ける市場で圧倒的に1位になろうが成長するポテンシャルはないし、円ばかり持っていても将来はヤバいので、どこかで投資業に切り替えて、アジアの有望なスタートアップに投資した方がいい。30億人の中で選りすぐられた連中が最初から英語で本気でやっているサービスやプロダクトに勝てる見込みはないので、目利き力を鍛えて、彼らがまだ小さいうちに投資して仲間になっておくべき。勝てないから間違っても戦うな。一緒に成長を目指せ! 介護関連だけは日本が有望かも?

『田村耕太郎の「シンガポール発 アジアを知れば未来が開ける!」』 Vol.161より一部抜粋

著者/田村耕太郎(前参議院議員)
早稲田大学、慶応大学大学院、デューク大学法律大学院、エール大学経済大学院を各修了。シンガポールを拠点に、歯に衣着せぬ鋭い論調で「日本の良い箇所・悪い箇所」を指摘するメルマガは、世界で勝負したいという人必読。
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