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減ってはダメなものも減る。糖質抜きダイエットをしてはいけないワケ

 ここ数年流行している「糖質抜きダイエット」。しかし、無料メルマガ『一石三鳥健康メルマガ』の著者・もげらもげこさんは、自らの挫折経験から、糖質抜きダイエットの欠点と、なぜ糖質を完全に抜いてはいけないのかについて記しています。

お米 ~栄養編~

半袖が気持ちいい季節になりました。4月26日は、七十二候でいうと「霜止出苗(しもやみてなえいずる)」。暖かさが増し、苗が青々と育ち、農家が田植えの準備に活気づくころという意味です。しかし、最近は糖質抜きダイエットの流行で、日本人の国民食であるお米の人気にも陰りが見えます

専門家の間にも賛否両論がある糖質抜きダイエットですが、経験者の立場から私はこれに警鐘を鳴らしたいと思います。今回のメルマガでは、お米の栄養をお伝えしながら、糖質とはなにかと、体の中でどのような働きをしているのかについてお話しします。

まずは、お米そのものの話をしましょう。お米は大きく分けて2種類あります。玄米と、玄米からぬかと胚芽を取り除いた白米です。このぬかと胚芽こそ栄養豊富な部分なので、できれば玄米を食べたほうが体にいいのですが、味に癖があって食べにくいのが玉に傷です。

白米のほとんどは、糖質の一種であるでんぷんで構成されています。ふっくらつやつやとしたごはんを炊くには、このでんぷんの性質を制することが必要です。「はじめちょろちょろ中ぱっぱ、ぶつぶつ言ったら火を引いて、赤子泣いても蓋とるな」という言葉をご存知でしょうか。かまどでごはんを炊いていたころの、コツを伝えるための言葉です。

おいしいごはんとは、お米に含まれるでんぷんの分子が加熱によってばらけ、十分に糊化した状態のことです。沸騰まで時間をかけることで甘みやうまみを作る酵素が活性化し、さらに強火で加熱することで分子がゆるみ、火を消した後も蓋をとらずに鍋の中の温度を一定にすることで、米粒が十分に蒸らされ、極上のごはんが炊き上がります。でも、いくら極上のごはんを炊くことができても、体型のためには食べすぎ禁物です。

次に、ごはんを食べると体の中でどのような反応が起こっているのかを見ていきましょう。

まず、言葉の定義をはっきりさせます。炭水化物は、糖質+食物繊維のこと。単糖という糖の最小単位がいくつつながっているかで、大きく2つのグループに分かれます。糖質のなかで、単糖と二糖のことを特に糖類といい、もっとも体への吸収がよく、摂取量を気を付けなければならないものです。

ごはんを食べると、口の唾液、胃の胃酸、膵臓の膵液によって、でんぷんがバラバラにされて単糖になります。単糖は、小腸の毛細血管から体内へと運ばれていきます。

血糖値とは、血液100mlあたりの単糖の量のことを指します。ごはんは、血糖値を上げやすい食べ物のひとつです。血糖値が急激に上がると、血糖値を一定に保っておきたい体は、膵臓からインスリンを放出します。糖を筋肉や肝臓へと運ぶことで、血糖値を下げようとするのです。そこで使い切れなかった糖は、今度は脂肪細胞へと運ばれて憎き皮下脂肪へと変わります

糖質抜きダイエットを始めて、私はまず体力がなくなりました。だるくて眠くて、集中力がなくなっていったのです。体の中で一番エネルギーを使うのは大脳です。大脳へうまくエネルギーが回らなくなったために、起きた症状だと推測します。大脳は、肉体活動はもちろんのこと精神活動も支配します。だから、とてもキレやすくなりました。四六時中イライラして、家族に当たり散らしていたのをよく覚えています。

糖質を抜いてみて、たしかに体重は減ったのですが、もうひとつ、減ってはいけないものが減りました。それが筋肉量です。糖質制限中はジムに通っていたし、トレーナーを付けて運動していたにも関わらずです。エネルギーの消費工場の規模が小さくなるというのは、またごはんを食べ始めたときにリバウンドしやすいことを意味します。

病気等で糖質の摂取を制限されている人以外、糖質を完全に食べないことはお勧めできません。ただ、糖質の量を少し減らしたり、食べ方に工夫をするだけでいいのです。それだけで、体に負担をかけずに体型を変えることができます。

ぜひ、小さめのおにぎりを作ってください。おにぎりには血糖値を上げにくくする工夫が詰まっています。おにぎりはアツアツのごはんを握ってつくるもので、食べるときには冷めていますね。冷めると、ごはんの中のでんぷんはレジスタントスターチとよばれるものに変わります。

レジスタントスターチはでんぷんと違い、小腸で吸収されにくくなるのです。つまり、食べても脂肪になりにくくなります。さらに大腸では便に水分を与えるので、便秘解消につながります。さらに、腸の中で善玉菌の餌になります。おにぎりの中に、漬物のような乳酸菌を含んだ発酵食品を入れればさらに腸内環境が良くなりますし、免疫力が向上します。

さらにもう一工夫。オメガ3脂肪酸を含んだものをおにぎりに混ぜましょう。青魚の缶詰をごはんに混ぜ入れるもよし、荏胡麻油を混ぜても結構です。今、オイルおにぎりって流行っていますよね。オメガ3脂肪酸は、空腹を抑えて満腹感を高めます。また、脂肪燃焼を助ける効果があるのでお勧めです。

ただし、これからの時期は素手で握るとごはんが傷みやすくなります。ラップにごはんを包んでから、おにぎりをつくってくださいね。

image by: Shutterstock

 

一石三鳥健康メルマガ
ベジタブル&フルーツアドバイザーであり、薬膳に関する資格も取得に向け勉強中という筆者が、世界の食材や食習慣を「栄養」「中医学」「英語」という3つの面から紹介する、一石三鳥のメルマガ。
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