MAG2 NEWS MENU

「通じてない」わけじゃない。日本人の英語が海外で使えない真の理由

海外旅行に行ったとき一生懸命勉強した英語がまったく通じなかった…、そんな経験がある方は結構多いのではないでしょうか。しかし、メルマガ『NEW YORK 摩天楼便り-マンハッタンの最前線から-by 高橋克明』の著者でNY在住の高橋さんによると、どうやらこれは「通じていない」わけではないようです。今回は、日本人が海外旅行に行くとき、ついついやってしまう英会話の「間違い」ついて解説しています。

-英語について-特別編

今年に入って、仕事とは関係なく、プライベートで、すでに40組以上の知人が日本からNYに来てくれています。 

その多くはSNSで知り合ったり、ブログの読者であったり、初めてお会いする人がほとんど。 

(週に1回はツアコンみたいなことやってる気がする…)

そこで気がついたことですが、いまだにやっぱり日本人の英語コンプレックスは依然変わってないなぁということ。 

来られる方は若い世代ではなく、その多くが僕と同世代なので、当然、その世代の英語コンプレックスが急になくなるわけではないので当然なのですが。 

そこで今回は“観光で来た際の通じる英会話教室”を。 

僕は特に英語が得意なわけではなく、TOEICだのTOEFLだの受けた事もないので、人に英会話のポイントを教えられる資格はこれっぽっちもないのですが、少なくとも誰よりも英語で苦労してきました。 

おそらく、今コレを読んで頂いてる日本の方で、渡米当初の僕よりも英語が話せない人間はいないと思います。 それくらいヒドかった。 

そこから15年。 いちおう、日々、この街で英語で普通に暮らしてはいるので、「1週間くらいの滞在に必要な英語コミュニケーションのポイント」くらいはお話できるのではないか、と思っています。 

普通に観光名所でチケット購入したり、スターバックスで注文したり。 その程度のコミュニケーションでもっとも必要なこと気をつけることをお話しします。 

そして、それは人とのコミュニケーションでいちばん気をつけるべきことでもあります。 

それはたったひとつ…

大きな声で、ゆっくり、話してください」

ということです。 

日本から観光客が来た際、自分の英語が通じなくてパニックになったという話をよく聞きますが、実は「通じてない」ではなく「聞こえてない」可能性が非常に高いんです。 

ガイドブックに掲載されている簡単な英会話のフレーズ。 あるいはネットで下調べしてメモしていたフレーズ。 

これをタクシーの運転手やスタバの店員に使った際、緊張も手伝い、早口になり、かつ日本という国の社会生活レベルの音声ボリュームであれば、間違いなくニューヨーカーは聞き取ってもらえません。 

「通じてない」じゃないんです。 通じるんです。 そのフレーズ。 

ただ「聞こえてない」だけなんです。 

「ハッキリと大きな声で」話せば、まったく同じフレーズで通じます。 

日本の英会話教室や、英語教材で、異常に重要視している「発音」も必要ありません。 

この街で暮らして、アメリカ人と仕事をするのであれば、もちろん重要です。 

でも、1週間くらいの観光で、まったくゼロから発音の練習をして、そこから飛行機に乗る必要はありません。 

中西部の田舎や南部の郊外ならまだしも、すくなくとも「世界最大の観光都市」である、ここニューヨークでは、世界中のアクセントをもった英語が氾濫しています。 本物じゃない英語だらけの街です。 なにより言葉は時代とともに変化し、地域によりアレンジされていくものだから「本物の英語」って言葉自体がオカシイ。 

(それに1週間や1カ月、もっと言えば1年くらい教材で独学しても本物の発音なんて学べないよ)

何度も言うようですが、仕事や留学でない限り、ただの観光であれば、日本語アクセントのままの英語で十分、十二分です。 

それでも勤勉で真面目な日本人は、ちょっとアクセントを練習して、本場で通じるか試してみたくなる。 

なので、初めてこの街に来て、タクシーに乗り、飛行機の中でくちパクで練習した「通じる英会話シリーズ」に載っていたフレーズを使ってみる。 

自分でも気付かないくらいには緊張しているので、いつもより早口になる。 

しかも365日24時間、騒音とクラクションで覆われるこの街のニューヨーカーの音声ボリュームは世界の基準よりはるかに大きい。 日本で暮らしているままの音声ボリュームではとてもじゃないけど、聞き取れない。 ニューヨーカーって、つまりは日本の方が考えるより声がデカいんです。 

それに慣れてしまった僕は、たまに日本に里帰りして、同級生と合うと「声デカくなったな!」って言われます。 (在NY日本人あるある)

緊張していつもより早口で、日本基準の音声ボリューム。 

イエローキャブの運ちゃんは、当然「Whatッ!」って聞き返してきます。 

この怒鳴るような感じの「Whatッ!」

この4文字、実は日本語訳するなら「申し訳ございません、聞き取れないので、もう1回おっしゃって頂けますか」とほぼイコールです。 

もちろん、こんな丁寧な言語は世界広しと言えども「NIPPON」だけなので、ニューヨークでは「Whatッ!」の4文字。 

でも、怒ってるわけではないんです。 彼は至って普通。 でも、日本の東京無線の運転手さんに慣れてしまっている日本人は、まるで怒られたかと萎縮してしまいます。 

自分の英語が通じない!しかも、なぜか怒鳴られた…。 

そう思ってしまい、二度と英語で話そうとしない。 やっぱり自分の英語は通じないんだ。 そう勘違いします。 

ゆっくり、大きく(自分が思ってる“大きく”より、もう一段階“大きく”)ハッキリ、しゃべってみてください。 

きっと通じます。 

もうひとつ、「通じないわけながない」理由をお話しすると、その運転手、アメリカ人じゃないです(笑

ニューヨークのイエローキャブで生粋のアメリカ人はほぼいません。 

あなたと同じ“外国人”がほとんどです。 パキスタン系であり、インド系であり、同じように英語が外国語の方達です。 

彼らもまったく英語がわからず、生活のために英語を生活の中でゼロから学んでいった人たちです。 
むしろ義務教育から英語を学び、街中英語が氾濫している“英語大好き”国から来ているあなたの方が知っている英語ボキャブラリーは多いかもしれない。 

彼らにしてみても、アメリカ人の流暢なスラング入りの母国英語より、カタコト英語の方がわかりやすい。 

(ぼくもいまだにブラット・ピットの英語より、ジャッキー・チェンの英語の方がずっとわかりやすい)

実際、僕の妻は四半世紀以上アメリカで生活し、アメリカの大学を何校も卒業した、世間でいう「ペラペラ」ですが、タクシーに一緒に乗った場合に限り、僕の英語の方が運転手に通じます。 彼女のネイティブ並みの発音より、ネパール人運転手は僕の大きな声の「コロンバスアベニュー、プリーズ!」の方がありがたい。 

運転手もあなたもカタコト英語同士。 

自己流に口を丸めながら、ガイドブックに載っている「Excuse me, we’d like to go to the entrance of Central Park」って言うより、

プリーズ! セントラルパーク!

って日本語イントネーションのまま、大きな声でハッキリと言ってください。 間違いなく連れて行ってもらえます。 運転手も助かります。 

英語は言語、もっというならタダのコミュニケーションの道具だから、大切な事は「意図が伝わるか」

せっかくのNY旅行、ワクワクする飛行機の中で、付け焼き刃の独学英会話レッスンをするくらいなら、五番街のショッピングリストを作ってください。

image by: Shutterstock

 

NEW YORK 摩天楼便り-マンハッタンの最前線から-by 高橋克明』 より一部抜粋

著者/高橋克明
全米No.1邦字紙「WEEKLY Biz」CEO 兼発行人。同時にプロインタビュアーとしてハリウッドスターをはじめ400人のインタビュー記事を世に出す。メルマガでは毎週エキサイティングなNY生活やインタビューのウラ話などほかでは記事にできないイシューを届けてくれる
≪無料サンプルはこちら≫

print

シェアランキング

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MAG2 NEWSの最新情報をお届け