大麻に命を救われた末期がん患者は有罪なのか。現役弁護士に聞く

 

大麻が医療用として注目される理由は、副作用が少ないこと、法の規制の問題を除けば製造が容易で安価に入手できること、大麻には多くの品種が存在しているため患者の個人差や病状の差に適合した品種を見つけられる可能性があること、などが挙げられています。

もちろんよい面ばかりではなく、悪い面も見なければいけませんが、大麻の副作用としては、目の充血や、頻脈、喉の渇き、長期的な使用の場合は精子の濃度が低くなるといった点があるようですが、医療使用では深刻な副作用は起きないともいわれています。依存性もそれほど高くなく、耐性もカフェイン程度であるとのデータもあり、アルコールやタバコよりも中毒性がないともいわれています。

アメリカでは医療大麻を認めている州は2014年の時点で23州ありますが、合衆国連邦法では医療大麻は認められていません。カナダは対象を限定したうえで、医療大麻のライセンスを行っています。ドイツは対象を限定したうえで、使用を許可された患者を対象に販売を認めています。オーストラリアは、2016年2月に法改正を行い医療大麻を認めています。

一部医療大麻を認めるという国が増えている中で、日本では上述の大麻取締法4条により、大麻から製造された医薬品の施用を認めていません。しかし、このような世界の情勢を受けて、医療用については認めるべきではないかという意見も多くなってきています。

病気の症状の緩和のために所持および使用していた今回のケースにおいて、有罪というのは厳しすぎるように思われます。大麻取締法3条や4条が違憲であるという結論が出るのは難しいかもしれませんが、法令自体は合憲であっても、今回のケースにおいては、男性の非常に苦しい事情等を考慮したうえで大麻取締法4条が適用されるのは違憲、という結論が出されてもよいようにも思われます。今後の判決が大変気になるところです。

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