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上場コメダ珈琲の新業態「和風喫茶」も徹底した顧客目線で革命を起こす

成功するお店と失敗するお店、細かい違いを挙げればキリがありませんが、メルマガ『理央 周 の 売れる仕組み創造ラボ 【Marketing Report】』の著者でマーケティングの専門家・理央周さんはコメダ珈琲が展開する和風喫茶チェーン「おかげ庵」を例に、成功するために最も大切なことは「客観」であり、「主観」を捨てられない店は成功しないと断言しています。

お店の価値は誰が決めるのか?:困った時には客に聞け

小売店が店内を改装する時に考えるべき点は多くある。

「全体のトーンはどうするべきか」

「基調にする色が何色がいいか」

「レイアウトはどうしようか」

などといったことを、資金と相談しながら決めていくことになる。

毎月準レギュラーとして出ているZIP-FM番組のコーナーで、リスナーの方からこんな質問をいただいたことがある。

「店の内装の基調となる色について、嫁さんと意見があいません。私はちょっと鮮やかなえんじ色にして、上品な高級感と清潔感を演出したいと思っています。年齢・所得、ともに高めの客層とも合うと思うのです…。しかし、嫁さんは、そんな色じゃ商品の色が分からなくなるので、ありえないと大反対。どうやって、この論争に結論を出せばいいでしょうか?」

という質問だった。

さて、この議論どこに問題があるのだろうか?

店舗改装の戦略立案から実施までのステップ

この方のお店、どうやら服屋さんのようだが、旦那さんが言っていることと、奥様の言っていること、どちらが正しいのだろうか?

正解は奥様でもご主人でもない。

お客様が欲しい喜ぶ内装にすべきである。

つまり主語がI、すなわち私とかボクではいけない。

会話の主語が自分になっている段階ですでにアウトなのだ。

「お客様が好きそうだから」

「こういう色が好きなお客様来てほしい」

というお客様が主語の会話が日常的になされるべきである。

では、どうしたらお客様が中心の会話ができるDNAを持てるのだろうか?

ひとつの手法としては、

「一番来てほしいお客様が喜ぶ内装はどんなのだろうか?」

と妄想でいいから、お客様の視点に立ち発想していく習慣をつけることが必須である。

主観だけでは十分ではなく、客観的に見ることが重要になる。

ちなみに、客観はお客様が観ると書く素晴らしい言葉で、私の好きな言葉でもある。

店のイメージの問題で意見が対立した時は、どうやってすすめるべきかというと、まずはお客様を想像し観察することから始めればよい。

たとえば、ターゲットが45歳女性で兼業主婦の人が着る服屋さんだとしたら、そういう人たちが行きそうなところに行ってみて感じ取ってみること。

いわゆるトヨタが言うところの「現地現物」である。

方向性を決めたらあとはその道のプロに頼むこと。

女性がターゲットであれば、女性インテリアデザイナーの方などに相談することで、テイストをフィットさせていくというステップをふめばよい。

中小企業の新製品・新業態開発:コメダの和風喫茶おかげ庵のスキマメニュー

私の家の近くに、喫茶コメダの和風喫茶チェーンおかげ庵」の店がある。

曜日、時間帯に関わらず、いつも満席に近い。

ボクがよく利用するのは、モーニング

といっても、名古屋によくある「トーストとゆで卵」ではない、コーヒーなどのドリンクに和菓子がついている、「お茶の子セット」。ボクの場合、日課として朝ご飯を食べ、ペットのコーギーの散歩に行ってからひと仕事。これでだいたい10時頃になるので、一息入れにカフェに行く。

その時、ランチまでの間に小腹が空いていたら、やはりこの和菓子を食べることもできるので、おかげ庵を選んでしまう。

和風喫茶という独自性も活かしつつ、モーニングとランチの合間のスキマになる時間帯にも、しっかりとメニューを用意しているのが、売れる理由

この発想は、中小企業のビジネス拡大や商品・サービス開発の大きな参考になる。

前半でのべたように、このような発想は、「私が食べたいから」というだけでは出てこない。

普段からお客様になりきって、他のカフェに行ってみるとか、じっくりと観察してみるなどすることで、

「今は提供していないけど、やったら喜ぶメニュー」

を探し出し、実施することができる。

これこそがほかにない、イノベーションである。

こうなると価格競争や値引き合戦にも巻き込まれない

顧客観察、ぜひ明日からやってみてください。

image by: おかげ庵公式HP

 

理央 周 の 売れる仕組み創造ラボ 【Marketing Report】』より一部抜粋

著者/理央 周(めぐる)
あのヒット商品はなぜ「ヒット」したのか?あのレストランの予約は、なぜいつも取れないのか?世の中で「売れているモノや人気者」はなぜヒットするのでしょうか?毎号実際の店舗や広告を取り上げ、その背景には、どんな「仕掛け」と「思考の枠組み」があるのかを、MBAのフレームワークとマーケティングの理論を使って解説していきます。1.「中小企業経営者・個人事業主」が売り上げを上げる 2.「広告マン・士業」クライアントを説得する 3.「営業マン」が売れない病から脱するためのメルマガです。
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