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【書評】レシピ本で520万部。タニタ快進撃のきっかけは「勝手に表彰」

健康路線に特化し快進撃を続けるタニタ。その端緒は「勝手に表彰」というとても意外なものでした。なぜ「勝手に表彰」がビジネスの成功につながるのでしょうか。無料メルマガ『ビジネス発想源』の著者・弘中勝さんが詳しく解説しています。

表彰してみる

最近読んだ本の内容からの話。

ライターやトースターなど様々な商品を販売し、やがてヘルスメーターをヒットさせたタニタ社は、1987年に創業者の後を継いだ谷田大輔氏が「健康」をビジネスの中心に置く改革を行ない、長い赤字を期間を脱却することができた。

1988年、谷田社長の主導で建設したベストウェイトセンターは、2005年に閉鎖するまで一度も黒字化することはなかったが、ここでの研究成果から体脂肪などの概念が生まれ、後に社員食堂をヒットさせるきっかけにもなった。

タニタの社員食堂が、これほど注目されるようになった最初のきっかけは、2004年のことだった。

この年にタニタが創立60周年を迎えたことを受け、谷田氏は「タニタ健康大賞」というものを企画した。

その名の通り、健康に寄与した企業・団体や個人を表彰しようというものである。

第1回となる初回の受賞にふさわしいのは何かと考え、これしかないと谷田氏が思ったのが、NHKの「ラジオ体操」だった。

1928年にスタートしたラジオ体操は、国民の生活に深く浸透し、健康づくりに貢献し、タニタでも始業前にいつも行なっていた。

そこで、ラジオ体操を表彰するにあたり、どの人に授与すればいいのかをNHKに相談したところ、長年指導者として貢献してきた全国ラジオ体操連盟副理事長の青山敏彦氏を推された。

授賞式後の懇親会は、ステージ上だけではなく会場全体に50人以上のインストラクターが来て、全員でラジオ体操をやるという壮観な会になった。

>>次ページ なぜタニタの社員食堂は大成功したのか

このことがきっかけで、NHKとタニタにつながりができ、2009年にNHKの人気番組「サラリーマンNEO」の1コーナー「世界の社食から」で、タニタの社員食堂を取り上げてもらった。

NHKにおいて紹介されたことの効果は絶大で、この後、タニタの社員食堂は民法各局でも紹介された。

そんな報道を見た大和書房の編集者がオファーを出し、2010年に「体脂肪計タニタの社員食堂 ~500kcalのまんぷく定食~」が出版され、これがシリーズ累計520万部を突破する大ヒットになった。

谷田大輔氏は2008年で次男の谷田千里氏にタニタの社長の座を譲ったが、タニタはその後も東京・丸の内に「丸の内タニタ食堂」をオープンして話題となるなど、谷田氏の築いた健康路線をさらに進んでいる。

どうしてタニタの社員食堂があれほどヒットしたのか、なかなかひと言では言えない、と谷田大輔氏は語る。

ただ、一見すると偶然のように見える全ての事象は、全て繋がっているように思えるという。

企業コンセプトを「体重計」から「健康」に変えたことやベストウェイトセンターの始まりと終わり、など。

このようなことが全て、自分の中で強く連鎖して、偶然というよりも必然に近いように思える、と谷田大輔前社長は述べている。

>>次ページ なぜ「勝手に表彰」がビジネスでプラスに働くのか

出典は、最近読んだこの本です。社員食堂や体重計で知られるタニタの谷田前社長の著作。新たなビジネスの創造と発展のヒントが多く見つかります。

タニタはこうして世界一になった 谷田大輔氏著 講談社

あることについて世の中の動きを見たいなら、表彰するといいでしょう。

自分たちで勝手に、世の中のものに対して表彰してしまうのです。

表彰するということは、世の中に数多くあるものの中から「これだ」と思うものを探し当てることになります。

コンテスト形式にすると、応募してきたものという狭い範囲になってしまうから、自分たちで探していく方式を取ります。

自分たちがいいと思ったものだけではなく、誰もがその表彰に納得をしなければならないから、いろいろ吟味します。

だから、圧倒的に情報力が増すのです。

自分たちが「第1回◯◯大賞」を企画するとしたら、どんなことに貢献したものを表彰しますか?

そして、栄えある第1回の受賞者は誰ですか?

今日の発想源実践】(実践期限:1日間)

image by: タニタ食堂

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タニタはこうして世界一になった 「タニタの社員食堂」誕生秘話を交えて

 説得力が違います

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