夏休みはエアコンのない時代の惰性―。こう言い切るのは、メルマガ『武田邦彦メールマガジン「テレビが伝えない真実」』。中部大教授の武田先生は、むしろ夏場は涼しい室内で仕事や勉学に勤しみ、春・秋にそれぞれ1ヶ月の長期休暇を、という「国家100年の計」に立った大胆な持論を提言しています。
政府は国民に制限をかけ、暗くつまらない人生に誘導している
この頃、政府やマスコミが言うことはもっともらしいかも知れないが、詰まらない。民間にはポケモンGOというような(良いか悪いかは別にして)、皆が夢中になるような面白いものが出てくるのに、政府やNHKは「これをしろ、これはダメだ」と国民の自由を奪い、日本人をつまらない人生に誘導するばかりだ。
本来は、政府や東大の「偉い人」は国民が楽しい人生を送ることができるようにするために頭を絞るのであって、暗く辛い人生に追い込むというのは間違っている。
その一つに最近、毎日のように警告を出している「熱中症」がある。1994年に熱中症の診断基準が決まってから気温が30℃を超えるぐらいになると、かなり多数の熱中症患者がでる。気温が高くなったからと言っても著者が若い頃でも夏は、おおむね35℃ぐらいで、37℃、38℃ぐらいの気温は確かに名古屋などしか無かったけれど、35℃程度の気温で熱中症になる人は希だった。
生活の様式が変わったのか、ひ弱になったのか、それとも汗腺が少なくなったのかは分からないが、人間の体温が37℃であることを考えると、熱中症になろうとなるまいと、もともと30℃以上で活動するのはそれほどよいことではない。
でも昔はエアコンが発達していなかったので、学校にはもちろんエアコンはないし、電車や個人の住宅にもほとんどエアコンはなかった。だから夏は30℃を超えるので「夏休み」にするのがもっとも賢明だっただろう。でも、今はやる気になれば生活するほとんどの場所にエアコンを設置することは可能である。もちろん、石油などの化石燃料はなくならないし、温暖化も1,000年ぐらいは危険な領域には入らないから、大いにエアコンを使って夏は涼しくすると良い。
そうなると、むしろ夏は仕事や勉強など室内のことにいそしみ、気候の良い5月と10月に「春休み、秋休み」を作って大いにスポーツや行楽を楽しむ人生に変えたらどうだろうか? 「今まで夏休みがあった」とか「夏に休暇を取る」というのは「エアコンのない時代の惰性」であって、「基本的で必然的な理由」があるわけではない。この際、国家100年の計を立て、1年365日の内、土日の106日の他に60日の休暇を5月と10月の1ヶ月に当てるという方針を決めて、徐々に夏休みを止めてスポーツや行楽ができる人生スタイルに変えるようにしたらどうか。
リオ・オリンピックでの日本人の活躍はめざましい。かつては水泳など体格の良いアメリカ人などにはまったく歯が立たなかったが、今では互角に泳いでいる。ラグビーなども信じられないほどの活躍だ。日本人の体格でも十分に世界に互して戦えるし、まして気候の良いときに休暇が取れればさらに強くなるだろう。
一方、高校野球は炎天下で行われていて、なんとなく「根性」が問われているが、現代スポーツは暑さやのどの渇きに耐える根性より、スポーツそのものに求められる精神力の方が大切だ。気温が25℃を超える時に激しい運動をするのは体を悪くするもとになるので、高校生には5月や10月に休みを与え、十分に運動ができるようにするべきだ。
スポーツや休暇を部屋の中でやることはできるけれど、やはり仕事や勉強は室内、スポーツや行楽は室外が自然だ。日本は四季があるし、エアコンが発達してきたのだから生活の仕組みの変化にあわせてより柔軟に日本人の夏休みを考え直す時期ではないかと思う。
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『武田邦彦メールマガジン「テレビが伝えない真実」』より一部抜粋
著者/武田邦彦
東京大学卒業後、旭化成に入社。同社にてウラン濃縮研究所長を勤め、芝浦工業大学工学部教授を経て現職に就任。現在、テレビ出演等で活躍。メルマガで、原発や環境問題を中心にテレビでは言えない“真実”を発信中。
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