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東京五輪に水を差す「首都直下型地震」報道が徐々に消え始めている

東京オリンピックの開催が決定してから、「首都直下地震」の話がめっきり報道されなくなりました。しかし、当然ながら災害はある日突然襲いかかってきます。無料メルマガ『まんしょんオタクのマンションこぼれ話』の著者・廣田信子さんは、五輪開催に都合の悪い「真実」から目を背けるような流れを真っ向から批判、常に災害と隣り合わせであることを個人個人が自覚すべきだと指摘しています。

東京オリンピックと大災害

こんにちは! 廣田信子です。

東京オリンピックのために、見ないようにしていることってたくさんあるように思います。民泊推進のために軽視されている一般の住宅にテロの関係者が入り込んでしまう危険もその一つですが、震災対策もそうです。マグ二チュード7クラスの首都直下地震が今後30年以内に発生する確率は70%程度と予想されています。

また、内閣府が発表している首都圏直下地震の被害想定は、建物の全壊及び火災で焼失する棟数は85万棟負傷者の数は21万人死者数は1万1,000人となっています。すごい数字ですよね。30年以内におこる確率70%とこの被害想定がリンクして、防災の話をする専門家の方も、都市機能がマヒするような直下型地震が明日来てもおかしくないのだから、命を守るために備えないとたいへんだ~と、防災への危機感を高めていました。

外出中に必ず持つサバイバル防災セットも良く売れていました。木造密集地が火の海になる、地下街が水没するそんなシミュレーション映像もよく目にしました。「~ました。」と過去形なのは、2020年の東京オリンピック招致が決まった途端、こられの話はあまりされなくなり、甚大な被害を想定した映像も流れなくなりました

私が東京オリンピックが決まった時に一番に思ったのは、大丈夫なの~首都直下地震が発生して首都機能がマヒするようなことが、オリンピックまでの間に起こる確率低くないじゃないの~と思ったのを覚えています。

最近は、地震学者の方のいう首都圏というのは、茨城、栃木、群馬ぐらいまで入っていて(で、もちろん東京湾も入るんでしょうね)、その広い地域で、マグ二チュード7クラスの地震が起こる確率ということなので、首都圏と言っても、首都のど真中で発生する可能性は少ないから、内閣府の被害想定のようなことが東京で起こる確率は非常に低いんだ、とか、関東大震災は、マグニチュード7.8(マグニチュード8クラス)の大陸プレートのずれで起こった地震で、このタイプの地震は一度エネルギーを放出するとかなり長期にわたり起こらない、とか、これまで、マグ二チュード7クラスの地震で、そんなに死者が出たことはない、というように、そんなに心配する必要はないという論調が出てきています。

東京都の防災訓練の想定も確か震度6強でしたね。

東京オリンピックまでは、とにかく、首都が大きな被害を受けるような大地震が起こるようなことはないということを前提で準備を進めなければなりません。一時も準備のための工事をストップすることはできないスケジュールでしょうから。

地震もですが、富士山が噴火した場合の電気、通信がやられて首都機能がマヒする被害想定も、何だか東京オリンピックが決まってから、あまり言われなくなりました。東京オリンピックが決まってから、首都が甚大な被害を受ける災害の想定がピタッと止まっているのがなんだか不気味です。

これは、日本の危機管理、首都の危機管理という意味ではどうなんでしょうか。自然災害が、オリンピックが終わるまでは待ってあげようと思ってくれるのでしょうか…。

私たちは、計画通りに東京オリンピックが開催されることを信じて準備しながら、一方で、万が一の大地震にも備え、2020年後の不動産市場も考えなければならない。何だか、改めてたいへんです。

それでも、地震大国日本にあって、大震災発生の危険は絶対に忘れてはならないはずです。たとえ、首都圏直撃でなくても、東日本大震災や熊本地震のような大地震が日本のどこかを襲って甚大な被害が発生した直後に、私たちは、オリンピックを開催できるのでしょうか。そういった危機管理をいったい誰がしているのでしょうか。「シン・ゴジラ」を見たばかりなので、余計に気になります。

image by: Takamex / Shutterstock.com

 

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