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タクシーの闇。「カード手数料は運転手が負担」の謎を聞いてみた

先日Twitterで、あるネットユーザーがタクシーの運転手さんから聞いた「カード決済の手数料8%は運転手個人の負担になる」という衝撃の証言が大きな話題となりました。メルマガ『ジャンクハンター吉田の疑問だらけの道路交通法』の著者・吉田武さんは、この件が話題になる前から疑問を抱いていたそうで、その真相を知るべくタクシーの運転手さんを直撃取材。私たちの知らない、タクシー業界の闇とは…!?

タクシードライバーがクレジットカード手数料負担の謎 前編

初めての増刊号です。巷で話題のタクシーを利用してクレジットカードで支払いするとその手数料をタクシーの運転手が負担するおかしな謎に少々言及したく、このたび増刊号を発行しました。

インターネットでこの事案は大きく話題になっており、情報も大きく錯綜してましたので、だったら実際にタクシードライバーから直接話を伺おうと思い立ち、普段乗らないタクシーを利用して聴いてきました。私自身、この事案に対して初めて知ったのは2011年の頃でした。飲みに行った帰り、うっかり現金が小銭500円程度しかなく、自宅そばのコンビニへ到着の際、クレジットカードでの支払いを求めたところ、普段クレジットカード使う乗客がいないため、端末はダッシュボードの中にしまいこんでいることで少々時間かかると。でも話していると面倒そうな顔もしていたので思い切って、現金払いが面倒じゃないんですよね? と伺うと、クレジットカードの手数料5%は私たち運転手負担なので正直クレジットカードは使ってほしくないと言ってきました。結局、コンビニでATMからお金をおろして現金で支払いましたが、タクシー業界の闇を知った気がしたんです。というわけで、現状を知るためタクシードライバーから根掘り葉掘り伺ってみましょう。

吉田「小岩駅までお願いします」

運転手A「かしこまりました」

吉田「運転手さんにお伺いしたいのですが、支払いはクレジットカードでも大丈夫でしょうか? ダメでしたら現金で支払いますが1000円ちょっとの距離ですのでお任せしますよ」

運転手A「いや~、すみません。このタクシーはクレジットカード払いには対応してないんですよ。お客さんには現金でのお支払いをお願いできればと」

吉田「わかりました。ところで様々なタクシーが都内では各社より配車されてますが、こちらのタクシー会社は全車クレジットカード払いには対応してないんでしょうか?」

運転手A「え? お客さん何者ですか?」

吉田「実は僕自身、交通ジャーナリストをしているんですが、最近になってインターネットでクレジットカードの手数料が8%を支払っているタクシードライバーがいると聞きまして、現状調査のためにお伺いしているんです。それと匿名にしますが失礼ですが会話の録音もスマートフォンでさせて頂いております」

運転手A「なるほど。じゃあさ、駅まで行ったらクルマの外で話しをしようか?

吉田「いえいえ、お手数かけるのも失礼ですから車内で駅まで向かう道中での質疑応答だけでいいですよ」

運転手A「いや、ルームミラーの上を見てみて。車内の様子を撮影するためのドライブレコーダーが付いているから私が話しをしづらいんでね」

吉田「了解しました。では、駅に到着しましたらお時間頂戴しますがよろしくお願いします」

そして小岩駅南口へ到着し、支払いは1000円ちょっとだったので、チップ含め2000円を渡してお釣りなしでいいですと。

運転手A「ドライブレコーダーがないので正直なことを色々話しちゃうとさ、もうね、タクシー会社がおかしいんだよ。そもそも運転手が手数料を負担する行為そのものが会社側の怠慢。乗車運賃の売上だけでは物足りないのか、クレジットカード払いでさ、当初8%負担ってことだったんだよね。ま、クレジットカード使うお客さん少ないからあまり気にしてなかったんだけど、他のタクシー会社は5%が大半だったので組合へ議題として提出したら会社側は8%から5%へ運転手の自己負担額を下げてくれた

吉田「なんだかタクシー会社の闇が深い話しですね」

運転手A「組合から会社へ色々と回答を求めたりしたところ、5%はクレジットカード会社へ支払う金額で残りの3%はタクシー会社が得る金額だったのがわかったんだよ。その3%が理解できないってことで組合側はクレームを入れたんだ。でね、その3%は会社が得るものの端末購入金額へ補填するとの話しだった。それだったら最初から説明しろよって(笑)」

吉田「なんだか後出しジャンケンで理由付けした気もしないでもないですが、端末購入代金に達すれば5%にするとか一番最初に説明するべき話だと思いますけどね」

運転手A「まさにお客さんのおっしゃることが正しい。ですが、他のタクシー会社は運転手負担が3%のところもあれば負担なしで会社が全額負担のところもあるんです」

吉田「つまり3%負担の場合はタクシー会社側が残りの2%を負担してくれるってことなんですよね?」

運転手A「そうです。タクシードライバーは横の繋がりが太いので情報交換して初めて知ったんですが、会社によって運転手の負担額がこんなに違うものかと驚きましたけどね」

吉田給料からその負担額は天引きされるってことなんですよね?」

運転手A「ええ、そうです。長距離乗ったお客さんほどクレジットカードを使う方が多いのでそこから負担額が削られてしまうため、売上が良くなるのは嬉しいんですけど、例えばお客さんから5万円の支払いがあるとします。すると2500円も運転手側の自腹負担額になる。これは痛いですよ。ちなみに私の車両はクレジットカードの決済端末は積んでないタクシーなんです。うちの会社は車両によって端末を搭載してないのも結構ありますので、私は敢えてクレジットカードでの支払いをパスするべく端末非搭載のタクシーを配車するようお願いしてます

<次回へ続く>

 

 

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私を知る方の多くは「ビデオゲーム関係に強い映画人」なるマスメディア人的イメージが定着してますが、パーキングメーターが59分までならば厳密的に路上駐車が未納状態で可能という事実を2015年に公表したことで環境が一変。以降多くの相談事や取材申請等話を伺いたいとのリクエストが多数来まして、少しでも人助けができるならばと思い、自称・交通ジャーナリストの肩書で有料メルマガへこの度参戦させて頂くことになりました。運転者への有益情報や会員の方々から募った質問を代表して警察へ聞きに行ったり等、お得なネタ盛り沢山!

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