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ブックオフは、いかにしてクレーマーを常連客にしたのか?

苦情を言ってくるお客さんは、店側にとって怖い存在であり、正直やっかいでもあります。しかし、無料メルマガ『店舗経営者の繁盛店講座|小売業・飲食店・サービス業』の著者で店舗経営コンサルタントの佐藤昌司さんは、「何よりも怖いのは『無関心』な顧客であり、苦情を寄せてくる顧客はやり方次第でリピーターにもなってくれる大切な存在であると認識すべき」と説き、客の不満をビジネスチャンスとして捉え成功を収めたブックオフの取り組みについて紹介しています。

ブックオフが顧客の不満に注目したワケ

愛の反対は憎しみではない無関心だ」という言葉があります。相手に対して関心をもつことが大事であることを示す言葉です。この言葉にある教訓は店舗経営にも当てはまります。「顧客満足の反対は顧客不満足ではない無関心だ」となります。

人は自身が抱く不満を相手に聞いて欲しいと思うものです。仮にその不満が完全に解消しなくても、自身が抱いていた不満を相手に伝えることができれば、ある程度はその不満は解消されます。伝えることができなければ不満は解消されません。

グッドマンの法則があります。グッドマンの法則とは、「苦情を申し立てた顧客の再利用率は、苦情を申し立てない顧客のそれより非常に高い」というものです。

苦情を言う顧客は大事な顧客です。苦情を言うということはまだ関心がある証左となります。苦情を言わないということは、「もういいやと諦めているということです。その店にはもう二度と行かないだけです。

まず考えなければならないのは、不満を発生させないように事前対策をしっかり行っておくことです。しかし、事前対策をしっかり行っていても、不満を全く発生させないということは現実的には難しいことです。顧客は何かしらの不満を抱くものです。重要なのは、その不満に耳を傾ける姿勢とシステムが構築されているかにあります。

まずは、顧客の不満に耳を傾けることの重要性を全従業員が理解する必要があります。そして、不満を吸い上げる苦情を言ってもらうシステムを構築することが重要です。システムといっても難しく考えることはありません。アンケートを収集するといった単純なことでいいのです。アンケートに不満を表明してもらうのです。

顧客の不満を店内に張りだし、その不満に対する回答を張りだしている店もあります。その店は顧客の不満を吸い上げることの重要性を深く理解しているといえます。不満に対して具体的なアクションをとることができます。顧客のロイヤルティは高まりリピーターとなります

ブックオフは顧客の不満に注目した

顧客の不満をビジネスチャンスとして捉えて成功した企業があります。BOOKOFF(以下、ブックオフ)です。中古本の買い取りと販売を行うブックオフは、「本を捨てたくない」と考える人の不満を解消したいと考えました。そこで、事業コンセプトを「中古本のコンビニエンスストア」から「捨てない人のインフラ」に再定義しました。

多くの人が本を捨てたくないという不満を抱いていました。一方で、大量の本を中古本屋に持ち込んで売るためには大きな労力がかかります。そのことに対しても不満を感じていました。多くの不満を解消できずにいたのです。

そうした不満を解消するためにブックオフは様々な施策を行いました。たとえば、本を車で持ち込めるように駐車場の確保と整備を行いました。店員が顧客の自宅に伺って買い取る「出張買取」というサービスを開発しました。送料無料でブックオフに本を送ることができる「宅配買取」というサービスを開発しました。

このように、本を捨てたくない人の不満を解消するためのインフラを整えていきました。整えたインフラ自体は目新しいものはありません。しかし、目新しくなくても顧客の不満を解消することで新たな価値を創造することができました。不満の解消は新たな付加価値を生むのです。

ブックオフの事例から、顧客の不満に耳を傾けることの重要性がわかります。顧客が感じている不満に関心をもつことが大事です。顧客満足の反対は顧客不満足ではなく、無関心なのですから。

image by: Wikimedia Commons

 

店舗経営者の繁盛店講座|小売業・飲食店・サービス業
著者/佐藤昌司
東京MXテレビ『バラいろダンディ』に出演、東洋経済オンライン『マクドナルドができていない「基本中の基本」』を寄稿、テレビ東京『たけしのニッポンのミカタ!スペシャル「並ぶ場所にはワケがある!行列からニッポンが見えるSP」』を監修した、店舗経営コンサルタント・佐藤昌司が発行するメルマガです。店舗経営や商売、ビジネスなどに役立つ情報を配信しています。
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