日本に毎年嫉妬。韓国がノーベル賞を取れない本当の理由

 

なぜアジアで日本人の受賞が突出しているかといえば、これは私の持論ですが、やはり言語的な影響が強いのだと思います。日本語は中国から入った漢字だけではなく、自らひらがな・カタカナを創出しました。表意文字である漢字と表音文字である仮名を組み合わせることで、複雑な思考や感情をきわめて的確に表現することができるようになりました。

また、外来語についてもカタカナでその音をそのまま表記できます。中国語の場合、外来語に対しては発音の似ている適当な漢字を当てることになるので、表記がマチマチで、例えばオバマ大統領については、「欧巴馬」「奥巴馬」という二通りの表記が出てきてしまいます。これでは混乱を招きますし、漢字は表意文字ですから、ストレートにオバマ氏のことだとはわかりにくく、別の何か特殊用語と勘違いする可能性もあります。

前回のメルマガで、日本に留学した魯迅が、中国で見かけない四書五経などの古典を、日本の学生たちが読み下し文で学び理解していることに驚愕したことを紹介しました。文法があいまいな漢語ではさまざまな文意にとれてしまうため、論語などはそれまでさまざまな注釈が加えられ、さらにその注釈に注釈を付け加えるということが行われ、しかもその注釈もさまざまな解釈があり、わけのわからない状態になっていたのです。

魯迅は、日本語による読み下し文によって、それまで漢文では理解できなかった四書五経の内容をようやく理解できたといいます。それで魯迅は文語である漢文に代わって白話文口語を取り入れるべきだという運動を広めたのです。

明治維新後、欧米の科学や哲学を学んだ日本は、その概念をうまく日本語に翻訳し和製漢語を作り出しました。科学、哲学、文化、物理、化学、原子、臣下、改革、進歩、共産主義……などは日本人が作り出した言葉です。現在の中国語における熟語の7割はこうした和製漢語であり、これがないと中国語は成り立たないとも言われています。「中華人民共和国」という国名自体、「人民」も「共和国」も和製漢語です。

表音文字と表意文字をあわせて使用するということは、きわめて複雑な言語体系でもあります。外国人が「日本語は難しい」とよく口にするのも、よくわかります。漢字にしても訓読み、音読みの2通りを使い分けなくてはなりません。そのような複雑な言語を通してでしか、海外、とくに欧米の最新科学や哲学を理解し、さらにそれを和製漢語として翻訳することはできなかったのです。中国語・漢語だけでは、近代を理解するための概念を説明、表現することができなかったわけです。

日本が明治維新を成し遂げたのに対して、中国や韓国がいくら近代化を目指しても失敗した背景に、こうした言語の違いも大きいと私は考えています。

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