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「逃げ恥」星野源のPC画面に失笑。細部が雑な作品が批判される訳

CMやドラマなどの視聴者から、「これは間違ってる」とツッコミを入れられたりバッシングを受けることもある「細部の表現」。無料メルマガ『ビジネス発想源』の著者の弘中勝さんは、そういった細部に目を向ければ向けるほど、自身の視野が広がるとしています。いったいどういうことなのでしょうか。

細部への興味

燃費不正問題を経た三菱自動車が放送を開始した「2016年 秋 再出発篇」というテレビCMが、あっという間に一部カット放送となりました。それは不正問題が云々ではなくて、夜のキャンプ場で出演者が天体望遠鏡を覗くシーンで、反射式望遠鏡が上下逆さまだったから。三菱自動車は「星空見上げるプロジェクト」というキャンペーンを展開中だっただけに、天文ファンからバッシングを受けることになったのです。

現在TBSで放送中の『逃げるは恥だが役に立つ』というドラマで、星野源が深夜まで残業してプログラミングをしている場面が、ネット上で話題になっていました。その画面のPHPコードがあまりにひどくて、「こんな程度の仕事をするために残業してるのか」と、プログラミングをたしなむ人たちから失笑を集めていたのです。

また最近では、高校生たちが吹奏楽を演奏している様子を撮影したフリー素材集が話題になっています。楽器の持ち方や吹き方がめちゃくちゃで、演奏経験のある人たちからツッコミが入りまくっているのです。しかも、そんなおかしなフリー素材の画像が、テレビ朝日の老舗番組『題名のない音楽会』でも使われていたことで、なおさら批判が高まりました。

石原さとみ主演の『地味にスゴイ! 校閲ガール・河野悦子』というドラマで「普通の校閲者はこんなことはしない」という現役校閲者の批判がありましたが、それはまだ「ストーリーを面白くするための演出」という、クリエイティブな領域だからまだいいでしょう。

しかし、天体望遠鏡やコードや楽器の持ち方などは、演出の問題ではなくて成立するかどうかの問題です。高校生がランドセルをかついでいるとか、寿司屋の板前が包丁の刃の部分を持っているとか、見る人から見るとそれぐらいの問題です。

ただ、制作者にとっては、「それっぽく見えればそれでいい」だけのツールとして使用しているだけ、ということなのでしょう。別に本当に天体望遠鏡で星を見るわけでもないし、別に本当に楽器で音を出して演奏をするわけでもないし、それらしい風景になっていればそれでいい、という道具の一つに過ぎないのです。予算も時間も限られている中で、そんなことをいちいち気にしている余裕もなく、さっさとやってしまいます。

でも、制作者や出演者の中にたった一人でも、「これって本当はどうやるんだろう」と少しでも興味を持った人がいれば、こういう問題は必ず発見できたはずです。実際にどうやるんだろうと触ってみたり、詳しい知人に尋ねてみたり、ちょっとネットで確かめてみたりすると、その違和感に行き着くはずなのです。

さすがに細かい道具まで「監修」担当はつきませんが、監修がつかない部分だからこそ、それを扱う人は「これでいいのかなという興味を常に向けておかなければならないのです。ましてやそれを撮影させてもらって仕事にして自分たちがお金をもらおうとしているのですから、その対象物に対して、少しでも愛と理解を向けてあげるのが道理というものです。

神は細部に宿る」と言いますが、見る人は細部にクレームをつけたいわけではないのです。細部を見てよくわかってるなと褒めたいのです。そして、そういう細部が褒められる作品ほど、その方面のプロたちからも拡散してもらったり、DVDなどが売れるようになったりします。制作者たちのその細部へのこだわりの話自体がインタビューやニュースのネタになったりして、さらに作品を拡散してもらえます。

別にそれを狙ってこだわる必要はないのですが、「これってどうなんだろうね」と、その細部に興味を持とう、という話です。それは創作の話だけではなくて、あらゆることについて言えることです。

例えばある本を読んだら、それで終わりにせず、その著者の他の本を読んでみたり、その著者のウェブサイトも確認してみたり、その本に出てきた関連書籍も見てみたり、その本に出てきた場所に実際に行ってみたりもする。

ある分野に関する記事を読んだら、その分野の人はその話をどう思うかを聞いてみたり、その分野に関連する商品を探してみたり、その用語についてネット検索をしてみたりする。

細部のことに興味を持ってみることで、さらにまた多面的に情報のインプットが広がるのです。

【今日の発想源実践】(実践期限:1日間)

  • 自社の商品やサービスで「細部にまでこだわった」という話を5つ挙げるとすれば、どのようなエピソードを話せるか。ノートに列挙する。
image by: Shutterstock 
 
 
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