ある調査によると、信じられない数の小中学生が「もっとゆっくりしたい」という思いを抱いているのだとか。それだけ追い詰められているという証左ですが、皆さんはお子さんを追い立てるような言動、していませんか? 無料メルマガ『いじめから子供を守ろう!ネットワーク』では、年末年始の子供との接し方についての興味深い提案が記されています。
のんびりとした時間を
中学校国語の教科書に一風変わったエッセイがある。映画『地球交響曲』で知られる龍村仁監督の「ガイアの知性」だ。その中で龍村さんは、地球全体が一つの生命体であるというガイア理論に言及しつつ、この地球には2つの知性が存在するのではないかと論じている。
1つは人類が高度に進化させてきた「攻撃的な知性」であり、もう1つは、イルカや鯨、象が持つ「受容的な知性」である。
受容的な知性とは自然をコントロールしようとするのではなく、繊細に理解し適応して生きるための知性だ。これらの動物は人が考える以上に高度な精神活動を行っており、深く関わる人たちは畏敬の念さえ抱いているという。
龍村さんは、人類は鯨や象の知性に学び、真のガイアの知性へと進化すべきだと訴える。
さて、現代の子供達には、受容的な知性を身に着ける場所はあるのであろうか。もちろん、学業やスポーツ等における子供の努力や切磋琢磨を否定するつもりはない。ただ、かつての子供は、放課後何もせず、ぼおっとして過ごす時間があったのではないだろうか。ちなみに龍村さんの趣味は、5歳の頃から日向ぼっこだそうである。
ベネッセ教育総合研究所が2013年に実施した「子どもの生活時間の実態と時間に関する意識」調査では、小学生の74.2%、中学生の85.1%が、「もっとゆっくりすごしたい」と回答している。
学校が終われば、塾や部活動に追われ、休日もままならない。わずかな隙間時間はスマホやゲームに費やされ、ぼんやりとしていると、親に「勉強したの?」と声をかけられる。
何かに追い立てられ、自分自身のペースでのんびりと過ごすことのできない子供達。自分自身を受容できない子供達は、他の子供を受容することはできない。過度の受験競争がいじめを助長するという意見は今までもあった。しかし、それは一面的なように思える。むしろ自分自身を受容できない子供時代の過ごし方が、いじめに拍車をかけているように思われる。
ゆっくりとした時間は、自分自身を取り戻す力を持っている。いじめなんかしない自分、いじめの傷から立ち直る自分。自分自身を取り戻すには、時間にしかできないこともある。
さあ、もうすぐ冬休みや正月が待っている。子供には、何もしないという贅沢を教えてみてはどうだろうか? よく縮むバネは、よく伸びるのだから。
担当 守矢光児
「いじめ」と学校の「いじめ隠ぺい」から、子供たちを救うための、父母によるネットワークです。いじめの実態やいじめ発見法、いじめ撃退法、学校との交渉法、いじめ相談などを掲載します。
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