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子どもの失敗に、ついカッとなって怒鳴ってしまった後の対処法

ストレスフリーな子育てをしている人は本当に稀なこと。これじゃダメだと思いながらも、日々ストレスが溜まり、ひょんなことから子どもにキツく当たり、手を出したりしまいがちです。家庭教育アドバイザーの柳川由紀さん著・『子どもを伸ばす 親力アップの家庭教育』で、「正しい子どもの叱り方」についてご紹介していますので、悩める親御さん達は参考にしてみてはいかがでしょうか。 

Question

子どもの叱り方を具体的に教えてください

息子に「熱いから気をつけて」と言ったのにシチューをこぼしてしまい、思わず「だから言ったじゃない!気をつけなさい!!」と怒鳴ってしまいました。また、2歳の娘がぐずって夜中まで眠らず、オモチャを私のお腹の上に落とし、激痛だったために思わず手が出てひっぱたいてしまいました。どうしたら、冷静に叱ることが出来るのでしょう?(7歳男児、2歳女児のお母様)

家庭教育アドバイザー 柳川由紀さんの回答

Yさんのように、とっさの場合に冷静でいられる親はまずいません。ですから、思わず怒鳴ったり、手が出てしまっても仕方ありませんし、それが自然です。

育児書にあるような理想論を実践するのは至難の業です。怒った、ひっぱたいてしまった、と言うときにはフォローをきちんとすれば、大丈夫です。そして、叱り方にもいくつかポイントがあります。

1.どんなときに叱るのか?
人としてルールやマナー違反をしたときには、叱りましょう。命の危険につながるようなこと、例えば道路に飛び出す、お箸・ハブラシを持ったまま歩く、という行動などです。

2.どう叱るのか?
いきなりその場で叱っても本人がポカーンとしてしまい、伝わりにくいので、前もって「○○すると~になって危ないわよ」と目を見ながら繰り返し教えます。単純に「ダメ!」と怒鳴るよりも、普段からじっくり言い聞かせるようにしましょう。そして、叱るときには「怒り」という感情を乗せないことです。

3.具体的な叱り方
Yさんの例では、オモチャをお腹にぶつけられ、痛くて不快になりました。

「痛い!何でぶつけるのよ!」と矛先を子どもにぶつけるのはNG。「痛い!お腹に当たった!」とまず「事実を伝える」ことです。それから子どもに「このオモチャがママのお腹に当たって痛い、見て、赤くなって腫れてきた。」と、「子どもの行動によって引き起こされた状況」を伝え、「ぶつけられた人はこんな風にとっても痛いから、気をつけようね」と、「注意を促す」のです。

>> 次ページ 大切なのはその後のフォローの仕方

家庭教育アドバイス……「叱るときのポイント」

1.事実を伝える
2.子どもの言動によって引き起こされた状況を伝える
3.注意を促す

この順番通りに諭すことが、冷静な叱り方です。けれども、実際の場面ではこんなに立派に叱ることは難しいです。そこで、その後のフォローが大切になってきます。

「だから言ったでしょ!もう」と声を荒げ怒鳴ってしまったら、その場で「あー、怒ってる怒ってる怒ってる、イライラするー」と、子どもの前で自分の感情を口にすることです。

本当は、「火傷しないようにあれだけ注意したのに」と言う気持ちがありますが、そんなことを言っても、子どもは「注意していたのにこぼしてしまった」のですから、済んでしまったことを言うのではなく、自分のイライラしているという感情を吐き出すのです。

こうすると、少し冷静になれるものです。

そして、なぜイライラしたのか言い訳するのではなく、「イライラしてごめん」と、自分がイライラして怒鳴って悪かったと認めることです。

また、反射的に手が出てひっぱたいてしまったら、「ものすごく痛かった、あまりの痛さに思わずひっぱたいたけど、ママがひっぱたいたことは悪いことだった、ごめんなさい」と、素直に謝りましょう。

子どもを感情的に怒ってしまうことは日常茶飯事です。でも、「叱る」ことと「怒る」ことの違いをわきまえていれば、感情的に怒ってもフォローできますから、問題ありません。

理想は、怒りを乗せず冷静に、子どもに納得のいくように諭すことです。私も子ども達が幼い頃は極力諭そうと努力してきましたが、常にそうできるわけではありません。

「何で怒るの?」と聞かれて、「ママは今、ご機嫌悪いから!」と何度答えたことでしょう。子どもにとっては理不尽なことですよね。でもよく周囲を見て下さい。世の中、理不尽なことはあるのです。

子ども達が、何に対しても納得してから行動するのは素晴らしいことですが、もしも理不尽な目に会った時、納得できずに耐えられないでいると、どうなると思いますか?

子ども自身が傷つき、自分の殻に閉じこもってしまう危険があります。

理不尽なことはあるのです。そういうことも教えていかなければいけません。だからと言って、「怒る」ことを推奨するのではありません。冷静に叱るのが理想ですが、怒ってしまってもきちんとフォローすれば構わないですよ、ということです。育児書通りの子育てなどできません、気張らず、肩の荷を下ろして素直に子どもと向き合いましょう。

image by:Shutterstock

 

『子どもを伸ばす 親力アップの家庭教育』
家庭教育のプロとして、教育相談員の経験を生かしながら、親としての接し方のコツをお伝えします。専門である教育心理学、家庭教育学をベースに家庭の中でできる「子どもを伸ばすためのコミュニケーション術」を「親の力」に視点を置き、毎週月曜、木曜の二回に亘って配信予定です。乳幼児、小学生、中学生、高校生、大学生など発達段階に応じた子どもへの声掛けを具体的にご紹介します。
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