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実名公表。たった8人の大富豪が、36億人分と同じ資産を持つ新事実

あまりの衝撃的な内容が大反響となった、昨年掲載の記事「たった62人の大富豪の資産が、下位36億人の資産と同じという衝撃データ」。そのデータを発表したNGO団体・オックスファムが、このほど最新の調査結果を明らかにしたのですが…。無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』の著者で、世界情勢に詳しい北野幸伯さんも、この結果に目を疑ったとのこと。北野さんが「去年以上の卒倒」と言い放つ、その内容は一体どのようなものだったのでしょうか。

超格差世界~たった●人が36億人分の資産をもつ現実

私は、毎日世界中のメディアをチェックしています。そして、いろいろ驚愕情報をみつけることもしばしば。しかし、ほとんどは、しばらく時が経つと忘れてしまいます。それでも、「忘れたくても忘れられない情報」もある。たとえば、CNN.co.jp2016年1月18日。

オックスファムは今週スイスで開かれる世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)に向け、米経済誌フォーブスの長者番付やスイスの金融大手クレディ・スイスの資産動向データに基づく2015年版の年次報告書を発表した。それによると、上位62人と下位半数に当たる36億人の資産は、どちらも計1兆7,600億ドル(約206兆円)だった。

なんと、「超富豪62人の資産は下から36億人分の資産と同じ」だそうです。

また、上位1%の富裕層が握る資産額は、残り99%の資産額を上回る水準にあるという。
(同前)

上位1%の資産は、残り99%の資産額より多い! そして、同報告書によると、格差はますます拡大し続けています。

富裕層と貧困層の所得格差も拡大を続けている。1日あたりの生活費が1.90ドル未満という極貧ライン以下の生活を送る下位20%の所得は1988年から2011年までほとんど動きがなかったのに対し、上位10%の所得は46%も増加した。
(同前)

世界には、1日当たり1.9ドル(1ドル100円換算で190円)、つまり月6,000円以下で暮らしている人が、20%もいる。世界の人口が73億人とすると、14億6,000万人もいる。

このような世界の現状は、陰謀論者でなくても、「おかしい」と思うでしょう。アメリカでも、そう考える人が増えていました。すぐに思い出されるのは、アメリカで2011年に盛り上がった「ウォール街を占拠せよ!運動でしょう。

スローガンは、「We are the 99%!」(私たちは、99%だ!)意味は、「トップ1%はますます豊かになっているが、残り99%は、ますます貧しくなっている!」。このスローガンを聞いて、私自身も、「大げさだなあ」と思いました。しかし、オックスファムの報告書によると、「まさにその通り!」である。

今からちょうど一年前に出てきた情報。あまりにもインパクトが強くて、忘れようにも忘れられません。おそらく覚えておられた読者さんも多いことでしょう。ところが…。

36億人分の資産を保有しているのは、62人ではなくてたった●人

このオックスファム、1年ぶりに報告書を出しました。その内容は、去年以上に卒倒物」です。

世界人口の半分36億人分の総資産と同額の富、8人の富豪に集中

AFP=時事 1/16(月)13:01配信

 

【AFP=時事】貧困撲滅に取り組む国際NGO「オックスファム(Oxfam)」は16日、世界人口のうち所得の低い半分に相当する36億人の資産額と、世界で最も裕福な富豪8人の資産額が同じだとする報告書を発表し、格差が「社会を分断する脅威」となるレベルにまで拡大していると警鐘を鳴らした。

大富豪8人の資産額 = 貧しい36億人の資産額である。62人ではなく、8人だそうです。

この報告書は、スイス・ダボス(Davos)で17日から世界経済フォーラム(WEF)の年次総会(ダボス会議)が開催されるのを前に発表されたもの。それによると、世界人口のうち所得の低い半数の人々の資産額の合計と同額の富が、米誌フォーブス(Forbes)の世界長者番付上位の米国人6人、スペイン人1人、メキシコ人1人の計8人に集中しているという。
(同前)

8人って一体誰なんでしょう?

この8人の中には、米マイクロソフト(Microsoft)の共同創業者ビル・ゲイツ(Bill Gates)氏、交流サイト(SNS)最大手フェイスブック(Facebook)の共同創業者マーク・ザッカーバーグ(Mark Zuckerberg)氏、インターネット通販最大手アマゾン・ドットコム(Amazon.com)創業者のジェフ・ベゾス(Jeff Bezos)氏が含まれている。
(同前)

いずれも、世界的企業の創業者。残り5人は誰なのでしょうか?

う~む。資産額を見ると、オックスファムの報告も、「そうなのだろうな」と思えます。

ところで、オックスファム、去年は「トップ62人=36億人」と報告していた。なぜ今年は、「トップ8人=36億人に変わったのでしょうか?

オックスファムが1年前に発表した報告書では、世界人口の半分と同額の資産が集中していると指摘された富豪の人数は62人だった。オックスファムによると今回は、インドや中国などにおける富の再分配のデータを刷新し、算出し直したという。
(同前)

去年が間違っていた今年の方が正確だと。オックスファムは、「超格差世界の影響」についても触れています。

オックスファムは、世界で所得格差が拡大していることと、既存政治への幻滅が広がっていることには関連性があると指摘している。報告書では、「ブレグジット(Brexit、英国のEU離脱)から米大統領選でのドナルド・トランプ(Donald Trump)氏の当選まで、人種差別の増加と既存政治への幻滅の拡大が憂慮すべき事態となっている。裕福な国々で現状を容認しない人々が増えつつあることを示す兆候がある」と説明。
(同前)

イギリスのEU離脱トランプ当選は、「格差拡大の結果」だそうです。同感です。

トランプ政権下で、格差はさらに開く

私は「社会主義者」ではありませんが、さすがに「超富豪8人の資産 = 貧しい36億人の資産というのは、「格差開きすぎ」と思います。どうすればいいのでしょうか?

「裕福な個人と企業」に対する課税額を引き上げ、国家間の法人税引き下げ競争を終わらせる国際合意を形成するよう呼び掛けるとともに、企業のロビー活動やビジネス・政治における「縁故主義」を非難している。
(同前)

要するに、所得税の累進性を強化し法人税も上げろと。最もな方策に聞こえますが、実行しても効果は薄いでしょう。というのは、本当の金持ち、大企業は、「オフショア」を使っているので、国内の増税は関係ないのです。しかし、オフショアを使うほどではない、小金持ちや中産階級は、増税の影響をモロにくらって没落していきます。

結局、「超格差世界」を「より平等にしたければ、「オフショア規制が不可欠です。しかし、大富豪のトランプさんがオフショア規制をするとは思えません。彼は、「法人税の大幅な引き下げ」「所得税最高税率の引き下げ」を掲げていますから、ますます貧富の差は開いていくことでしょう。

image by: Gerry Boughan / Shutterstock, Inc.

 

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【著者】 北野幸伯 【発行周期】 不定期

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