ショップ等でよく目にする「○○にこだわってます」というキャッチフレーズ。お店側の熱い態度表明なのでしょうが、無料メルマガ『ビジネス真実践』の著者で戦略コンサルタントの中久保浩平さんは「そんな謳い文句はお客さんに伝わりにくいのでやめるべき」と言い切ります。その理由はどこにあるのでしょうか。
「○○にこだわってます!」はNGです
お店や商品、あるいはサービスの強みを伝えたり、インパクトを与えるために、はたまた差別化だといって、「当店では○○にこだわっています」みたいなことを謳っている店舗は少なくありません。
確かに、素材や原材料、サービスの質などこだわっているのでしょう。ですが、「○○にこだわっています」という謳い文句は、実は、お客さんに伝わり難いものなのです。
しかも、「ライバルが○○にこだわっているのなら、当店は××のこだわりには負けないぞ」なんていう後付のこだわりなんてこだわりでもなんでもないし、強みでも差別化にもなりませんので、全く伝わりません。なぜなら、こだわりとはお店のポリシーであり信念ともいえるものだからです。つまり、これだけは絶対に守りとおすという「強い意志」がそこになければならないものなのです。
ですので、その意志をお客さんが感じ取れないと結局、こだわりなんてものは伝わりません。伝わらないので、当然、その商品やサービスの良さをお客さんは理解できません。理解できないので、リピートのお客さんにはなってもらえません。
「そうはいっても、うちは確かにこだわっているものがあるし、それを前面的に出していかないと…」と思う方も多いでしょう。確かにわかります。わかりますが、それだけではダメなのです。こだわりというのは、お客さんに「こだわってます」と伝えるだけでなく、ちゃんとお客さんに響かなくてはならないものですから。
では、どうすれば、ちゃんと伝わり、お客さんに響くのでしょうか?
その1つが、「○○はしません」というものを明確に打ち出すことです。「○○にこだわっています」ではなく、「これはうちは絶対にやりません」という意志の強さの方が、はるかに伝わります。
つまり、こだわりを通すために「これはやらない」「これはしない」という意志を示し、そのことをお客さんと約束するのです。このことによって、商品、サービスの提供者側は逃げ道を完全に封鎖できます。「ちょっとくらいなら…」ということが起きません。
なので、当然、ぶれることがありません。むしろ、サービスや商品の質を維持、向上させることもできます。総じて、自店のこだわりを真っ向から守りとおすことができます。それが「こだわり」を伝えることになるのです。そうしてはじめて、そのこだわりをちゃんと理解してくれるお客さんがやってきてくれるのです。
たとえば
- 「無添加にこだわっています」ではなくて「科学調味料は一切使用していません」
- 「1つ1つ手作りにこだわっています」ではなくて「大量生産していません」
- 「マンツーマンにの指導にこだわっています」ではなくて「セミナーはしません。」
- 「当店はお客様お1人、お1人にあったサービス提供にこだわっています」ではなくて、「当店ではお客様にサービスを押し付けることはありません」
など、○○はしません。と約束するのです。そういったものを打ち出すとお客さんは「なぜ○○しないの?」と感じます。その上で「うちは、○○にこだわっているからです」と理由をお伝えするのです。
これが、こだわりを伝えるということです。
「○○にこだわっています」ではなく「○○はしません」「○○はやりません」です。こだわってます、と伝えるときには、○○しない理由として伝えることです。
貴店では、どのようなこだわりがありますか? そして、それをお客さんに伝えるとき、○○はしません、その理由は○○だからです、と、言い換えることができますか?
■今日のまとめ
『「○○にこだわってます。」ではこだわりは伝わらない。』
- 自店の持つこだわりを列挙してみる。
- 書き出したこだわりを守るためにしてはいけないことを書き出す。
- 上記2点からお客さんへ「○○しない」宣言をする。
image by: Shutterstock.com