街で「本格中華」「おふくろの味」などという飲食店のキャッチコピーを見かけることがありますが、「そんなお店はまず人気とならない」とするのは無料メルマガ『ビジネス発想源』の著者・弘中勝さん。一体なぜ? 今回の記事にはその単純明快な理由が記されています。
本来お客様の言葉
日本各地にはたくさんの中華料理店があり、その中には、店名に「本格中華」という言葉が入っている店も結構あります。ところが、例えば食べログなどでもいいですが、人気の高い中華料理店を上から並べていくと、「本格中華」という店名が入った店は上位にはまずランクインしていません。「本格中華」のはずなのに、不思議ですよね。
それはなぜかというと、「本格」かどうかは、お客様が決めているからです。店名に「本格中華」と入っていなくても、お客様のほうから「あそこの中華料理は、本格派だよね」と言われて初めて、本格になるのです。
「おふくろの味」とか「懐かしの味」なんていう文句も同じです。店のほうから言い出している場合が多いですが、おふくろの味なのかどうか、懐かしい味なのかどうかは、お客様が決めます。「懐かしの味、と評判を頂いています」と伝えるのは間違いではありませんが、「これは、懐かしの味です」というのは、本来店側からいうことではないのです。
だから、こういうフレーズを店名とか通り名に使っているお店ほど、そんなに人気店にはなりません。自分たちが「おふくろの味」とか「懐かしの味」だと思っているだけなのです。
店名や商品名をつける時や、キャッチフレーズをつける時などは、こういう誤りに陥りがちです。ついつい、本当はお客様に言ってもらいたいことを自分から言っちゃいます。飲食店や食品の場合は特に、「うまい」とか「美味」とかいう言葉を自分から使うべきじゃないのです。それはお客様が感じることであって、お店側が「これはうまい」と定義するべきものではありません。
製品であっても、最近では自分たちから「スタイリッシュなデザインです」とか「この美しいフォルム」とか、平気で言います。そういう感覚も、お客様のものです。スタイリッシュなんてカタカナを使ったら許されるというものでもないのです。
自社の発信の中で、そういう「本来はお客様が感じること」「本来はお客様が判断すべきこと」を自分たちから言っていないでしょうか。ぜひ全てチェックしてみることをオススメします。
【今日の発想源実践】(実践期限:1日間)
- 「美味しい」「美しい」「素敵」「楽しい」「嬉しい」「心地よい」など、本来はお客様が感じる感覚にはどのような表現があるか。思いつく限り、ノートに列挙する。
- それらの言葉を、自分たちから発信していないかどうか。チェックしてみる。