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2001年設立の時計メーカーが、10年で「成功者の証」になれた訳

100年以上の歴史を持つ高級メーカーが揃う腕時計業界に流星のごとく現れ、たった10年あまりで「腕時計のF1」というコンセプト・こだわりのもと成功を収めた「リシャール・ミル」。無料メルマガ『MBAが教える企業分析』では著者の青山烈士さんが、「成功者の証」とまで呼ばれるようになった同社の戦略・戦術を徹底的に分析しています。

理想を追求するということ

腕時計のF1をコンセプトにしている注目の企業を分析します。

リシャール・ミル(超高級腕時計メーカー)

戦略ショートストーリー

時計好きなトップアスリートやセレブリティをターゲットに「理想の時計作りを徹底」することによって生み出された「超堅牢」「超軽量」などの強みで差別化しています。

腕時計のF1」というコンセプトを具現化した製品をトップアスリートやセレブリティが使うことで「成功者の証」としての存在感を高め、顧客の支持を得ています。

■分析のポイント

理想を追求するということ

リシャール・ミルは2001年に設立されていますが、世界三大高級腕時計メーカーと言われる3社の設立はというと

と各社100年以上の歴史を持っています。

リシャール・ミルは高級腕時計メーカーとしては、圧倒的に歴史の浅い後発企業といえるでしょう。

世界三大高級時計メーカーという圧倒的な強者がいて、他にも多数の歴史あるメーカーがいる市場にリシャール・ミルは「腕時計のF1」を掲げて参入したことになります。F1とは、自動車レースの最高峰であり、「腕時計のF1」とは、まさに腕時計の最高峰ということです。

世界三大高級腕時計メーカーや他にも歴史あるメーカーが存在する中で、新参者が「最高峰の腕時計」を作ることを掲げるというのは、非常に挑戦的ですね。普通に考えたら、まず無理だと思いますし、既存の高級腕時計メーカーの方も相手にしなかったのではないでしょうか。

その中でリシャール・ミルは、「腕時計のF1」というコンセプトを現実のものにして、いまでは「成功者の証」と呼ばれるようになっているわけですが、リシャール・ミルの成功要因の一つは、やはり「理想を追求」するということでしょう。実際に、リシャール・ミルは下記のように「理想を追求」してきました。

といったかたちで、「腕時計のF1」というコンセプトを実現するために一切妥協をしませんでした。

コンセプトとは、商品の全体につらぬかれた、骨格となる発想という意味を持っていますが、一切妥協せずにコンセプトを実現することは簡単ではありません。しかも、リシャール・ミルが扱う複雑時計には、非常に多くの部品が使われていますので、すべての部品に一切妥協しないということは非常に困難といえるでしょう。だからこそ、歴史ある企業が多数存在する中でも、リシャール・ミルは注目を浴びる存在になっているのです。

リシャール・ミルの一切妥協せずに「理想を追求」する姿勢はトップアスリートに共通する部分もあると思いますので、トップアスリートがリシャール・ミルの時計に惹かれるというのもうなずけますね。

今後、世界の誰がリシャール・ミルのファミリー(パートナー)に加わり、どのような歴史を築いていくのか、楽しみにしています。

◆戦略分析

■戦場・競合

■強み

1.トップアスリートが競技中にも使用できる

2.成功者の証(持ち主に成功をもたらす)

★上記の強みを支えるコア・コンピタンス

理想の時計作りを徹底

上記のようなこだわりを徹底しているからこそ、強みを実現できているといえます。

■顧客ターゲット

◆戦術分析

■売り物

実用的な超高級腕時計

■売り値

■売り方

スポーツチームやトップアスリートセレブとパートナー契約」

■売り場

・世界で7店舗目、国内唯一のオンリーブティックとして2007年に銀座にオープン

※売り値や売り物などは調査時の情報です。最新の情報を知りたい場合は、企業HPなどをご確認ください。

image by: 「リシャール・ミル」公式ホームページ

 

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【著者】 青山烈士 【発行周期】 ほぼ 週刊

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