近年、AI(人工知能)の発達は目覚ましいものがあり、将来的には人間の仕事を奪いかねない、という話を最近よく耳にすると思います。今回のメルマガ『永江一石の「何でも質問&何でも回答」メルマガ』では、人気コンサルの永江一石さんのもとに寄せられた、読者からの「人工知能が発達すれば、人間が語学を学ぶ必要はなくなるの?」という質問について回答しています。永江さんが予測する、語学学習の近未来とは?
AIの進歩により語学学習の必要性は無くなるのか?
Question
当方、60代の勤務医ですが、40年間にわたり英語を勉強してきましたが、全くものになりません。書く・話す・聞くはもちろん、最近は読むのも面倒臭くなり、勉強しなくなってきました。
ものにならない理由ははっきりしていて、使う必要が全くないからです。英語論文とか、英語サイトとか英語が出来た方が良いに決まっているのですが、現実のさし迫った必要が全くなく、勉強する動機づけもなくなりました。
都心の病院にいると外国人が来るのですが、けっこう日本語が話せたりして、英語を話す・聞く必要は全然ないのです。英語以外の言語でも、他の医師にきくとグーグル翻訳で十分だとのことです。
ということで、「今後、人工知能による翻訳の進歩で、語学を勉強する必要はなくなるのではないか」というのが質問です。
もちろん出来た方が出来ないよりいいに決まっているのですが、小学校から英語を勉強しても、使い物になるほど英語が必要になるのは海外で仕事をする人(人口の1%以下)だけではないかと思います。
外国人観光客が訪日するときに英語などが必要という人もいますが、商売・道案内程度の英語ならにわか勉強でも十分ではないかと思います。
永江さんの回答
「今後、人工知能翻訳の進歩で語学を勉強する必要はなくなるのではないか」というご質問ですが、結論から言うとわたしもそう思います。ブログにも書きましたが、いまGoogle翻訳の進歩って凄まじくて、以前、台湾に行った時も店員さんとのやり取りはほぼ完璧に通訳してくれました。
ここ数年でさらに進んでるので、今後レベルの低い通訳さんや観光ガイドなどがどんどん駆逐されるのは間違いないと思います。
ただ、それで通訳が全て廃業の危機かというとそうは思いません。やはりビジネスでの交渉事など、互いの腹を探り合ったり心の機微を読むようなデリケートな場面ではAIは十分対応出来ないからです。
医学の分野も同様で、普段の外来で「悪いところはどこですか?」「お腹が痛いです」などの簡単な対話であればGoogle翻訳で世界中どこの患者でも対応可能ですが、細かい病状や複雑な痛みを表現する時は難しいですよね。
ただそれも医学に特化したAIが出来れば遠くない将来に解決する問題だと思います。
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