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いじめ解決に転校は有効。なら転校するにはどうすればよいか?

いじめを解決するために有効な方法の1つに「転校」がありますが、保護者の方にも「逃げになるのでは」という考えがあったり、「引っ越しは無理だ」など、様々な理由で躊躇してしまう例も多いといいます。今回の無料メルマガ『いじめから子供を守ろう!ネットワーク』では、いじめの解決法としての「転校」を取り上げ、その具体的な方法や心構え等について詳しく記しています。

「転校」という解決方法

6月になりました。新学年になってから約2か月がたち、子供たちも今の環境になれてくる頃です。

先日、ある保護者の方からうれしい報告のお電話をいただきました。「今の学校ではいじめもなく、毎日、学校に通えています」。この方のお子さんは、数年前からいじめられ、とうとう学校に行けなくなりました。私たちにご相談にこられ、4月から別の小学校に転校しました。前の学校では、ご両親が何回も学校にいじめを相談したのですが、いじめを解決してもらえませんでした。転校したことでようやくいじめから解放されたのです。

このように、「転校もいじめ解決の方法の一つです。通常は、いじめが解決したと言えるためには、「加害者が、被害者本人に謝罪し、かつ、いじめがなくなること」が必要であると考えています。しかし、いじめが悪質すぎたり、学校側の隠蔽体質が極端である場合等は、いじめから逃れることが解決となります。具体的には、このお子さんのように、転校を決断し、その後、順調に学校生活が送ることができれば、解決したと言えるのです。

「転校は逃げたことになるのでは?」と心配する保護者の方もおられます。しかし、いじめのない学校に転校して、安全な環境で学校生活を送る、これは、新たなスタートであって、決して「逃げなどではありません。前述したお子さんのように普通に学校に通えるようになり、みちがえるように元気になるケースは、かなりの数に上ります。お子さん自身が「いじめがあるから転校したい」と言っているのでしたら、転校を考えてみていただきたいと思います。

そこで、改めて「転校」についての考え方を整理しておきたいと思います。「転校したいが引っ越しは無理」、「転校先はどうやって探すのか」、「担任が転校に反対している」、「転校させたいが子供が嫌がっている」などなど。以下、述べさせていただきます。

1.いじめが理由の場合には、引っ越しをしなくても転校できます

「転校のために今すぐ引っ越しは無理です」とあきらめかける方がおられます。しかし、あまり知られていませんが、引っ越さなくても、別の学区の公立学校への転校はできるのです。

文部科学省は、いじめが原因の場合は学区外への転校に柔軟に配慮するようにと「通知」を出しています(平成19年3月30日付「学校教育法施行令第8条に基づく就学に関する事務の適正化等について(通知)」)。

学校や教育委員会が転校を認めてくれない場合には、文科省のこの「通知」を示すとスムーズに転校できます。

2.転校先はどうやって決めたらよいのか

「転校先でもいじめられたらどうしよう」、これが最も心配される点です。まずはインターネットで学校の評判を集めると、大まかですが概要をつかむことができます。ホームページや口コミサイトなどが参考になると思います。

そして実際に保護者がその学校を訪問して、校長とお会いすることで、校長先生のいじめについての考えや、自分たちを理解していただけるかなどが分かります。校長先生で学校は決まると言っても過言ではありません。あわせて、授業中の雰囲気や、休み時間や掃除の時間の子供たちの様子を見れば、安心できる学校かどうか、わかるものと思います。

私立学校への転校の場合は、編入試験を受ける必要がある場合もありますので、直接その学校に問い合わせてみてください。

3.転校に担任が反対する場合

「担任が転校に反対する」、というケースも少なくありません。「絶対に認めない」、「こんな理由で転校などできない」など、かなり高圧的な担任もいます。その場合には、教育委員会に相談することをお勧めします。

4.教育委員会が転校に消極的な場合

一般的には、教育委員会に相談することでスムーズに転校することができます。しかし、まれに、転校に消極的な教育委員会があります。前述の文科省の通知を示しても、「お宅のお子さんは転校しないほうがいいです」などと言われてしまうことがあります。

市区町村議会の議員の方に相談して、教育委員会に連絡してもらったり、あるいは、私たちのような第三者機関にご相談ください。外部の機関に相談することで、対応が変わる場合がかなりあります。

5.お子さんが転校を嫌がっている場合

転校はいじめ解決のための有効な手段ですが、お子さんが転校を渋っているのであれば、無理に転校させることは危険です。お子さんが転校をためらう理由としては、

などがあげられます。このような気持ちを保護者は理解してあげてください。転校については、根気よく話し合い少しずつ納得させていくことが大切です。

いじめや転校についても、ご遠慮なくご相談ください。解決のお役に立てれば幸いです。

いじめから子供を守ろう ネットワーク
松井 妙子

image by: Shutterstock.com

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「いじめ」と学校の「いじめ隠ぺい」から、子供たちを救うための、父母によるネットワークです。いじめの実態やいじめ発見法、いじめ撃退法、学校との交渉法、いじめ相談などを掲載します。

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【著者】 いじめから子供を守ろう!ネットワーク 【発行周期】 週刊

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