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実は農村型コミュニティ? 高齢居住者「団地愛」の弊害

高度成長期に急増した「団地」。住民同士の団結力が強いため、子供たちが独立し、高齢者ばかりになった今でもきちんと管理がなされているところが多いといいます。しかし、あまりにコミュニティを大切にするあまり、「住み替えられない」と悩む人もいるという思わぬ問題点も。今回の無料メルマガ『まんしょんオタクのマンションこぼれ話』では著者の廣田信子さんが、「都市のコミュニティとは何か」について考察しています。

住み替えとコミュニティの関係は?

こんにちは! 廣田信子です。

45階建ての階段室型団地は、日本の高度成長期の象徴のように思えます。分譲当時、最新の居住スタイルであり、住環境もよく、高い倍率の抽選に当たったローンが組めるしっかりしたサラリーマン層が多く購入していますので、きちんと管理がされコミュニティもしっかりしているところが多いです。

高齢化とともに、エレベーターがないことが課題となりますが、エレベーターがないというだけで、住宅としての評価が下がるのは納得がいかない方が多いです。その気持ちはよくわかります。

特に築30年~40年ぐらいの階段室型としては比較的築年数が浅いものは、専有部分の面積も広く、水廻りのプランもよく個々の住宅として見てもなかなか優れています。管理組合も、リタイア組の70歳前後の方が運営の担い手になっていて、高齢化は進んでいても、まだまだ活力があります

そして、その方たちの団地愛はとても強いものがあります。

で、階段の上り下りが難しくなったら、我慢しないでエレベーターのある近隣のマンションに引っ越すこともありじゃないか…という私の記事

仲間を裏切れない
「愛着」は人を幸せにするか…

何となく納得がいかない…という方がいらっしゃいました。マンションのコミュニティは大事だといっているのに、矛盾していないか…と。親しい隣人がいて、お正月には子供や孫も集う子育てをした思い出がある団地を離れるのはそんなに簡単なことじゃないはずだ…と。

きっと、それはそうなんだろうと思います。といいつつも、私は、何度か住み替えをしていて、新しい環境にも新しいご近所さんにも意外にすぐ慣れるものだと経験的に知っています。そこがマンションの良さだとも思っています。

ですから、思い出のある場所を離れたくないというよりは、その時々、できるだけ日々を充実しておくれる環境に住みたい…という思いの方が上回る気がします。階段の上り下りが不自由になったために、自由に外出できない状況は私にとって何より改善したい環境だろうな…と思います。

じゃあ、コミュニティを離れることはどうなの? と言われそうですが、私にとって、都市のコミュニティは、ずっと同じところに住み、昔からお互いのことをよく知っている間柄の人たちによって成り立つ農村型の濃いコミュニティではなく、新たに住民となった人を自然にウェルカムと受け入れる柔軟性と、ご近所に引っ越していく人に「これからもよろしくね」と心から言える包容力を持ったものであってほしい…。住民が入れ替わっても、多様性を尊重し、今いる隣人にさりげなく心を配れる洗練された「文化」が育っている場であってほしい…と思うのです。

私にとって住みやすく安心を感じられるコミュニティはそのような場所なのですが…。

そして、たぶん…多様性を温かく受け入れる文化が育っているコミュニティは、自然に新しい人を引き付け、自然に世代交代ができ、人口減少社会に生き残っていくんじゃないかな…と、そんな仮説を持っているのですが…これには、異論も多いと思います。

できるだけ同質の人に住んでもらうことで、マンションの価値を守っていこうという考え方もあります。私は、どちらもありだと思っています。何を心地よいと感じるか何に価値を感じるかは人によってちがうのです。だからこそ、場所を固定しないで、自分に合った環境、コミュニティに住み替えていくことがもっと自由にできる方が、豊かさにつながる…そんな気もしています。

私たちが目指す都市型コミュニティの姿、人を幸せにするマンションコミュニティってどんなものなのか…皆さんはどう思われますか。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 廣田信子 【発行周期】 ほぼ 平日刊

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