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米国でも行列ができる「牛角」で、日本人がガッカリした仰天メニュー

日本で最もポピュラーな焼肉チェーン店として知られる「牛角」。実は、アメリカのNYにも進出し、現地では高級店として盛況だそうです。メルマガ『しんコロメールマガジン「しゃべるねこを飼う男」』の著者でNY在住の医学博士・しんコロさんは、ご家族みんなでNYの同店を「日本の有名店だから」と安心して訪れたそうですが、そこで出てきた料理やサービスは「高級店」からは程遠い、悲劇的なものだったようです。

NY焼肉仰天ファイル

日本で牛角というと、お手頃な値段で食べられる、庶民の見方の焼肉チェーンというイメージです。しかし、NYの牛角は日本とは違うのだそうです。僕が以前どこかのNYカーから聞いた話では「NYでは牛角は高級志向で、NY風にオシャレな演出と高級感がある」なのだそうです。「ふーん、またNYカーが言ってらぁ~」と僕は当時興味がありませんでしたが、先日はふと焼肉が食べたくなったのでその「高級な牛角」に行ってみることにしたのです。今思えば、NYカーの言うことを思い出した自分が間違いでした。

とはいえ、グルメサイトで見てみると、NYの牛角は五つ星でなんと4つ星以上の評価

「食べログ」では超人気店や高級店でも4つ星なんて取れないのに、堂々の4.2星です。そんな人気店ですから、土曜日の夜の予約はギリギリでした。そもそもチェーン店で予約というのが日本では考えられないのですが、NYでは多くのレストランで予約が必要です。単に人が多いから混み合うのだと思いますが、それがNYだと何故か「人気のサイン」のように誤解されることがあります。NYではちょっと話題になるとすぐ行列ができます。

ちなみに、関西人は「よっぽど美味しくない限り行列には並ばない」一方で、関東人は「話題の店なら何時間待ちでも並ぶ」という傾向があるということを聞いたことがあります。NYはもしかしたらそういった意味で少し東京っぽいのかもしれません。

話がそれましたが、ワクワクで僕達は牛角に行きました。なんといっても、NY流の高級牛角です。「うまないわけない!」のです。この後、どんな惨事が待ち受けているのか、知る由もなく。

どこが高級なの?

店内に入ると、待っている人たちの集団がいました。人気の現れです。そしてキッチンの横を抜けると、トイレのような得も言われぬ匂いがこみ上げてきました。一瞬嫌な予感が頭をよぎりましたが、その先に客席はどこも満席です。きっと大丈夫。僕達はベビーカーがあったので予めその旨を伝え、静かなスペースのある席を用意してもらいました。

客席について周りを見渡してみると、全く高級感はありません。チープな内装、写真付きの大きなメニュー、家族連れや若者が多い店内は、ファミレスの雰囲気に似ています。「NY 風の高級感」なんてものは微塵もありません。そもそも、「NY 風の高級感」って誰が言ったのか忘れましたが、その高級感そのものに初めから疑いを持っておくべきでした(笑)。

兎にも角にも、料理が美味しければそれでOK です。僕達は大きくて油でベタついたメニューを開きました。ベタついているので、開く時に軽く「バリバリっ」とラミネートしたページとページが引き離される独特の音がします。メニューを見てみると、色々なお肉が写真付きで並んでいます。「カルビ」「サーロイン」「ハンガーステーキ(ハラミ)」「フィレ」など色々です。僕は焼肉は塩胡椒が好きですが、メニューにあるお肉はどれも「タレ・スイートソイ(甘醤油ダレ)」か「ミソ」に漬けてあると書いてあります。なんでやねん!タレか塩か選ばせてや!塩が好きなんだから!と言いたいところです。

「しおが好きなんだ!」と言いたいだけでしょ?というのは置いておいて、塩で食べさせてくれないのは良くない兆候です。なぜなら、美味しいお肉ならば塩胡椒で美味しいはずです。それを醤油ダレ(しかもスイート)や味噌に漬け込むなんて、肉の品質をごまかそうとしている可能性があります。

ちなみに、焼肉の肉を味噌に漬けるなんて僕は初めて聞きました。韓国料理屋では焼いた牛肉に味噌をつけて、サンチュで包んで食べたりはしますが、(ホルモンは別として)味噌に漬け込んだ肉は焼肉屋では見たことがありません。でもここはNY です。何でもありのNY ということを忘れていました。

イマイチなお肉

さて、こうして僕達は肉を数品頼みました。どれも砂糖をたっぷり含んだタレに漬け込んであるせいもあり、グリルに乗せると砂糖が焦げて黒くなります。肉の焼き色ではなくて、タレの焦げ色になってしまうのです。そして肉は、ズバリ美味しくありませんでした。

「NY 風の高級感」と言っていた誰かを恨みたくなりましたが、むしろそれを信じた自分を恨みたくなりました(笑)。肉はまさに「安いアメリカ牛を薄く切って砂糖をたっぷり入れたタレに漬け込んだ」という味です。ちなみに、隣席にも日本人男性グループが座っていましたが「甘すぎ」「これはないなー」と言っていました。

日本人からしたら、美味しくないのは間違いないようです。それにしても、日本ではチェーン店でもそれなりに美味しいものです。ファミレスだって最近ではそこそこ美味しいのに、なぜかNY 牛角は美味しくありません。もしかしたら、開店当初は日本人スタッフが現地スタッフを教育していたけれども、そのうち現地スタッフが入れ替わって外国籍の兄ちゃんが料理をするようになった、というパターンかもしれません。こういうレストランの質の低下はNY あるあるです。

ちなみに、ロサンゼルスのソーテルという地域に「マンプク」という塩カルビを出すチェーン店がありますが、そこはとても美味しいのです。「しお」がつくから美味しいというわけではなく、お肉も美味しいし、味付けも良いのです。しかし、NY の焼肉屋は他にも数件行きましたが、レベルが非常に低いです。NY のレストランは平均点が低いと僕は思うのですが、焼肉屋にも同じことが言えます。

まあ、焼肉屋でお肉が美味しくないなんてことは時々出くわします。しかもNY で初めて訪れる店なら、それくらいの覚悟は必要です。僕達はさほど落胆もしませんでした。しかし、もう肉を注文する気分にはなれないし、かといってお腹はまだ空いていました。

そこで、ラーメンを注文することにしたのです。4種類あるラーメンから、僕は「スパイシーカルビラーメン」を注文しました。ユッケジャンスープにラーメンの麺が入ったようなものを日本の焼肉屋で何度も食べたことがあります。恐らくそれに似たものだろうと想像しました。一方、ちゃっこは「ミソラーメン」を注文しました。ちゃっこに「何故ミソラーメンを選ぶの?」と訊いたら、「ミソラーメンならマズく作るのは難しいと思うから」というなかなか的を射た答えが返ってきました。

本当の惨劇はここから

そして、ラーメンが運ばれてきました。「スパイシーカルビラーメン」ということで、赤いスープをイメージしていましたが、何やらとんかつソースのようなどす黒い色をしています。まず僕は、スープを一口飲んでみました。そして仰天しました。

「カレー味や!」

「スパイシー」だからカレーは嘘ではありませんが、焼肉屋でスパイシーカルビって言っておいて、カレー味にする?ヒネリの効かせすぎです。

しかも、カレー味といってもカレーラーメンではないのです。「カレーを隠し味に使ったけれども、隠しきれずにカレー味がバレちゃった」というような味なのです。そもそも、カレーは隠し味に最も向いていない味です。どんな料理に入れたって、入れたが最後、カレー味になってしまいます(笑)。

しかし、ほんのりカレー味なら美味しいはずですが、そう物事は易しくありません。例えてみたら、他の客が飲み干せなかったカレーうどんの汁が残った丼ぶりに、焼肉用の甘い醤油ダレを入れて、インスタントの牛スープで薄めたような味です。妙に甘く、中途半端にカレー味で、えも言われぬ変な風味です。極めて、極めて、極めて、マズイです(笑)。

でも、僕はお腹が空いていました。スープはまずくても、麺を食べれば良いじゃないですか。僕は、箸で麺をつかみ、すすってみました。そして仰天しました。

「麺じゃない!大根のツマや!」

なぜ、どうして、ラーメンにカレーを入れて、甘ダレを入れて、大根のツマを入れますか?何をどうしたら、そういった斬新すぎる発想が生まれるのでしょう?それが「NY風高級感」なのでしょうか。不思議でなりません。

ちなみに、韓国料理で「カルビスープ(カルビタン)」というと、骨付きカルビと大根が透き通ったスープに入っています。カルビタンの大根はとてもスープに合っていて、そこにラーメンの麺を入れてもきっと美味しいと思います。しかし、大根のツマはいくらなんでもNG です。スープに合わないどころか、不愉快になるどころか、それを通り越して面白すぎます。

しかも、この大根のツマが丁寧に麺のような長さに調節してあるのです。「大根がまるで麺みたい!」と思わせたかったのかもしれません。百歩譲ってその大根を食べてみましたが、「喧嘩売ってる?」と言いたくなる味です(笑)。僕は心に平静を取り戻すことを意識しながら大根を食べました。

すると、その「大根麺」の下からラーメンの麺が出てきました。「やればできるやん!」と褒めたくなりましたが、きっとマズイ大根麺の後にラーメンの麺を食べたら、「辛い思いをしたからこそ【普通】ということのありがたみ」が分かるのが狙いなのか、とさえ深読みしてしまうような一品です。

さて、僕の頼んだ「スパイシーカルビラーメン」は悲劇でした。でも、ちゃっこは「ミソラーメン」という賢い選択をしました。相手を信頼できないような場合、やっぱり無難なものを選び、しかも「マズくなりにくい品」を選ぶのは懸命だと言えます。そして、ちゃっこも自分のミソラーメンのスープに口をつけました。そして、彼女は固まりました。

僕は、何が起きたのか理解できず、ちゃっこのミソラーメンを見て、ちゃっこの顔を見て、再びミソラーメンを見て、自分もそのスープに手を伸ばしました。そして一口飲んで仰天しました。

「カレー味や!!」

なぜ、どうして、何をどうしたら、ミソラーメンにカレーを入れる気になったのでしょう?読者の皆さんは、「それ何かの間違いじゃない?」と思われるかもしれませんが、間違いではありません。というのも「(よかれと思って)わざとやった感」が満載なのです。

僕のラーメンにせよ、ちゃっこのラーメンにせよ、カレーを隠し味(笑)にすることで、「よりおいしく」なると信じて作ってしまったという感じがアリアリとしているのです。ちなみに、以前ラーメン屋でちゃっこのつけ麺のつけ汁にかえし(タレ)が入っておらず、まるっきり塩気のないつけダレを出されたことがありました。しかしあれは不可抗力のミスでした。今回のカレー味は、そういった不可抗力ではなくて、明らかな確信犯です。だから、「これ間違いじゃないですか」と苦情を言っても、「これがうちの味です」と返ってくるに違いありません。

ちなみに、僕達が注文しなかったラーメンに「キム・チーラーメン」「ごま・ねぎ・シソラーメン」がありましたが、なぜ「キムチ」と書かずに「キム・チー」とメニューに書いたかという疑問は別として、「この2つもカレー味なのだろうか?」という好奇心
が持ち上がりました。しかし、きっとその答えは知らない方が良いに決まっています。

ということで、ちゃっこも僕も、お腹が空いていたにも関わらず、ラーメンを完食することができませんでした。店を出る時にちらっとトイレ臭い厨房を覗いたら、案の定、メキシカンっぽいお兄ちゃんと、南米コロンビアっぽいお兄ちゃんが料理をしていました。むしろ、メキシコかコロンビア料理を作ってもらいたかった…。

帰り道、ちゃっこがぼそっと「でも、ラーメンの上に乗っていた冷凍コーンは美味しかったよ」と言った言葉が非常に印象的でした。次はもっと美味しいものを食べさせてあげようと心に決めたのでした(笑)。

 

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ねこブロガー/ダンスインストラクター/起業家/医学博士。免疫学の博士号(Ph.D.)をワシントン大学にて取得。言葉をしゃべる超有名ねこ「しおちゃん」の飼い主の『しんコロメールマガジン「しゃべるねこを飼う男」』ではブログには書かないしおちゃんのエピソードやペットの健康を守るための最新情報を配信。

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