お客様からの本音の声、いわゆる「口コミ」がビジネスを大きく左右するようになった昨今のサービス業。飲食店や美容室などを利用するとき、実際に利用した人の口コミを参考にしている方は多いのではないでしょうか。無料メルマガ『ビジネス真実践』の著者であり、戦略コンサルタントとして活躍する中久保浩平さんは、こうした「生の声」に耳を傾けることが、お客様の本音を知ることができる最短の近道だと説いています。
お客さんの本音を知る
ビジネス本などを見ていると「お客様の声を集めましょう」というようなことがよく書かれています。では、お客様の声を集めるとどんなメリットやベネフィットがあるのでしょうか? 今一度、考えて見ましょう。
「お客様の声」を見たほかのお客様が…
・商品やサービス、あるいは会社やお店に対して安心感を覚える
・商品やサービス、あるいは会社やお店に対してに親しみを覚える
これらによって、お客様がどんどん集まってくる。要は、お客様の声は説得力があるからですよね。食べログなんかは典型的ですね。
さらに、会社、お店としての信用を売ることができるので、販売、成約に繋がりやすくなる。お客様の声を見て仕事のモチベーションが上がるし、クレームへの対応策が講じられる。その結果、Q&Aが充実したり、商品やサービスの改善、開発のヒントを得ることが出来る。
などなど、他にも色々あると思います。
ですが、「声を集める」という考え方では本当の声、つまりお客様の本音というのは集まりません。お客様の声を集めるためにはアンケートに記入してもらうのが手っ取り早いですが、アンケートにお客様の本音が書かれていることは稀です。たとえば、ファミレスなんかでよく見かける、
<「当店の料理やサービスにご満足いただけましたか? 」
良い・まぁまぁ良い・普通・ちょっと不満・不満>
などの評価をしてもらうための選択肢を設けたアンケートがあったりしますが、ほとんどの回答が、まぁまぁ良い、や普通です。
また「お客様の声を参考に益々ご満足いただけるサービスを提供していきますので、ぜひ率直なご意見をお聞かせ下さい」というような記入式のアンケートもあります。
しかも協力してくれたらソフトドリンクサービスとかの特典をつけて。特典がついていると特にですがたいていが、「美味しかったです。満足です」といった内容の当たり障りないものが書かれています。
そして、そうしたアンケート結果を集めて見ては、
「今日も良い評価を頂いた」
「今日もお客様に満足頂けた」
「お客様は応援して下さっている」
など自己満足に浸るのです。で、さらに「ほら、こんなに満足してもらってますよ」と他のお客様にアピールします。
確かにそれだけで、アピール材料になったり、スタッフのモチベーションに繋がったりすることもあります。ですが、真にお客様のことを考え、より良いサービスや商品提供を目指したり、会社、お店のより良い発展を目指すのであれば、お客様が気を使うようなアンケートだけでは意味がありません。
お客様の本音を知ることが必要です。
では、お客様の本音を知るにはどうしたらいいのか? アンケートで声を集める、という考えをまずは捨てることです。アンケートに頼らず、生の声に耳を傾けることです。しかもお客様が思わずポロッと溢した一言、二言を拾うことです。
たとえば、自分がお客であるときに、商品の値札を見て、「高ッ!」とか逆に「安ッ!」と口に出してしまったり、飲食店だと「旨ッ!」とか「辛ッ!」とかなど、思わず口に出してしまったことってあると思います。
こうしたポロッと出た一言二言は感情からそのまま出た言葉であり、遠慮や気遣いのない言葉です。いってみればそれこそ本音であり、鮮度のある生の声です。
商品の値札を見て、「高い」や「安い」と感じているということは品質改良や梱包などのパッケージやディスプレイなどの魅せ方などの工夫やあるいは価格の見直しなど、いくつも考えられることが出てきますし、飲食店で「旨ッ」って思わずお客様が言っているのを見れば、そのメニューのクオリティーを保つことが重要であるということが わかるし、そのメニューから幅を拡げる、逆に幅を狭める、といったことも考えられます。
つまり、お客様の本音からは、アンケートで集めた声では得ることの出来ないヒントをいくつも得ることが出来るのです。これほど貴重なものはありません。ですので、こうしたポロッと出た声を拾うのです。
とはいっても、常にお客様を監視し、聞き耳を立てるというわけにはいきませんよね。だったらどうするかっていうことを考えるのが、経営者や店長の仕事だったりします。
お客様が本音をポロッと溢す瞬間。それはどのような瞬間だと思いますか? また、どのような工夫をすれば、お客様の本音を知ることができると思いますか?
■今日のまとめ
「お客様の本音を知ろう。」
・お客様が本音をもらす瞬間はどのようなときか? 考えノートに列挙していく。
・お客様の本音を知るにはどのような工夫ができるか? 考えノートに書き出す。
・上記を社内でも話し合い、本音を集める。
・集めた本音を自社(自店)に活かす。
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