社会生活を送る上で、相手の価値観を尊重するということはもっとも気遣うべきことのひとつですが、自分の子供に対して、それを実行できているでしょうか。今回の無料メルマガ『子どもが育つ「父親術」』では様々なシーンを例に取り、子どもの「大切」を尊重してあげる重要性を記しています。
価値観を尊重する
今日のテーマは、「相手の価値観を尊重する」ということについて。
それだけ聞けば、確かに大事なことだよね、と感じます。ですが、日々の子育ての中で、具体的にどのような場面でどのような判断・行動をすれば「相手の価値観を尊重する」ことになるのかは、意外と見えづらいものでもあります。私の体験談を例に、詳しくお伝えしますね。
わが家で大事な用事ができて4人で出かける必要が生じました。その日程を検討していて、妻も私も都合がつく木曜の夕方にしよう、となりました。念のため子どもたちにも伝えます。「用事で出かけるのは木曜日、学校が終わった後にしようと思う。空けといてね」。すると、娘が「えーっ…ちょっとその日はやりたいことがある」と返してきました。そうでした。その日はバレンタインデー。娘は友達にチョコレートを届ける計画を立てていたのでした。
その瞬間、私が反射的に思ったのは、「でも、それは今回の用事に比べれば、どうでもいいことだよね? そんなことで用事を先送りにするの、おかしくないか?」という反論でした。でも、すぐに気が付きました。娘にとっては、いま一番大切なことなんだろうな、と。
結局、用事で出かけるのは延期することに。
娘は、木曜の放課後、張り切ってチョコレートを届けに出かけました。帰宅後にイキイキと話をしてくれる娘の様子を見て、この判断で良かったのかな、と今は思っています。
物事の重要度・大切さの尺度は人によって異なります。
- 子どもにとっての「大切なこと」は、子ども自身の尺度で決まる
- 子育てで「相手の価値観を尊重する」ということは、子どもの「大切」を、大人の「大切」と同じように尊重すること
これらは当たり前のことではありますが、実際には忘れがちですよね。私が「家族の用事の方がずっと重要だろ!」と思ったのは、娘の計画を「私の尺度で」見てしまっていたから。でも、娘の計画を「娘の尺度で」見れば、いま一番重要なイベント! なのですよね。
相手の尺度での「大切」なことを、自分の「大切」と同じように扱ってあげるということ、意識していたいものです。
他の例で言えば、
- 電車がよく見えるスポットへ
→そろそろ帰ろうか
→あと15分待てば、特急が来る!
→でもそろそろ帰らないと、ご飯の支度が…
時間通りにご飯の支度をしたい、ということも大切。でもそれと同じように、この機会に特急列車を見たい、ということも大切なこととして扱ってあげたいです。この場面であれば、今しかできないこと=特急を見てから帰ることを優先してあげてもいいのかな、と思います。
- 夜、夢中になって本を読む子ども
→もう寝る時間だよ
→もうちょっとでこの本読み終わるから、最後まで読んでしまいたい
→明日の朝起きられなくなったら困るでしょ!
規則正しい生活・充分な睡眠は、間違いなく大切です。でも、読書に夢中になること、残り4ページだけだから読み切ってしまいたいという思いも、同じように大切なこととして理解してあげたい。この場面も、柔軟に対応して、本を読み終わったら就寝、としてあげても良いと思います。その結果翌朝に苦労したら、それはそれで良い経験ですし。
なお、子どもの「大切」を尊重すると言っても、全て言いなりになる・要望に応えるという意味ではありません。検討・相談の結果、子どもの「大切」をあきらめてもらう場面が出てくることも、当然あるでしょう。その時に、子どもの「大切」を大人の「大切」と同等に扱って検討・相談の対象にすることが、尊重しているということになるのです。そして、子どもの「大切」をあきらめてもらう時には、それに相応しい態度・言い方で伝えることも忘れずにおきたいところ。
普段から子どもの「大切」を尊重してあげていると、子どもの方も大人の「大切」を尊重してくれるようになり、相談もしやすくなりますよ。子どもの価値観を尊重すること、ぜひ気に留めて過ごしてみてくださいね。
image by: Shutterstock.com