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怒りや不快感を示すことも…商談の交渉はメールでも可能なのか?

例えば商談相手がメールでの返事を求めてきた時、先方にはどんな思惑があり、そしてこちらはどうリアクションを取ればいいのか―。そんなちょっと判断に迷う状況の切り抜け方が、無料メルマガ『弁護士谷原誠の【仕事の流儀】』で紹介されています。交渉のプロ・弁護士のアドバイスは?

本当にメールでいい?

こんにちは。弁護士の谷原誠です。

「交渉」という言葉から、どのような光景を思い浮かべますか? 多くの方が考えるのは、会議室や応接室で、相手と面と向かって話し合いをしている光景でしょう。

しかし、実際は、交渉を面談の他、細かいことはメールや電話で協議することも多いものです。今回は、このメールでの交渉はどのように使うべきかを考えてみたいと思います。

メールでの交渉を検討する際、まず考えなくてはならないのが、その交渉が「感情」を伴う交渉なのか、ということです。

事務レベルの話であればメールで問題はありませんが、怒りなどの感情の揺れを伴う交渉は、メールは不向きです。

たとえば、メールをやり取りしている途中に、何かのきっかけで、相手から怒りを伴う文面不信感を示すような文言を受け取った場合は、すぐに電話に切り替えたり、面談を依頼したりといった方法をとる必要があります。

メールの文章は直接的、攻撃的な印象を与えることが多いため、このタイミングを逃すと、感情がこじれてしまう危険が高くなります。

感情の変化がない事務的な交渉は、メール・面談どちらでもいいということになります。手間を考えるとメールで済ましてしまいたくなるでしょう。

しかし、メールで交渉を行うことにはメリット・デメリットがあることも知っておきたいところです。

ひとつは、「返信するまでに時間を置くことができる」こと。

もうひとつは「相手の反応が見えない」ことです。

こちらからの提案や依頼について、どう回答するか、時間をかけて検討されたくない場合、あるいは、こちらの提案に対して相手がどのように反応するかを見て、新たな提案をしたい、といった場合は、メールでの交渉は向きません。

こちらから送る場合だけではなく、相手からメールが来た時も要注意です。

メールで意思を確認された場合、相手方には、こちらからの返信の内容をみてから、時間をかけて次の展開を考える思惑があることが考えられます。

たとえ、相手がメールでの返信を希望していても、折り返しを電話で行ったり、「その点は、重要なことですので面談で話し合いましょう」と提案したり、したほうが良い結果が得られることがあります。

交渉は、よくボールのやり取りに例えられますが、自分がボールを投げるターンでは、その都度、メール、電話、対面と、どの手段によるのが有利になるのかを考えつつ、切り替えを検討することが重要なのです。

交渉を面談で行うか、電話で行うか、メールで行うか、それ自体も交渉の駆け引きの中に含まれている、ということですね。

image by: Shutterstock

 

弁護士谷原誠の【仕事の流儀】
人生で成功するには、論理的思考を身につけること、他人を説得できるようになることが必要です。テレビ朝日「報道ステーション」などテレビ解説でもお馴染みで、「するどい質問力」(10万部)、「弁護士が教える気弱なあなたの交渉術」(アマゾン1位獲得)の著者で現役弁護士の谷原誠が、論理的な思考、説得法、仕事術などをお届け致します。
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