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中国が世界の秩序を乱す。米国務長官が語る日米印同盟の可能性

前回掲載の「米中新冷戦時代を日本が生き残るために、インドの力が必要な理由」で、アメリカとともに「インド」を日本にとっての最重要国家としてあげた無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』の著者で国際関係研究者の北野幸伯さん。今回は、それを裏付けるアメリカのティラーソン国務長官の発言について、解説を交えながら紹介しています。

日米印同盟の可能性、「中国は世界秩序を乱す搾取国家!」(ティラーソン)

前号では、「日本は将来、大国を目指すべきか? アメリカと組み続けるべきか?それともインドと組むべきか?」というご質問にお答えしました。

私の答えは、「アメリカとの同盟を維持し、軍事的自立も果たし、インドとも同盟を結ぶ」でした。まだ読んでない方はこちら。

米中新冷戦時代を日本が生き残るために、インドの力が必要な理由

つまり、「日米印同盟」ですね。これに関連して、アメリカのティラーソン国務長官が、その

を披露しました。見てみましょう。

中国は、秩序を乱す搾取国家

ティラーソンさんは10月18日、こんなことを語りました。

「中国は秩序を乱す搾取国家」、米国務長官が非難

CNN.co.jp 10/19(木)11:42配信

 

ワシントン(CNN)米国務省のティラーソン長官は18日に行った講演で、中国が世界秩序を乱し、近隣国の主権を侵害し、他国に対して無責任で搾取的な経済政策を推進しているとして強く非難した。

中国は、

そうです。

この日の講演は米国とインドの関係がテーマだった。ティラーソン長官は中国について、「インドとともに台頭しながら、責任感は薄く、時として国際的な規範に基づく秩序を乱してきた」と批判。「中国の南シナ海における挑発行動は、米国とインドが支持する国際法と規範に対する直接的な挑戦」と位置付けた。
(同上)

これ、中国の話をしているのですが、実はインドの話もしています。

「インドとともに台頭しながら、責任感は薄く、時として国際的な規範に基づく秩序を乱してきた」

この部分、「インドは、中国と違って、責任感があり国際秩序を守っている」という意味でもある。

「中国の南シナ海における挑発行動は、米国とインドが支持する国際法と規範に対する直接的な挑戦」

この部分、「中国は国際法を守らないが、アメリカとインドは守っている」という意味でもある。

米国は中国との建設的な関係を望んでいるとしながらも、「中国は近隣国の主権を侵害し、米国および友好国に損害を与えている。だがそうした秩序に対する中国の挑戦によって、我々が萎縮することはない」と力説した。
(同上)

中国は、

しかし、

そうです。

ティラーソン、「インドの位置づけ」を語る

ここまでは、中国がいかにひどいか、という話でした。では、インドはどうなのでしょうか?

ティラーソン長官はまた、米西海岸からインドにかけての秩序を米国と同盟国で守る「インド太平洋」戦略構想について、この構想を支える国家としてインドや日本を位置付け、インドについては「極めて重大かつ重要な民主国家であり、この地図の片側を固定する」と述べた。
(同上)

インドは、「極めて重大かつ重要な民主国家」だそうです。

ティラーソンさん、日本についても語りました。

日本については「我々が極めて強固な安全保障関係を築いているもう1つの非常に重要かつ強力な民主国家であり、地図のもう片側を固定する」と位置付けた。
(同上)

非常に重要かつ強力な民主国家」だそうです。

日米印同盟の可能性

ティラーソンさんの話から何がわかるでしょうか?

「米西海岸からインドにかけての秩序を米国と同盟国で守る『インド太平洋戦略構想」というのがあるのですね。その最重要パートナーが日本とインドであると。これは、私がRPEで大昔から書いていることと変わりません。日本の最重要パートナーは、アメリカとインドである。そして、ティラーソンさん、日本、インド、中国、三国との関係について、こう断言します。

ティラーソン長官は中国について「重要な関係を持つことになる」としながらも、「非民主社会である中国とは、主要民主国家と同じような関係を持つことは決してない」と付け加えた。
(同上)

ティラーソンさん、アメリカにとって日本、インド、中国は、

だと断言しています。

ティラーソンさんは、エクソン・モービルのCEOだった人。トランプさんと同じで、親ロシアである。しかも、ティラーソンさんは、ロシアから「友好勲章」を受け取っています。残念ながら、彼とトランプさんは現在不仲で、「解任は近い」と噂されています。しかし、中国の脅威と、日米印同盟の重要性を理解しているティラーソンさん、なるべく長くがんばってほしいですね。トランプさん、彼を首にしないでください!

image by: Krysja / Shutterstock.com

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【著者】 北野幸伯 【発行周期】 不定期

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