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「いらっしゃいませ」もなく無反応。酷すぎる店の呆れた接客

「いらっしゃいませ」という、接客業の基本中の基本の挨拶。けれども昨今は惰性で口にする店が増えているようです。今回の無料メルマガ『飲食店経営塾』では著者で若手飲食店コンサルタントとして活躍中の中西敏弘さんが、「いらっしゃいませ」を言う3つの目的とその重要性について、プロの目線で厳しく論じています。

あなたの店の「いらっしゃいませ」は本来の目的を果たせているだろうか?

あるお店に行った時のこと。

入り口の扉を開けると、スタッフが出迎えに来てくれた。しかし、笑顔もなくいらっしゃいませと声も小さめで、特に歓迎感もない。そのまま、このスタッフの方に連れられて席まで誘導されることになるが、オープンキッチンの前を通っても、キッチンスタッフは顔を下に向けたままで作業を続け無反応」。僕たちが来店したことに気づかない様子…。

そして、席に着いたと思ったら、なにやらテーブルまで案内してくれたスタッフが、おもむろに手をたたいた。と同時に、スタッフが声を揃えていらっしゃいませ」と声を出している。でもその声は小さい。そのためか、僕たちに「いらっしゃいませ」と言っているのか、次のお客様に対して言っているのか分からず、「ふ~ん」と思いながら、メニューを選ぶことにした。

こんなお店が最近増えている

恐らくこの店は「いらっしゃいませ」と揃えていうことを目的として、手をたたくことを合図にし、皆で「いらっしゃいませ」と言おうという仕組みになっているのであろう。

しかし、ここで考えなければならないことがある。そもそも「いらっしゃいませ」とは、何のために言うのかということ。揃えていうことが「いらっしゃいませ」の目的なのであろうか? 本来「いらっしゃいませ」をいう目的は、次の3つであると言われている。

  1. お客様に「感謝」の気持ちを伝えるため
    →数あるお店の中から、自分の店を選んでいただいてありがとうございます」と気持ちを伝えるため
  2. ご来店いただいたお客様を「不安」にさせないため(安心感を与えるため)
    →お客様が来店した際に、スタッフから声がかからないと「不安」になるもの。せっかくご来店いただいたお客様に不安感を与えないようにするため。この目的を達成するためには、お客様に聞こえる声で「いらっしゃいませ」と発声することがポイントとなる。
  3. 他のスタッフへの「合図」のため
    →お客様がご来店されると同時に、色々な仕事がスタートします。水やおしぼりの準備をしたり、アルコールを売るお店であればお通しの準備をしたり…。お客様が来店されることで様々な仕事がスタートする。お客様がスムーズに食事をすすめられるよう、準備を促すという意味あいもある。この3に関しても、店で働く他のスタッフに伝えることが必要だから、ある程度の声量で「いらっしゃいませ」と発声することが重要となる。

この3つの目的を果たすために、「いらっしゃいませ」と言っているわけで、声を「揃える」ことが目的ではないはずだ。

最も大切なのは、数あるお店の名から自分たちの店を選んでいただいているわけだから、その感謝の気持ちを伝えたり、十二分に「歓迎しているという意思を示すことが大切。この目的意識をすべてのスタッフが持っていれば、キッチンスタッフであろうと、声をだして「いらっしゃいませ」とお客様の顔を見て言うだろうし、目的を考えればわかる事である。

確かに「活気」をだすことも大切だが、席に案内する時に案内スタッフが大きな声をだし、それを合図に皆で「いらっしゃませ」と言えば、十分な活気がでる。なぜ、こんなことになってしまうかと言えば、目的意識が低かったりお客様視点になり切れていないことが原因。

どんな仕事にも必ず目的がある。目的がない仕事はやめた方がいい。「ただなんとなくやる」「周りがやっているから」という理由で各仕事をやるのではなく、「本来の目的はなんなのか?」ということを考えて、様々な仕事を行うべきであろう。

さて、皆さん店では上記のようなことが起こっていないか? また、目的もなく「ただなんとなく」やっている仕事はないか? 見直してみてはいかがだろうか?

image by: Shutterstock.com

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若手飲食店コンサルタントとして、人気急上昇中の飲食店経営コンサルタント、中西敏弘が「売れる」飲食店作りの秘訣を論理的に、そして分かりやすく解説します。

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【著者】 中西敏弘 【発行周期】 毎週2回

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