日本の鉄道が「20秒早い発車で謝罪」、海外メディアでも大反響

 

2つ目は、その「発表体制」ということです。これはかなり興味深い問題なのですが、何かイレギュラーな事例が起きた場合に、このTXというのは、かなり早いレベル、あるいは微小なレベルの問題でもHPで情報開示をするようにしているようです。勿論、秋葉原駅で発生した「トイレでの自殺者の発見が遅れた」というような問題もあるわけで、大いに反省した上で情報発信の透明性が当然のように要求されるという流れもあるわけですが、それ以上に徹底して開示しているようです。

そこには、ミスが発生した場合には、HPでの開示ということで発表し、これを見た当事者なり全員が自主的にミスの削減に取り組むというスタイルを模索しているのだと思います。これを管理強化というべきなのか、あるいは自由放任というべきなのかわかりませんが、経営上の実験であることは指摘できそうです。

そんなわけで、今回の「20秒事件」だけでもTXのユニークさが分かるわけですが、一方で面白いのは「ホームドアへの挟み込み」といった「明らかに乗客に非のある事例」に関しては、積極的には発表しないのです。ここに、乗客にも「自己責任という自覚」を持ってもらおうという静かなメッセージが感じられます。

その上で、できるだけ従業員数を抑えるような経営をしています。では、ブラック経営なのかというと、実はそうではないのです。他社のように、賃金を抑えた契約社員や、外注の警備会社を使って「低賃金労働力」に頼ることはしない一方で、正社員の処遇は年収ベースではかなり良いレベルにしているのです。長時間労働の問題は出ているようですし、24時間勤務という体制は、問題だとは思います。ですが、これも「ブラック」という悪質な経営とは違い、できるだけ要員を抑えて一人当たりの分配を高めるという経営姿勢の弊害として出ていると見ることができます。

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