寒い冬は外に出るのも億劫になりがち。それならば、暖かい部屋で普段はなかなかできない読書を楽しんではいかでしょうか。今回の無料メルマガ『システマティックな「ま、いっか」家事術』では著者の真井花さんが、本を読むことの有用性を説いた上で、「今年読んだおすすめの書籍」を、簡単なあらすじとともに紹介しています。
冬に読む本
さて、本日は恒例の本のお話。
このメルマガでは繰り返しお伝えしていることですが、「人生で困ったら、本屋に行け」です。
みなさんは、1万字の文章を書いたことがありますか? 400字詰めの原稿用紙で25枚。こうやって計算してみるとぎょっとしたかもしれませんね。まとまった分量の字を書くなんて、学生時代だけでその後はせいぜい報告書くらいなんて方もいらっしゃるでしょう。
そして、学生時代に読書感想文や卒論を書いたとき、数枚の分量を書くのがどれほど大変だったのか覚えていると思います。
ところが、フツーの本はだいたい原稿用紙で200枚分です。200枚ですよ、200枚!! 厚い本や二段組みのものなら、もっとずっと多いんです。しかも文字が羅列してあるわけじゃないんですよ。読んだ人を納得させ感心させる内容なんです。
そして、そのテーマは、著者が「これは知りたい人がいるはず」「役に立つはず」「自分の研究成果を残しておきたい」と考えたものなんですよ。
ほら、ちょっとは本がありがたく思えてきましたか?
著者の膨大な労力と知力と時間をかけて作られた本が、星の数ほど集まっているのがリアル書店や図書館なんです。あなたの悩みがたとえどんなものでも
- 料理が上手く作れない
- 産後クライシスから別居中
- 子供を叱ったら跳び蹴りされた
- パートナーが家事を分担してくれない
- 結婚するのがバカらしくなってきた
- 厳しすぎた実の親をいまだに許せない
たとえばこんなカンジでも、それは人類初めての悩みなんかじゃナイですよね。というか、むしろ手垢がついているくらいでしょ? きっとすでに先人が七転八倒しながら解決策を模索して実施してPDCAを回しながら、解答を見つけてくれているんじゃないでしょうか。その解答自体が本という形にまとまっているんですよ。
ところがね。本を読み慣れていないと、ここぞというときに本から解答を読み出せないんです。なにせ本に解答が書いてあることさえ知らないし、どんな本をどのくらい読んだらいいのかも解らないはずですから。
結果的に
本を役立てられない
んです。
…もったいない。じっっっっつにもったいないですね。じっっつにもんだいがいですね。あ、間違えた( ̄∇ ̄)。
てなわけで、このメルマガでは(いや、他でも同じことを言う人はたくさんいるんだけど)、とにかく本を読む事を強く薦めているわけです。ま、本を読むなら面白い本に当たりたいと思うのが人情。なので、ここでは今年読んだ本の中から、面白かったと思う本をご紹介します。他にもいろいろあったんですが、絶版とか分野が特殊すぎるという理由で落選させました(T_T)。
『子育ての大誤解 上・下』
子供の頃には読み聞かせを、3歳までは母親自身ができるだけ手をかけて育てる、感情的に叱らない、たくさん抱きしめる……理想の子育てのためのハウツー。実はそれがほとんど意味も根拠もないことだとしたら…。子育てに関する俗説を豊富な実例を元に論破しまくる。分厚い本ですが、読む甲斐がありますよ。子育てが難しくなりすぎて自分にはムリと感じている方に。
『暴力の解剖学』
頭蓋骨の奇形が犯罪を引き起こすと主張したロンブローゾ。一見荒唐無稽に思われるこの説が、改めて脚光を浴びている。この本は幾多のデータから犯罪に生来的遺伝的要素があることを伝える。人種差別的に利用されかねず、実に危険。だが一方で、人間が本来均しくないという、当たり前の恐るべき事実を呈示する。ロンブローゾを嗤った方に。
『世界のへんな肉』
あなたは犬のダックスを食べたことがありますか。ナイよね、フツー。それどころか「そんな残酷なことを言うなんて!」と思うかもしれない。この本ではそんなフツーの日本人が世界を旅して、いろいろな肉を食べるお話。食べモノとしての肉と可愛いペットあるいは畏怖と尊敬の対象たる動物との境界線は、どこか。それはすなわち、命の範囲と根源を問われること。牛も豚も鶏も食べるのにダックスは食べないなら、是非。
『ナオミとカナコ』
夫・達郎からDVを受けているカナコは、親友のナオミと達郎を殺害する計画を立て始める──-「こんなガラクタ男となんで一緒にいるんだ!」「最初にやり返さないからダメなんだよ」とこれを読んだ夫が怒る怒る(^Д^)。不当な扱いを受けたときには、即座に異議申し立てをする。それをしない結末が殺害という恐るべき結果なのだと思う。暴力と反抗を考えたいときに。
『料理は女の義務ですか』
家庭の料理が難しくなりすぎて、二極化している───家事系メルマガを書いてきて、そう感じる。この本は、まさに私のこの感覚を文章で表現してくれている。歴史を俯瞰しながら家庭料理を考えており、日本の家庭料理が歴史的にみてどんな場所にいるのかよく解る。なんで毎日食べるもののことばっかり考えてなきゃならないの?と思う方へ。ま、タイトルはもうちょっと考えた方がもっと売れるんじゃないだろうか。
本は読み慣れておくこと。それが、家庭内の人間関係や家事や子供の教育やDVや老後の不安を具体的に解消してくれる基礎力になるんですよ。
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