飲食店で働く人と話していると、口をついて出るのは「休みも少ないし、安月給だし、やってられませんよ」という愚痴にも似た言葉ばかり。確かにそれも事実のひとつですが、ご自身の仕事の「最大の役割」を忘れかけていませんか? 今回の無料メルマガ『飲食店経営塾』では著者で飲食店コンサルタントとして活躍中の中西敏弘さんが、飲食店の仕事が担う「社会での役目」について熱く論じています。
飲食店の仕事は、「社会貢献」につながる仕事なのか?
「他人への貢献」を明文化したものが、企業のミッションにほかなりません。
私は、自社の存在意義や、自社のサービスが社会にどのように貢献しているのかを伝え、働く人に使命感や貢献感を持たせてあげるのは、企業の重要な役割であると考えています。
特に若い人たちにはとっては、仕事で自己実現を図ろうにも、知識がスキルがなく、経験も浅いため、すぐに納得のいくような成果を出すことは難しいでしょう。自己実現性の満足を高めるには、自身の成長が前提ですから、そりなりに時間がかかります。
経済性についてもまた、同様のことがいえるでしょう。
だからこそ私は、働く人に「社会性」の目的を持たせてあげることが大事だと思うのです。
とは、『1枚の「クレド」が組織を変える!』(実島誠・著/実務教育出版)の一説。
仕事の目的意識の持たせ方で、働き方が変わってくる。なので、会社の理念(ミッション)に基づくような仕事には、顧客や社会や使命感・情熱のようなものが生まれ、「やらされ感」のような感覚がなくなり、主体的な仕事ができるようになる、と述べられています。
先日、この一説をあるご支援先で読んでもらい、ミッション(理念)を深めるという勉強会を行ってきました。すると、多くの人が、「自分たちは本当に社会に貢献できているのだろうか?」「飲食店って社会に貢献している仕事なんだろうか?」とい疑問を持つ人おり、これが勉強会の中での大きなテーマとなりました。
飲食店で働くことが、社会に貢献することにつながるのか? 皆さんは、どう思われますか?
僕は、飲食店は十分社会に貢献していると考えています。人が飲食店を利用する理由は様々だとは思いますが、単純に「外食する事」だけが目的の人は少ないのではないでしょうか? きっと、外食することで、「気分転換したい」「身近なレジャーとして楽しみたい」「元気になりたい!」など、外食することで得られることを目的に飲食店を利用されているはず。もちろん、頭でこんなことを考えて利用している人はいませんが、これらのことが頭の奥底にあって飲食店を利用しているはずです。
自分の大好きな店で昼食をとって「午後からもっと頑張ろう!」ってお客さんを元気づけたり、お酒を飲ませる業態なら、「今日は嫌なことがあったから、ちょっとお酒飲んでおいしい料理食べて、気分転換して明日から頑張ろう!」って。これらのことは、十分世の中の人の「ため」になっているではありませんか?
また、店が増え、会社の業績が上がれば、その分高い税金を地域に収めることになるのですから、すごい社会貢献だし、また、店ができることで「雇用」を生むことにも繋がりますし、これも十分な社会貢献です。
飲食の仕事は、「体が資本で、時間が長いし、仕事もきついし…」、ってことばかりクローズアップされると、「楽しい仕事」とは思えないし、アルバイトに「魅力ある仕事だよ!」って言えないかもしれません。でも、上述したように、「人を元気にする」という、世の中で大きな役割を担っているということを皆で共有できれば、仕事への意識が変わってくるのではないでしょうか?
だからこそ、会社の理念(ミッション)は、会社の存在意義を示すものである必要があるし、この意味を社内に浸透させることが大切になってくるのです。単に「売上さえあればいい!」「安ければ、お客さんはなんでもいいんだよ!」って店は、働く目的をスタッフに感じさせることは難しいですよね?
さて、あなたの会社・店は、ただ「売る」だけの店・会社にしますか? それとも、理念(ミッション)を追求し、使命感・貢献感を感じて仕事をする会社・店にしますか?
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