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「入ったら地獄」という悪質なブラック企業は首を洗って待つがいい

正社員の募集で入社したらアルバイトとしての採用だった、給料に聞かされていない固定残業代が含まれていたなど、全国で「求人詐欺」の被害が相次いでいます。これまでは取り締まることが非常に難しかったそうですが、ついに行政が動き出したようです。一体どのような法改正が行われたのか、無料メルマガ『採用から退社まで! 正しい労務管理で、運命の出会いを引き寄せろ』の著者で社労士の飯田弘和さんが詳しく記しています。

御社では、法改正に合った求人を行っていますか?

今年の1月1日から、企業が求人を行う際のルールが変わりました。これは、いわゆる「求人詐欺から求職者を守るためのルール改正です。

改正のポイントは2つ。

  1. 定額残業代制や裁量労働制を採用している会社は、それを求人の際に明示しなければならない。
  2. 求人の際の労働条件が採用までの間に変更された場合には、それを明示しなければならない。

このルール変更は、「求人詐欺」企業を、労働市場から排除することに役立ちます。では、「求人詐欺」とは、一体どのようなものなのか? 簡単に説明します。

「求人詐欺」とは、実際の労働条件が、求人票や求人雑誌に記載された内容とまったく違う劣悪なものであり、しかも、それがバレないように、内々定や内定の時点ではそれを明らかにしないというもの。それが明らかになるのは、入社直前や入社後だからタチが悪い。

判明したときには、もう引き返せない状態。新卒の場合、既に就職活動時期も終わっていて、今さら就職先を探すのは非常に難しい。転職するにも、入社数ヶ月での退職では履歴に傷が付く。結局、ダマされたとわかっても、そのまま働かざるを得ず被害者が辛い日々を送る羽目になる。

当然、求人詐欺を行うような会社が従業員を大切にするはずもなく、教育研修など殆どないまま、長時間残業や未払い残業代問題、パワハラをはじめとするハラスメント、そこから健康障害や精神障害の発症に至る場合も多くあります。

残念なことに、今までの法律では、求人詐欺を取り締まることは難しかった。なぜなら、求人票の内容は、あくまで「労働契約申し込みの誘引」であって、確定した労働条件ではないと考えられているから。

ですから、求人票に書かれている内容とまったく異なる労働条件であっても、会社と求職者が合意して労働契約を結べば、その条件で働かざるを得なかったのです。

しかし、今回の改正で、労働条件の変更明示が適切に行われない場合や、当初の明示が不適切だった場合には、行政による指導監督や罰則の対象となります。ですから、御社で求人を行う場合には、くれぐれもこの法律(職業安定法)に則った求人を行うようにしてください。ちなみに、自社のホームページ等で行う求人に対しても、この法律は適用されます。

以上を踏まえて、あらためてお聞きします。

「御社では、法改正に合った求人を行っていますか?」

image by: Shutterstock.com

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就業規則とは、入社から退社までの「ルールブック」であり、労使トラブルを未然に防ぐ「ワクチン」であり、効率的な事業運営や人材活用を行うための「マニュアル」でもあり、会社と従業員を固く結びつける「運命の赤い糸」でもあります。就業規則の条文一つ一つが、会社を大きく発展させることに寄与し、更には、働く人たちの幸せにも直結します。ぜひ、この場を通じて御社の就業規則をチェックしていただき、問題が生じそうな箇所は見直していただきたいと思います。現役社会保険労務士である私が、そのお手伝いをいたします。

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【著者】 飯田 弘和 【発行周期】 週刊

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