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「デッカいことはいいことだ!」が基本のアメリカが何でもデカい件

過去に掲載の「信じられない。日本人には到底理解できぬアメリカ人の異常な日常」などで、日本人とは全く違うアメリカでの日常を面白おかしく紹介してくださったメルマガ『NEW YORK 摩天楼便り-マンハッタンの最前線から-by 高橋克明』著者で米国の邦字紙「WEEKLY Biz」CEOの高橋さん。今回は「デカイことは素晴らしい!」というアメリカ人の価値観にスポットをあて、エピソードを紹介しています。

今日のニューヨーカー 「デッカいことはいいことだ! アメリカンサイズに慣れたら終わり」

先日、ふと歯医者の待合室で流れっぱなしになっているプロレス中継をなんとなく眺めていて、気付いたことがあります。

ベビーフェイス(善玉)が全員デカい! ヒール(悪役)の方がむしろ小さい。「いいモン」が筋肉ムキムキの大型レスラーに比べ、「わるモン」は、ひ弱とは言わずとも、そう強そうには見えないパターンがとにかく多いと思いました。

そういえば、昔からそうだったな。 ハルク・ホーガン然り、スティーブ・オースティン然り、ブロック・レスナー然り。 歴代のアメリカマット界の主役は基本、みんな巨漢レスラーでした。

日本は真逆でした。 馬場さんはともかく、猪木さん、藤波さん、天龍さん、長州さんと小柄なレスラーがトップをとってきた。 タッパ(身長)の高い、鶴田さん、前田さん、武藤さんですら、外国人レスラーと比べるとそう大きくはない。

もちろん欧米人に比べて体格的に恵まれていないモンゴロイドにとって「身体が小さくても正義の味方は巨大な敵に立ち向かっていく!」というアングルは苦肉の策だったというのも理解出来ます。 戦時中の巨大空母に突っ込む零戦特攻隊のごとく。

それにしても、アメリカのプロレスシーンを見ると、デッカい善玉が最後は許しを乞う小悪党をメッタメタにするのを見て、「ちょっと弱いものイジメしてるみたいなんですけど、、」と複雑な気持ちになったりもします。 しかも会場の観客はそれを見て、ヒートアップして、大歓声。 ストレス解消の仕方がヒドいな、、と思うのは僕だけでしょうか。 (もちろん台本アリのアメリカンプロレスでは、けちょんけちょんにやられても同情の余地ナシくらいに、悪役は悪いことを散々してきているストーリーラインが、それまでにあるのだけれど)

ともかく、この国に来て20年弱。 感じるのは「噂では聞いてたけど、ホントにアメリカ人って基本デッカいのが好きなんだなぁ」ということ。

やれハンバーガーの大きさとか、やれリビングルームの大きさとか、よく聞く実質的な物資の話だけではありません。

プロレスのヒーローと悪役のように、精神的にも「デカい方がそりゃ良いだろうという概念がこの国で暮らすとちょくちょく垣間見えます。

ハリウッド映画もそうでした。 僕たちが学生時代のアクションヒーローはシルベスター・スタローンに、アーノルド・シュワルツェネッガー。 今はドウェイン・ジョンソン(ロック様)に、ヴィン・ディーゼル。 それだけデカけりゃ強くて当たり前だろうな俳優がスクリーンの主役を張ります。 幼少期「一寸法師」を聞かされて育った僕たち日本人からすると、最初っからデカいなんて、ちょっと反則な気もします。

どうせ、デカくなるなら、せめて「変身」してからじゃないと認めない。 最初からデカいなんて、ウルトラマンに倒される敵(怪獣)だ。

以前、インタビューしたジャッキー・チェンが、渡米しても僕のような大きくないアクションスターは通用しないって言われたもんだよ」と笑って言っていたのを覚えています。

とにかく、この国はフィクションの性質ですら「デカい主義」なので、日常生活の周りのものは無駄に大きいです。 いや、彼らにとっては普通で日本人の僕からすると、というエクスキューズは必要なのでしょうが。 むしろ彼らからすると日本サイズが小さ過ぎる

スターバックスの日本のSサイズがアメリカにないのは有名な話ですが、以前、アメリカ人の友人に日本のSサイズの写メを見せるとなにこれ~カワイイ~!!!」とはしゃいでました。 いや、カワイく見せるために作ったサイズじゃないけどな。 たぶん、このサイズが一番注文が多いサイズだけどな。

「エスプレッソ用?」—、、バカにするな。

例えば、冷蔵庫。 とにかくこの国はデカいです。 無駄にデカい。 アメリカ人の不動産屋が備え付けの冷蔵庫の大きさをアピールするのを何度も聞きました。 日本人とその「不動産屋、冷蔵庫のデカさアピールあるある」で盛り上がったこともあります。

日本の家電のCMを見ると、容量の大きさをアピールすることはあっても、大きさ自体はむしろ「コンパクトで収まりやすく」を強調します。 機能においては「冷凍焼けを防ぐための乾燥おさえながらの冷却」だの、「野菜出し入れしやすい真ん中レイアウト」だの、「直接冷気を当てないうるおいガード」だの。 。 アメリカ人からすると「未来の話!?」に聞こえると思います。 感動間違いなし。 (でも、続いて「それ、ホントに必要か?」とも言うと思うけど)彼らにとって、なにはともあれ、デカいピザをデカいチキンを何個も冷蔵できる大きさがいちばん大切

例えば、砂糖。 先日、日本から来た友人とスーパーマーケットに買い物に行ったところ、ズタ袋に入れて売られている砂糖を見て、彼は思わず、写メを撮っていました。

「、、、業務用?」「いや、一般家庭用」「、、、、40人家族?」「たぶん普通の核家族」「、、、、飲食店をやってるの?」「そこまでは知らねえよ」みたいな会話の前に。

家庭用の料理に使用するとして、僕たち日本人だと10年かかっても使い切れない量です。 彼らが何年で使い切るかは知らないけれど、少なくとも、もうちょっと小分けで売買してもいいはず。

でも、一気にいっぱい買った方がお得なのよ、と言うに決まってる。

こっちの映画館で売られているポップコーンを見たことがある日本人はどのくらいいるでしょう。

こっちのSサイズは、日本のLサイズ。 こっちのLサイズは日本のバケツを想像してください。 日本のSサイズは、、、こっちでは見ることはありません。

Sサイズを注文すると、必ず「LサイズにしときなよLサイズだとおかわり無料だよ」と提案されます。 (どうして、こいつは、LだとデカすぎてSを頼んでいる僕にとって、“おかわり” が特典だと思ったんだろう??) バケツサイズのポップコーンに、さらにバターかけ放題の機械が横に備え付けてあります。 そこにまたバケツサイズのコーラを注文し、トレイに載っけて館内に入ってきます。

で。 そんな国に慣れちゃうと、どうなるか。 日本人の僕がどうなるか。

日本の陶芸品店で見る、湯のみ茶碗が、オモチャに見える。

日本の居酒屋で出て来る突き出しの小鉢が、試食品に見える。

日本の映画館のポップコーンが、ケチ臭く見える。

そして、やっぱり、スタバのSサイズが…うん、認めたくないけど、エスプレッソ用、、、に見えてきちゃいます

ヤバいと自覚しつつ。

image by: Shutterstock

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全米発刊邦字紙「NEWYORK BIZ」CEO 兼発行人。同時にプロインタビュアーとしてハリウッドスターをはじめ1000人のインタビュー記事を世に出す。メルマガでは毎週エキサイティングなNY生活やインタビューのウラ話などほかでは記事にできないイシューを届けてくれる。初の著書『武器は走りながら拾え!』が2019年11月11日に発売。

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【著者】 高橋克明 【月額】 初月無料!月額586円(税込) 【発行周期】 毎週水曜日

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