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独自ブランド名で失敗の過去。ドコモは「5G」でも迷走するのか?

2019年開始と言われる次世代通信規格「5G」の話題が、世界中のキャリアを中心に盛り上がりを見せているようです。メルマガ『石川温の「スマホ業界新聞」』の著者でケータイ/スマートフォンジャーナリストの石川温さんによると、日本よりも先に、中国で5Gが始まるかもとの噂も。中国に割り込まれた形の日本ですが、過去に「LTE」の名前を使わず独自ブランド名をつけてしまったことで失敗したNTTドコモは、今度こそ素直にサービス名称を「5G」とするのか、それとも再び「迷走」してしまうのでしょうか?

NTTドコモが頭を抱える「競合他社のなんちゃって5G」

今年のMWC(モバイルワールドコングレス、スペイン・バルセロナで毎年開かれる世界最大級の携帯電話関連展示会)は、猫も杓子も「5G」一色であった。

ファーウェイが、5Gチップを搭載したWi-Fiルーターを発表。5G時代の到来が一気に現実味を帯びてきた。

ただ「ファーウェイが発表した5G対応Wi-Fiルーターはどこで売る気なのか。固定回線の代替のための製品にも関わらず、アメリカは政府の意向もあって本格参入できていないはずではないか」という疑問が湧いた。

そこで、ファーウェイ関係者に聞いたところ「2019年に中国で5Gが始まりそう。この製品は中国向けを意識している」とのことだった。

去年辺りは「2018年にアメリカで固定回線の代替として5Gが始まり、2019年で韓国、2020年に日本」という話であったが、ここに来て中国が割って入って来たようだ。

日本における5Gスタートまで、残された時間は少ない。

5Gというとザックリした感があるが、実際は2017年12月に3GPP(携帯電話に代表されるモバイル通信の技術を決める団体)から規定された「Release15に対応したサービスを提供すれば、5Gをスタートしたことになる。

しかし、NTTドコモ5G推進室、中村武宏室長によれば「実はRelease15はLTEのRelease15も含まれている。つまり、LTEでもRelease15なら5Gと言えなくもない」という。

本来であれば、3GPPが規定する5Gの「Release15」に対応した技術を投入して初めて「5Gスタート」というのが筋だ。しかし、すでに「5G Project」と語るキャリアもあることから、「正式な5Gでなくても5Gと言ったもん勝ち」という状況になりかねない。

4Gの時も、アメリカが3Gの高機能版であるHSPAに対応しただけで「4G」と言い始めて、なし崩しにどのキャリアも4Gになった。

一方、NTTドコモは、素直にLTEといえばいいものを「Xiという独自ブランドをつけて大失敗した経緯がある。

NTTドコモがXiと語る一方、他社はLTEや4Gで通した。結果、「NTTドコモはLTEをやっていない」という間違った認識が一般に広まるという苦い経験もある。その後、LTE-advanced導入時に「PREMIUM 4G」という名前に変えてきたりと、なんだか一貫性がまるでない状態に陥ってしまった。

技術の進化のたびに名前を変えるということをすると、あとあと辻褄が合わず、面倒なことになりかねない。

5Gに向けてNTTドコモとしても慎重になっているようで「ブランディングの問題なので、社内で議論している」(中村室長)という。

これからは、広告代理店に余計なお金を払って違った名称をつけるより素直に5Gというサービス名称を通した方がいいのではないか。

image by: Shutterstock

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日経トレンディ編集記者として、ケータイやホテル、クルマ、ヒット商品を取材。2003年に独立後、ケータイ業界を中心に執筆活動を行う。日経新聞電子版にて「モバイルの達人」を連載中。日進月歩のケータイの世界だが、このメルマガ一誌に情報はすべて入っている。

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