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地方の肉屋なのに黒山の人だかり。理由はオリジナルキャラだった

チラシやポップ、キャンペーンなどの販促で地方の小売店の売り上げを飛躍的に向上させてきた、無料メルマガ『販促アイデアと経営活性化』の著者で地域一番店づくりの専門家として活躍中の前沢しんじさん。今回は、オリジナルキャラクターでお客様のハートをがっちり捉えた精肉店のエピソードを紹介してくださっています。

お店のキャラクターを作ってファンを増やした

精肉店はもともと主婦がお客様の中心です。しかしあるお肉屋さんの狙ったターゲットは「子供」でした。子供に肉を食べてもらえばその子たちが育つにつれて固定的なファンになると考えたのです。もともとこの企業の理念は「良質のたんぱく質を提供する」というもので、子供たちの食養にも関心があったのです。

そこで、「ちびっこキャラクター」を作ってグッズを作り、それをお客様にプレゼントすれば、子供たちがお母さんといっしょに店に来てくれるだろうという計画でした。

こういうふうにやりました

キャラクター制定時には、初めから関心をもってもらうことが大事です。そこでお客様を巻き込むことを考えました。まず、キャラクターデザインを一般公募したのです。チラシや新聞記事を活用して募ったところ、150件余りの応募があり、ある主婦の方のデザインを採用しました。採用賞金は10万円。第2席は2本で各5万円の賞金でした。それをプロのデザイナーに修正してもらって、「ミートくんという5才の子供ができあがりました。そのバージョンがこちら。

表彰式は新聞にも大きく取り上げられ、社長が当選者に賞金とお肉を進呈するシーンが大きく掲載されました。

その次の段階は、キャラクターグッズをたくさん作って、焼肉シーズンであるゴールデンウィークに、ご来店のお客様にプレゼントしました。グッズの内訳は、

などで、総額300万円いう大きな経費をかけました。因みに当時年商が企業全体で12億くらいだったかな…。さらに追加で毎年製作するほど人気を呼びました

社長が豪快な人で、たとえばイベントで地引網を開催するために全店を休業して実施するほど、「お客様に喜んで欲しい」という考えの人でした。その時も費用が休業の売上げを含んで600万以上もかかったのですが(これについてはまた後日書きます)。

社長の名前は田中寛(たなかひろし)。豪快な、そしてやさしい不世出の男で前沢の親友でもありました。会議中に倒れ53才でこの世を去りましたが、いまは四男坊の息子が後を継いでいます。

話がちょっと横道にそれましたが、キャラクターグッズに300万もかける本気度は、お客様に、また子供たちに圧倒的に支持されました。結果的にその年の小学校の運動会にはミートくんタオルがはためくという逸話さえ残しました。

こういうふうな展開をしました

大人気になったミートくんは、毎週発行のチラシや新聞広告や、さまざまな広告に登場しました。たとえばポスターはコチラ。

その広告を見るとそのお店とすぐわかるインパクトは、数百万の経費をかけてもおつりがきました。お店の目指すところは「焼肉バーベキューの一番店」で、その売り込みに、ミートくんのいろいろなバージョンをつくって広告に展開したのです。

結果、当初の考え通り、子供たちが「たなかに行こうよ」とお母さんを連れてきてくれたのです。

こういう結果になりました

その子供たちが成長して、やがて高校生になったころ本格的な焼き肉バーベキューブームが訪れました。

春の遠足には、肉をもって出かける高校生たちで店は満員になり、一般のお客様から「高校生ばかりで肉が買えないという苦情が寄せられるほどでした。ある店長から私に電話があり「前沢さん、いま数えたら高校生が67人も店にあふれているよ!」と。

いまでは、その子たちはお父さんお母さんになっていてしっかりお店のファンになってくれています。

「本気でやればお客様に届く」
「目先の損得より、いかにお客様に喜んでもらうか」

それがお店の今後の成長を決めていくということです。

image by: TK Kurikawa / Shutterstock.com

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30年以上の販促・営業企画の経験から「こうして売上げを伸ばした!100のアイデア」というテーマで、実際に行った実例を具体的に紹介します。販促以外にも経営活性化に役立つアイデアがたくさん。前沢しんじの販促ビジネス本はアマゾンや大手書店でランクイン。雑誌「月刊商業界」にも販促特集などを執筆しています。

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【著者】 前沢しんじ 【発行周期】 ほぼ 週刊

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