立ち食いそばに牛丼、ハンバーガーなどなど、世の中にファストフード店は数多ありますが、今回の無料メルマガ『MBAが教える企業分析』で著者のMBAホルダー・青山烈士さんが取り上げているのは、日本が誇るカップラーメンを専門に扱う新発想の店舗、その名も「3ミニッツキッチン」。お湯を注いで3分で食べられる、まさに「究極のファストフード店」の戦略・戦術、一体どんなものなのでしょうか。青山さんが詳細に分析しています。
新しい食べ方の提案
カップラーメン専門店として注目を集めている店舗を分析します。
● ラオックスグループが展開している「3ミニッツキッチン」
戦略ショートストーリー
カップ麺が好きな方をターゲットに「カップ麺へのこだわり」に支えられた「種類が豊富で選ぶのが楽しい」「美味しい」「安い」等の強みで差別化しています。
ご当地カップ麺やオリジナルカップ麺に加えて、様々なトッピングなどを通して、カップ麺を楽しむことができる場を提供することで顧客から支持を得ています。
■分析のポイント
新しい食べ方の提案
「3ミニッツキッチン」の取り組みで新しいチャレンジだと思うのが、外食の選択肢の一つとして、カップ麺を提供していることです。最近はコンビニのイートインコーナーで食べることもできますがカップ麺を食べる場所のメインは、家の中ですからね。
ラーメン好きな方であれば、カップラーメンを食べる方も多いと思いますが、外で食べるときは、ラーメン専門店を選ぶでしょう。ですから、顧客に外食でカップ麺を食べたいと思ってもらうには多少ハードルがあるということです。
このハードルを越える、つまり、カップ麺が外食の選択肢のひとつになるためにポイントなるのが、ファーストフード化の推進だと思います。「3ミニッツキッチン」という店名にも表れていますがカップ麺の特徴のひとつはお湯を注いて、すぐ(3分後)に食べられるということです。
そして、もうひとつの特徴は、低価格です。この「すぐに食べられる」、「低価格」という二つの特徴を兼ね備えた業態として思い浮かぶのが、ファーストフードの最大手であるマクドナルドや牛丼チェーンなどですね。
つまり、「3ミニッツキッチン」はファーストフードの特徴を備えているということです。
この特徴を活かすために「3ミニッツキッチン」はファーストフードのような取り組みをしています。例えば、ドリンクとのセットメニューの提供ですね。これは恐らくファーストフードから取り入れていると思われます。
このようにファーストフードの良いところを吸収することで、「3ミニッツキッチン」がファーストフードとして顧客に認知されれば、ありそうでなかった新たなファーストフード業態としてさらに注目を集める可能性があると思います。
また、「3ミニッツキッチン」はただ、カップ麺にお湯を注いで提供しているわけでなくさまざまなトッピングや調味料を用意することでカップ麺をより美味しく食べる方法も提案しています。
家で食べる際にトッピングを付けて食べる方もいるとは思いますが、用意するのが手間ということもあり、トッピング無しでそのまま食べる方も多いと思います。そして、家で、これだけのトッピングを用意するのは大変ですからね。
要するに、「3ミニッツキッチン」は外食としてカップ麺を食べる、トッピングを付けて食べるという新しい食べ方を提案しているわけですね。
今後、「3ミニッツキッチン」が世の中にどのように受け入れられていくのか、注目していきたいです。
◆戦略分析
■戦場・競合
- 戦場(顧客視点での自社の事業領域):カップラーメン専門店
- 競合(お客様の選択肢):ラーメン店やファーストフード、コンビニ、スーパー など
- 状況:日本の即席めんの市場規模は拡大傾向のようです。
■強み
1.種類が豊富で選ぶのが楽しい
- 日本中のご当地カップ麺
- ここにしかないレアなカップ麺
- オリジナルカップ麺
2.美味しい
- 様々なトッピングを足すことで自分好みの味にできる
- 無料の調味料も複数用意
3.早い・安い
- お湯を注いで3分で食べられる
- オリジナルカップ麺セットはライス・ドリンク付きで298円
★上記の強みを支えるコア・コンピタンス
「カップ麺へのこだわり」
- 目利き力
→各地で人気のカップ麺を40種類以上ラインナップ - 美味しくカップ麺を食べるノウハウ
→カップ麺に合う様々なトッピングや調味料を用意
上記のような、こだわりが強みを支えています。
■顧客ターゲット
- カップ麺が好きな方
- ラーメンが好きな方
- 食事を手軽に済ませたい方
◆戦術分析
■売り物、売り値
「ご当地カップ麺(40種類以上)」:150円~280円(税抜)
- イートインスペースでその場で食べることができ、お土産用として、持ち帰りも可能
「オリジナルカップ麺」:250円(税抜)
- チャーシュー2枚、メンマ、コーン、うずらのたまご、きざみネギ
- スープは3種類から選択(とんこつ・みそ・しょうゆ)
- オリジナルカップ麺セット(ライス・ドリンク付き) 298円(税抜)
ライス単品は120円(並)
「トッピング」:50円(税抜)
- 半熟卵、メンマ、チャーシュー、コーン、バター、フライドオニオン、ツナフレーク、シュレッドチーズ 等
「その他」
- ドリンク:Sサイズ100円、Mサイズ150円、Lサイズ180円(税抜)
→コーラ、ジンジャーエール、カルピス、カルピスソーダ、オレンジ、ウーロン茶、爽健美茶 - スープ:130円(税抜)
→コーンクリーム、オニオンコンソメ、クリームポタージュ、パンプキンクリーム - 丼メニュー:
→炭火焼鶏つくね丼(450円)、ミニチャーシュー丼(250円、自家製カップ麺とセットだと200円)等
■売り方
- ポイントカード(期限なし)
→オリジナルカップラーメン1杯に付き、1ポイント
12ポイントたまったら、オリジナルカップラーメン1杯サービス
■売り場
- ラオックスが展開している大型商業施設「千葉ポートスクエアポートタウン」に出店
※ 売り値や売り物などは調査時の情報です。最新の情報を知りたい場合は、企業HPなどをご確認ください。
image by: 3minutes kitchen - Home | Facebook