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アメリカに不協和音か。北に激怒の「死神ボルトン」が発した警告

トランプ大統領が米中間選挙まで様子見を決め込んでいるとも言われる北朝鮮の非核化に対し、その「遅れ」に痺れを切らした米のボルトン大統領補佐官が8月9日、重大警告を発しましたが、事態の進展はあるのでしょうか。国際関係ジャーナリストの北野幸伯さんは自身の無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』で、フセインやカダフィの悲惨な最期を目の当たりにしている金正恩がアメリカを信用しないのも当然とし、トランプ大統領が今後、戦争以外の解決策を探すことに期待すると記しています。

北朝鮮、アメリカの提案をすべて拒否!

金正恩さん、アメリカの提案を【 全拒否 】しているそうです。

北朝鮮、米国の提案全て拒否 非核化交渉進まず

CNN.co.jp 8/11(土)11:42配信

 

ワシントン(CNN) 北朝鮮の非核化をめぐる交渉で、米国が再三にわたり北朝鮮側に提案を伝えているものの、いずれも拒否されていることが11日までに分かった。複数の外交筋が明らかにした。

外交筋によれば、米国側は「完全に検証された非核化という終着点」に至る道筋について具体的な提案を行ってきた。だが、北朝鮮側は「強盗的」だとして、こうした提案をすべて拒否したという。
(同上)

どうして、こういう話になるのでしょうか? RPEでは、金正恩の意図について、以下のように書いてきまし
た。

こういう意図をもって、彼は6月12日、シンガポールでトランプにあった。そして、ディールは以下のようになりました

金正恩は、「制裁解除(少なくとも緩和)」も、「経済支援」も勝ち取ることができなかった。世界中のマスコミが、「この会談は大失敗だ!」と合唱していましたが、RPEだけは、「大成功だ!」と書いていました。

というのも、トランプは、金に実質何も与えていない。制裁も緩和しないし、経済支援もしない。体制保証の約束はしましたが、「完全な非核化」が前提なので、「完全な非核化がなければ体制保証もなしです。結局、金は何も得ることができず、一方で、「完全な非核化を約束したのです。

そして、案の定、彼は約束を守ることができません。父・金正日の成功パターンを、そのまま規模を大きくして真似てみた。ところが、アメリカも、過去の失敗体験から学んでいるのです。

米国側は完全かつ検証可能な非核化を求めており、これが実現するまでは制裁を維持する方針。一方、北朝鮮側はさらなる措置を取る前に、制裁解除や平和協定締結を要求するとしている。
(同上)

RPEで大昔から書いてきたこと、今では北朝鮮自身が「公言」するようになっています。つまり、「完全な非核化の前に制裁解除しろ!」と。で、制裁解除すれば、経済が潤い、「もう非核化はやめましたとなるに決まっています

死神ボルトンの警告

アメリカでは11月に中間選挙がある。それでトランプは北朝鮮問題で騒ぎたくないのでしょう。

6月の米朝会談は、金に何も与えず、一方で「完全な非核化」を約束させ、大成功だった。しかし、それは「非核化が確実に進む」という意味ではありません。金に「約束をさせた」という意味。

「約束をした」から、後で「約束を守っているか?」「ウソをついているか?」判断できる。金が何も約束していなければ、「彼はウソをついている」とはいえません。

そうなのですが、一般米国民は、「米朝首脳会談→非核化前進」と単純な図式しか理解できません。それで、マスコミは、「やはり米朝会談、トランプの北政策は大失敗だ!」と攻撃するかもしれない。だから、トランプは、選挙までは黙っているのがいい

しかし、政権の中には、「北め、やはりウソをついたか!」と怒っている人もいます。ネオコンの大物で、「死神と恐れられるボルトン補佐官です。

“死神”ボルトン氏、北に重大警告「非核化に必要な措置を取っていない

夕刊フジ 8/9(木)16:56配信

 

北朝鮮に「死神」と恐れられているジョン・ボルトン米大統領補佐官(国家安全保障担当)が、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長に「重大警告」を発した。6月の米朝首脳会談で約束した「非核化」について、北朝鮮が実行していないと批判したのだ。ボルトン氏は、正恩氏が4月の南北首脳会談で「1年以内の非核化」を言い出したことも暴露した。北朝鮮は確実に追い込まれつつある。

結局戦争になるにしても、できる限り平和を追求しなければなりません。トランプは、「戦争なしで非核化が進むよう」努力しています。もちろん、アメリカは過去に、フセインを殺し、カダフィを殺し、今はアサドを殺そうとしている。それで、金がアメリカを信用できないのも、当然ではありましょう。

われわれは、「金が完全非核化を実行すること」「アメリカが体制保証の約束を守ること」「金が、拉致被害者を全員日本に返すこと」を願いましょう。

image by: shutterstock

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【著者】 北野幸伯 【発行周期】 不定期

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