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石破氏の「安倍総理はトランプとの友情を優先」が見当違いな理由

自民党総裁選で安倍首相に立ち向かうこととなった石破氏ですが、「総理は国益よりトランプ大統領との友情を優先している」との苦言を呈しています。はたしてそれは事実なのでしょうか。今回の無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』では著者で国際関係ジャーナリストの北野幸伯さんが、安倍総理のこれまでの外交実績を振り返りながら、石破氏の指摘の真偽を検証しています。

石破さん、安倍総理の対米姿勢を批判は正当か?

9月に実施される自民党総裁選。安倍さんと石破さんの一騎打ちになりそうです。そして、石破さん、安倍さんの対米姿勢を批判しています。

安倍首相の対米姿勢に苦言=自民・石破氏

時事通信 8/25(土)10:08配信

 

自民党の石破茂元幹事長は25日午前の読売テレビの番組で、安倍晋三首相のトランプ米大統領との個人的信頼関係を重視する外交姿勢について「友情と国益は別だ。日本の国益をどれだけぶれずに主張し、国益を重なり合わせる他の国々と、どう連携を取っていくか(が大事)だ」と苦言を呈した。

「友情と国益は別だ!」

そのとおりですね。つまり、石破さんは、「安倍さんは、トランプとの友情を最優先にして、日本の国益を犠牲にしている」といいたいのでしょう。

これ、事実ではありません

日本では、「安倍さんは、トランプ追随」とか、「アメリカの属国」とかいう人がたくさんいます。これは「イメージ論事実と異なります

まず、オバマ時代までさかのぼってみましょう。オバマは、安倍さんが、ロシアに接近するのを嫌がっていました。しかし、2016年12月、プーチン訪日が実現し、日ロ関係は劇的によくなった

トランプ時代に移ります。トランプは、パリ協定離脱を宣言しました。安倍さんは、パリ協定を支持しています。トランプは、TPPからの離脱を宣言しました。安倍さんは、TPP推進派です。トランプは、「エルサレムは、イスラエルの首都である!」と宣言しました。安倍さんは、これを支持していません。トランプは、「イラン核合意からの離脱」を宣言しました。安倍さんは、これを支持していません

こう見ると、安倍日本は重要問題でことごとくトランプを支持していません。「安倍は、トランプ追随だ!」と批判する人は、何を根拠にそのようなことをいうのでしょうか?????

もう一つ、とても重要なこと。安倍総理は、オバマ時代もトランプ時代も、アメリカ大統領の決定を支持しないことがしばしばあった。しかし、なお安倍オバマ安倍トランプの関係は良好だということ。

日本で、「自立外交」をした総理は、戦後何人もいました。田中角栄さんが、いい例です。比較的最近では、鳩山さんもそうでしょう。しかし、そのたび日米関係は悪化し、政権はつぶされてきた。安倍総理のように、「自立外交をしてなおかつアメリカと良好な関係を保つ」というのは前例がありません

というわけで、石破さんの「総理は、国益より友情を優先させている説」には、根拠がありません

事実をみると、友情と国益を、うまく両立させていることがわかります。私たちは、しばしば「イメージ」に振り回されますが、「事実」に基づいて判断することが大事ですね。

image by: 石破茂 - Home | Facebook

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【著者】 北野幸伯 【発行周期】 不定期

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