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森鴎外も楽しんだか。京都の名庭園・高瀬川二条苑で頂く和食の味

森鴎外の短編小説「高瀬舟」の舞台であり京都市と伏見を結ぶ高瀬川は、三条から四条にかけて歓楽街が拡がり、周辺は桜の名所としてよく知られています。今回の無料メルマガ『おもしろい京都案内』では著者で京都通の英学(はなぶさ がく)さんが、そんな高瀬川にたたずむ風情ある名店「がんこ高瀬川二条苑」を詳しく紹介しています。

ある和食店の名庭

高瀬川が鴨川から分かれている木屋町通り沿いの一之舟入をご存知でしょうか? そのすぐ近くの東側に「がんこ高瀬川二条苑という食事処があります。どちらかといえば大衆向けの和食のお店です。

この場所は江戸時代、角倉了以すみのくらりょういの別邸があったところです。秀吉の命令で高瀬川を開削した人物です。お屋敷はさすがに最も上流にあったのですね。明治時代には山縣有朋元首相の第二無鄰菴として建てられた屋敷だったようです。

その屋敷が当時の面影を残しながら和食のお店として営まれています。そのため誰でもお店のお客さんとして見物することが出来ます。多くの部屋からは、明治時代に活躍した造園家・植治こと7代目小川治兵衛作の美しい庭園を眺めることが出来ます。また、庭に下りて庭園を歩いて楽しむことも出来ます。

お店のすぐ目の前の道路を渡ると、高瀬川に復元された高瀬舟を見ることができます。

「第二無鄰菴」というのは、無鄰菴の別邸として建てられたのでしょう玄関先には山縣有朋第二無鄰菴跡の石碑がありますので見てみて下さい。無鄰菴は南禅寺の近くにある山縣有朋の別邸で、日露戦争開戦などが話し合われた場所としても有名です。

立派な門の左右に石垣が築かれ、堂々とした姿は一見の価値があります。無鄰菴という名前は山縣が故郷の長州(山口県)に建てた草庵が閑静な場所で隣家もないことから名付けられました。

「がんこ高瀬川二条苑」は敷居が高そうと思われるかもしれませんがご安心下さい。大阪に本拠地を置く和食中心にお食事がいただける飲食店のひとつです。お値打ち価格で家族連れのお客さんも多く、安心して入れますよ。

各部屋に面した中庭もあり、生け花も季節に応じて美しく飾られています。

高瀬川源流庭園の美しい水辺の光景は、食事の味を一層引き立てています。この庭園の素晴らしさは、江戸時代と明治時代それぞれの時代を代表する作庭家の合作だという点です。東部の一角は江戸時代初期に小堀遠州が作った茶庭があり、明治期に7代目小川治兵衛によって大部分が作庭されたものなのです。

庭園には植地の遊び心が垣間見られます。見事な灯籠や誰が袖たがそでのつくばい福がえるの岩さざれ石などが随所に取り入れられています。

夏の暑さもおさまり、季節の移り変わりを感じる季節になりました。今年の秋は是非京都で季節を味わってみて下さい。

いかがでしたか? 京都は日本人の知識と教養の宝庫です。これからもそのほの一部でも皆さまにお伝え出来ればと思っています。

image by: 663highland [CC BY-SA 3.0], ウィキメディア・コモンズ経由で

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【著者】 英学(はなぶさ がく) 【発行周期】 ほぼ週刊

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