接客業で必須となるコミュニケーションスキル。この能力を高めるために四苦八苦、という方も多いかと思います。今回の無料メルマガ『飲食店経営塾』では著者で飲食店コンサルタントの中西敏弘さんが、ご自身の勉強会でも取り入れているというトレーニング法を紹介しています。
「学び」の効果を高めるためには、“遊び”の要素をいれることも大切!
僕がご支援先で行う勉強会では、単に知識の習得を目的とせず、様々なスキルの向上を図ることも行っている。特に重要視しているのは、「話す」スキルを高めること! 僕は、永くコンサルティングを行っているが、「話す」スキルが弱い人で、仕事ができる人をあまり見たことがないから。
「話す」スキルと言っても、流暢に話せることを目指しているのではなく、自分の考えを論理立てて、相手に自分の考えをきちんと伝えられる、ことが大切だと思っている。
飲食の仕事は、特に店長は、会社(店)の方針を部下(アルバイト含め)に、分かりやすく伝えることが求められるし、様々な仕事を同じようにできるように伝える(教える)ことも求められる。また、部下との信頼関係を深めるために、定期的にコミュニケーションを取ることも必要だ。もしかすると、店長の仕事の大半は、「話す」「伝える」と言っても過言ではない。
このスキルが向上すれば、部下のモチベーションがアップするし(トップが何をやりたいかが明確になるから)、仕事の質を下げることなく、部下に仕事をさせることもできる。
ちなみに、分かりやすく「話す」ためには、論理的に話すことが重要で、そのためには、「考える力」もすごく必要とされる。なので、僕は「話す」トレーニングを行うことは、「考える」ことのトレーニングにもなるので、店長には、ぜひ、毎日朝礼等で“1分間スピーチ”等を行い、「話す」習慣づけとトレーニングを定期的に行うことを推奨している。
この「話す」トレーニングのために、僕の勉強会では“サイコロトーク”というものを定期的に実施している。僕が6つのお題を用意(このお題は、理念に関すること、学んだ知識の復習などなど)し、各自15分でお題に対しての自分の考えをまとめ、その後、各自がサイコロを振って、出た目の数のお題に対して2分間の時間を使って発表するというもの。
なかなか、15分で自分の考えをまとめ(考える)、2分間発表するのは難しいが、これも回数を数えると、みるみる各自の「話す」スキルが向上していく。サイコロを使う事で、何のお題になるか分からないというスリルを味わいながら、皆楽しく? 取り組んでいただいている。
それ以外には、「話す」の反対のスキルで「聴く」というスキルを高めることも大切だ! 「聴く」というのは、自分から積極的に相手から情報を得たりすることであり、例えば、アルバイトの面談の際等で、「聴く」スキルが高ければ、相手の本当の悩みを引き出し、そして、それを解決し、次の目標設定をしてあげる、といったことが可能になる。いわゆる、「コーチング」的なことができるようになるわけである。
これも意識してトレーニングしないと難しい。どうしても「聴く」よりも、自分の意見を「話し」たくなる。しかし、相手のことをより理解するためには、とことん「聴く」ことが大切で、色々な情報がなければ、正確に相手を理解する事ができない。リーダーにとっては、すごく大切なスキルだと思う。
このスキルを高めるために僕の勉強会で行うのは、「ヒーローインタビュー」。スポーツなどで、ゲーム終了後、その日のヒーローがお立ち台に上がってコメントを発する。あのヒーローインタビューの、アナウンサー役をやってもらうのだ。
観衆にヒーローの思いなどを“聴き出す”ことがインタビューアーの役割であり、これを実施しみると、意外に「情報」を相手から引き出すことが難しいかが分かる。また、どんな質問をすれば、相手の考え、意見を引き出しやすいかも、“お遊び形式”でやるので、楽しく? 学ぶことができる。
「学び」はすごく大切だけど、ただ聞いているだけ、ではとてもつまらないし飽きがくる。そうなると、せっかくの「学び」も台無しになってしまう。なので、そうならないよう、僕は遊び的な要素をいれて、少しでも学びの時間を楽しんでいただけるよう、工夫を重ねている。
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