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精神科の診察料や薬代を負担してくれる「自立支援医療」の実力

継続しなければならない場合が多い精神科への通院ですが、自己負担金額がかなりかかることで、通院をやめてしまうパターンもあるそうです。しかし、その負担を公費が軽減してくれる制度の存在をご存知でしょうか。今回の無料メルマガ『新米社労士ドタバタ日記 奮闘編』では、「自立支援医療」の制度の内容を会話形式でわかりやすく解説しています。

自立支援医療

台風続きの大雨も少し落ち着き、秋晴れの爽やかな季節になってきた。さて、今日の京都社労士事務所では、どんな話題が出ているのか…? 秋ともなると、健康診断やインフルエンザの予防接種、ストレスチェックなども行われる事業所も多いだろう…。


新米 「この間、うちの姉から質問があって、姪っ子が『診療所でこんなのもらってきたけど何?』って、こんな案内を持って来たんですよ~」

大塚T 「こんな案内って、何よ?ん?」

新米 「『自立支援医療』って何ですか?姪っ子って、まだ高校生なんですけど、体調不良で診療所に行ったら、2回目でこんなのもらってきて、最近はすごいもんですね」

大塚T 「『自立支援医療』って、私も最近知ったところよ。健康保険制度でもないし、労災保険制度でもない。社労士試験でも出てこなかった制度。最初は、いったい何?と思ったわ…」

新米 「姪っ子は、うつ病まではいっていないんですけど、人間関係に疲れたらしく、不登校になりかけて心療内科に通うことになったらしくて…」

E子 「『自立支援医療』のことね?精神科の診察料や薬の代金などの自己負担金を公費で負担してくれる制度っていえば、わかりやすいかな…」

大塚T 「負担軽減っていうのは、どこがお金を出してくれるのかなって、疑問だったんですけど、公費が負担してくれるからだったんですねー」

E子 「身体障害者の人だったら、『身体障害者手帳』、精神疾患がある人は、『精神障害者保健福祉手帳』や障害年金があるけど、病気になってすぐには、もらえないでしょ。原則は、半年くらいはかかるわね。障害年金は、そもそも初診日から1年6ヵ月経過しないと請求もできないわね。でもね、『自立支援医療』は、対象状態にあるなら、受診してすぐに申請できるのよ」

大塚T 「へぇ~、それは良いですね。すぐってどのくらいすぐなんですか?」

E子 「申請書を提出した日を開始日として交付されるわ。欠勤しないといけないケースなら、傷病手当金も同時に申請すると待期3日以降は支給されるから、収入の面で不安がある人には有難いわね」

新米 「長期間欠勤が続くと、収入もなくなるし、不安ですものね。ところで、対象者って具体的には、どんな人たちなんですか?」

E子 「統合失調症、うつ病などの気分障害、薬物などによる依存症、パニック障害などの不安障害、知的障害、発達障害、認知症、てんかんなど精神疾患の方たちが対象よ」

新米 「認知症もはいるのですか? かなり広いですね」

大塚T 「精神科を受診した場合などは、対象になるかどうか聞くといいですね」

E子 「そうね。でもね、精神科ならどこでも該当するわけではなく、その医療機関が指定自立支援医療機関として都道府県知事や政令市長から指定を受けていることが必要なのよ。注意してね」

新米 「そうか・・・。じゃぁ、受診したときに『自立支援医療機関の対象になってますか?』って、病院の窓口などに確認するのがいいですね」

大塚T 「そういうことね~」

E子 「でも、もうひとつ気をつけてね。自立支援医療を申請するときには、利用する医療機関や薬局を申請書に記載することになるの。つまり自立支援医療機関であっても申請していない医療機関は、利用できないってわけ。これは、間違えちゃダメね」

新米 「そうなんですか、該当する病気ならその書類さえ申請していれば、どこの医療機関でもOKと思っていたんですが、違うんですね~」

E子 「そうなの。それから、入院費用やそもそも医療保険診療が認められていないカウンセリングの料金や精神疾患と関係のない症状でかかった医療費も対象外だから、知っておいてね」

大塚T 「保険対象外は、対象外っていうのは、理解しました」

新米 「ところで、軽減してくれるのは、どの程度なんですか?」

E子 「肝心なことをまだ言っていなかったわね。健康保険は、3割負担が自己負担でしょ。これが1割負担ですむのよ。所得などに応じて上限負担額もあるわ」

新米 「さらなる助成もあるんですね」

大塚T 「申請場所って、具体的にはどこになるんですか?」

E子 「市区町村だわね。市役所などの障害福祉課や保険福祉課などが窓口になっていることが多いけれど、市区町村によって違うわ。窓口に提出する書類は、支給認定申請書、医師の診断書、医療保険証の写し、所得の状況を確認できる資料(課税証明など)だけど、これも市区町村によって違うから確認すべきだね」

大塚T 「要確認!ですね」

E子 「そうね。申請してから受給者証が手元に届くまでには2、3ヵ月かかるけど、窓口で申請書類が受け付けられた日から有効になるから、そこは安心ね。有効期間は1年間よ」

新米 「窓口申請日から有効なのは、有難いですね」

E子 「あと、注意点は、しっかりその都度『自立支援医療受給者証』と『自己負担上限額管理票』を医療機関や薬局に提示することと、違う医療機関や薬局を利用する場合は、変更手続をすることを忘れないことね」

大塚T 「それは、大事なことですね」

E子 「更新手続きは有効期限終了の3ヵ月前からできるわ。切れてしまうと、その間は使えず、通常通りの3割負担になるから更新時期には気をつけてね。これらを知って、お客さまには正確な情報を伝えてね」

新米・大塚 「はーい!(^^)/」

● 自立支援医療(精神通院)とは 

自立支援医療(精神通院)制度は、精神疾患(てんかんを含みます)で継続的な治療が必要な方に、通院のための医療費の自己負担を軽減する制度です。

 

精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている方については、自己負担上限額を国基準よりも低く設定し、医療費の負担を軽減しています。精神科病院での入院期間が1年以上の方が退院した場合、退院後1年間、精神疾患に係る通院治療費が自己負担なしになります。 この制度を受けるためには、自立支援医療の申請とは別に申請が必要です。

 

自立支援医療(精神通院) | 京都市こころの健康増進センター

image by: Shutterstock.com

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この日記をお読みくだされば、社労士及び社労士事務所の固いイメージが一変するかもしれません。 新米社労士が日々の業務・社会のルール等に悩み・悪戦苦闘する様子を中心に、笑いあり、涙あり、なるほどありの社労士事務所の日常を、ノンフィクション、フィクションを交えて綴ります。 水曜日のお昼休み、くすっと笑いながら、皆でお楽しみください。

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【著者】 イケダ労務管理事務所 【発行周期】 週刊

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