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元国税が警告。絶対バレる上に重罪な「高級外車」の売却益隠し

先日、高級外車の売却益隠しで多数のセレブが申告漏れを指摘され、話題となっています。元国税調査官で作家の大村大次郎さんは自身のメルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』で、こうした手口は税務署にとって何十年も前からお見通しの「定番の脱税手口」であり確実に発覚するもので、しかも重い罪に問われ最悪青色申告の取り消しもありうると警告しています。

※本記事は有料メルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』2018年11月1日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール大村大次郎おおむらおおじろう
大阪府出身。10年間の国税局勤務の後、経理事務所などを経て経営コンサルタント、フリーライターに。主な著書に「あらゆる領収書は経費で落とせる」(中央公論新社)「悪の会計学」(双葉社)がある。

高級外車の売却益を隠す脱税

最近、高級外車の転売に関する興味深いニュースが報じられました。まずはその記事からご覧ください。

2018年10月22日読売オンライン

高級外車の売却益隠し続出、歯科医や社長ら多数

 

フェラーリなど高級外車の売却益を巡り、約20の法人と個人が東京国税局や関東信越国税局などから相次いで所得隠しや申告漏れを指摘されていたことが、関係者の話でわかった。所得隠しは2017年までの数年間で計約8億円。申告漏れだけを指摘されたケースも含めると総額は25億円を超える。背景には、富裕層の納税意識の低さが浮かび上がる。

 

関係者によると、所得隠しや申告漏れを指摘された法人は、社有車を転売した東京都武蔵野市の化粧品販売会社のほか、中野区や川崎市の自動車販売会社など約10社。個人は目黒区の自動車輸出入会社の元社長や港区の歯科医、茨城県の呉服店社長など十数人に上る。こうした法人や個人は17年までの数年間に、大田区や千葉県の車輸出入会社などにフェラーリやポルシェなどの高級外車を転売。それぞれ数百万円~1億数千万円の売却益を得たが、申告していなかった。

著者による解説

この「高級外車の売却益隠し」とは、簡単に言えば次のようなことです。

まず事業用の車として高級外車を買います。外車を買った費用は、事業の経費から支出されます。車の場合は、固定資産に該当しますので、買ったときに一度に経費化するのではなく、耐用年数に応じて減価償却費として経費計上していくことになります。この減価償却により、高級外車の帳簿価値は年々、減っていくことになります。

たとえば、1,000万円で購入した高級外車でも、2年後には帳簿上は500万円以下になっていたりします。が、高級外車というのは、少しばかり年数が経っても、市場価値はあまり減りません。たとえば、1,000万円で購入した外車が2年後には800万円で売られていたりします。つまり、高級外車の場合、帳簿上の価格と市場価格に開差があることが多いのです。だから、事業用として購入した高級外車を、売却した場合、利益がでることが多いのです。

たとえば、帳簿上、500万円のものを800万円で売れば300万円の利益がでます。この300万円の利益は、事業の収入として計上しなくてはなりません。事業用として購入し、事業の経費から代金を支払っているわけですから、それを売って利益が出たなら、当然、事業の収入としなければならないのです。

しかし、高級外車の売却益というのは、事業者たちにとっては、普通の事業の収入ではありません。たとえば、この記事で挙げられている歯科医師や呉服店の社長などは、普段は歯科や呉服販売を行っているわけです。車の売却で得た利益と言うのは、普段の事業ではない利益です。

事業者がこういう利益を得た場合、得てして、「これは申告しなくてもいいのではないかという心理が働くようです。本業の収益ならば、税務署が見張っているので、隠したらヤバイ。でも、本業以外の収益であれば税務署もあまり監視していないのではないか、だから申告しなくてもばれないのではないか。そういうふうに考える事業者が多いようです。

が、残念ながら、税務署はそういう事業者の心理は、何十年も前からお見通しなのです。自動車など固定資産の売却益を隠す脱税が多いということは、筆者が新人のころから税務調査の教科書に載っていることなのです。筆者は50代ですので、筆者が新人のころというと、30数年前のことです。そのころからすでに、「定番の脱税手口」だったのです。

この「自動車など固定資産の売却益を隠す脱税」は、普段はきちんと申告している人でも手を出してしまうケースが多いのです。「これくらいは隠してもバレないだろう」と思ってしまうのでしょう。が、税務署はそれを見越し、中古売買業者などに定期的に情報収集に行っているのです。

中古売買業者は、税務署が調査に来れば、買い取りの伝票などもすべて見せなくてはなりません。税務署はそのデータをもとに、車の売却益がきちんと申告されているかどうか照合すれば、一網打尽に脱税者が把握できるわけです。

そして、この自動車など固定資産の売却益を隠す脱税はけっこう罪が重いのです。事業用資産の売却益といっても、売上は売上です。「売上を隠した」ということは、会社や青色申告者の場合、「うっかりミス」では許されません。重加算税の対象となる不正とみなされることが多いのです。もし、これを何件もやっていたり、額が大きかったりすれば、青色申告の取り消しまでされてしまいかねません。

事業者のみなさん、くれぐれも事業用の自動車の売却益を隠したりしないようにしましょうね。

image by: Shutterstock.com

※本記事は有料メルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』2018年11月1日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め初月無料のお試し購読をどうぞ。

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