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【書評】絶対に声に出して読んではいけない日本語が世間にはある

SNSが普及し誰もの発言がインターネットで拡散されるようになった昨今、気をつけなければならないのが「問題発言」です。今回の無料メルマガ『クリエイターへ【日刊デジタルクリエイターズ】』では編集長の柴田忠男さんが、教育学者としてメディアにも多数登場している齋藤孝氏が執筆した1冊の本を取り上げ、軽率な発言の危険性を指摘しています。

余計な一言
齋藤孝・著新潮社

わたしは今、「余計な一言」でそうとう痛い目に遭っている(主に妻から)。そこで、齋藤孝『余計な一言』を読んだ。人間関係を悪化させる元凶は余計な一言である。確かに。28の実例と解説があり、読むうちに自然と予防策が身につくらしい。「声に出して読んではいけない日本語」への処方箋だという。

相手に対して過剰に気をつかうあまり、無礼になってしまったり、本心とは逆の、思ってもみなかったことを伝えてしまったり、つい本音を口走って周囲を凍りつかせたり、思えば軽率な人生であった。その一言で、人間関係に亀裂が走り、とりかえしのつかない事態に……なったこともあったような気がする。

言った私は忘れても、言われた方はいつまでも覚えているものらしい。軽い冗談が問題発言とされたこともある。多くの悪印象を残してきたと思う。まあ、現状でもメールでつい過激なことを書いて、後から「送らなければよかった」と後悔することは度々。危険だからスマホは持たない。SNSには近寄らない。

著者も「余計な一言」を発して人間関係を悪化させ、自分を追い込んでしまった経験がある。今はテレビ番組で発言する機会も多く、「余計な一言」リスクを人一倍感じながら発信している。言葉の選択を誤るとクレームが来る。不寛容な世の中だからこそ発言には気をつけなければならない。面倒な時代だ。

結婚式の披露宴では、来賓挨拶で毒を入れて笑いをとろうとする人がいるが、非常に危険だ。面白くなくても型どおりに、新しい夫婦の門出をお祝いするのが礼儀である。最初に褒めて最後も褒める、これが基本である。毒を入れて滑ったら目も当てられない。新郎新婦に恥をかかせることになる。当たり前のことをなぜここに記すかというと、わたしもその超絶バカだったからだ。

いまや一般人でも発言が引用され、暴露され、拡散し、問題化していく現象が起きている。誰しもが、「問題発言を発信する可能性がある。少しでも不謹慎だと受け止められる言葉は、大きな非難を浴びるおそれがある。コメンテーターは以前に比べて、厳しい監視のもとに置かれている。思ったことをそのまま話してはいけないというのが、彼らの暗黙の了解事項だという。

上手に短い話ができるようになる練習法がある。

  1. 前置きのない話し方をしてみる
  2. 話を1分にまとめる訓練をする
  3. 3分間がスピーチの限界だと心得る
  4. 微笑みながら軽く握手する

やってみよう。そんな機会があれば。

思ったことを率直に言うことが相手に対して誠実であるというのは間違った認識である。率直な質問や感情的な発言は極めて危険である。むしろ大人は、思ったことをすぐに発言しない、即答しない、という心構えや訓練が必要だという。「普通、社会生活を経ていくと自然に身につく知恵なのですが……」。いちいち思いあたる指摘に、人生やり直せたらなあと思った。

編集長 柴田忠男

image by: Shutterstock.com

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