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時差3時間でこんなに違う、NY在住日本人が慣れないLAの生活習慣

『秘密のケンミンSHOW』などのように県民性を語るのが好きな日本人ですが、アメリカの“お国柄”は、その国土の大きさと同じくらい大きな違いがあるようです。米国の邦字紙「WEEKLYBiz」CEOでメルマガ『NEWYORK摩天楼便り-マンハッタンの最前線から-by高橋克明』の著者の高橋克明さんは、ロサンゼルスに行くたびに実感するニューヨークとの物価の違いや生活習慣の違いを教えてくれています。

同じタバコが半額以下!?LAとNYはいろいろ違う

現在、ロサンゼルスに来ています。この15年間でたぶん50回目くらいです(もうちょっと多いかな)。ニューヨークからは飛行時間約6時間。帰りは同じ距離のはずなのに、気流の関係なのか5時間。2都市の時差は3時間。LAの方が遅い。つまり正午にNYを発てば、6時間の飛行時間なのに到着は午後3時。LAの深夜0時は、実は体内時計で午前3時。

あまりにもデカい国は、体内時間の調整に結構な苦労がついて回ります。僕は体内時計を調整するのが非常に苦手です。時差に強い人間、弱い人間と分かれますが、僕は完全にやられっぱなし。LAにいる間は真夜中に目が覚めて、深夜0時には起きていられない。はっきり言って、こればっかりは慣れることはこの先もないと思います。

それでも、LA出張は仕事がら避けられないので、楽しみを無理やり見つけるしかない。(あ、もちろんロスは素晴らしい街で、ロス在住の日本の人には、よく「ニューヨークなんてあんなとこよく住めるねぇ」と感心されるほど、そのくらい最高の場所なんですよ、念のため)僕個人は、生活速度も含め、ニューヨークに毒されちゃってるので、50回以上来ているにも関わらず、LAの良さをいまだわかっていないのかもしれません。

それでも、まず物価が安い。あらゆるものがニューヨークの半額くらい、というのは大げさかもしれませんが、例えば同じ銘柄のタバコでも、僕が愛飲しているアメリカンスピリッツはNYだと19ドル。LAだと9ドル。半額以下です。まったく同じものです。なので、ヘビースモーカーの社員からは、LA出張のたびにカートン買いを頼まれます。

そして、日本食が美味しい。いや、ニューヨークも美味しいのですが、ニューヨークだと高級料理のイメージで、ロサンゼルスの方がお手軽感があります。物理的に日本と近いことも関係あるのでしょうか、レストランにしても、スーパー、グロッセリーも選択肢があきらかにLAの方が多い気がします。

以前、航空会社の方と話した時、LA在住の日本人が、日本に里帰りした際と、NY在住の日本人が、日本に里帰りした際とでは、アメリカに持ってかえってくるお土産の量が全然違う、ということでした。LAは簡単に日本のものが手に入るので、わざわざ日本から大量に日本製のものを買ってくる必要がない、ということでした。やはり、日本に物理的にも精神的にも東海岸より近い分、日本人には暮らしやすい街ではあります。

そして、人もいい。気のせいかもしれませんが、ニューヨークより、ほがらかで優しい印象があります。にもかかわらず、日々マンハッタンで歩き回る生活をしている僕には、すべての用事を車で利用する習慣がいまだ慣れません。ロス在住の方は、ほんんんんんんんとうに歩かない

「歩いていける距離に、何もない」というのが彼らの言い分ですが、でも、それだけではない気もします。車での移動に慣れすぎちゃって、徒歩の代わりもすべて車移動。文字通り、彼らほど、車両を足代わりにしている人種もいない。事実、「向かいのスーパー行くのも、車だもん」と言った人もいました。

取引先とのランチ終わり、「向かいのカフェでお茶しよう」と言われ、コの字型のモールの向かいのお店、渡り廊下を渡って当然歩いていくかと思いきや、一回駐車場まで降りて、そこに駐めてあった車に乗って、駐車場内を運転して移動する。むしろ面倒臭いんじゃないかと思ってしまうも、彼らにとってみれば普通の動作だそうです。

今回、とあるパーティーにご招待され、帰り道、足のない僕のために、参加者のみなさんが、宿泊先ホテルまで車で送ってくださることに。やはり、温かい人が多く、みなさんが「僕が送って行くよ」「私の車に乗ってください」「でも、そっちは僕の方が帰り道だから」「いや、○○さんちが、ホテルの近所だから彼に頼むよ」「いや、どっちにしても、私の通り道だし」と、みなさん誰が送ってくださるかを延々と話し合ってくださいました。

で、結局、送ってくださる年配のおばさまに助手席でお礼を言っているうちにホテルに到着しちゃいました。走行時間5分。さっきの話し合い時間5分。全然、歩いて帰ることができる距離でした。するとおばさん、「いやぁ、でも、歩いたら10分くらいかかっちゃいますよ」…10分くらいは歩こうよ。でも、ありがとうございました。

日本の都道府県別人間性トークは細かすぎて

そのパーティー、日本からの参加者も多く、合間の喫煙所では、それぞれの地元トーク。北海道から来られた弁護士。京都から来られたカップル。茨城から来られた飲食店経営者。神戸から来られた、最後まで何やってるかわかんない同世代の男性。そして、ロサンゼルス在住のおじさんに、僕。

彼らは、北海道の人間はどうのこうの、京都の人間はどうのこうの、と自慢と自虐を絶妙に入り交えて、それぞれの地元に根づいた性格、人間性トークで花を咲かせています。カリフォルニアの夜。

最中、ヒスパニック系の清掃業のおじさんが、灰皿を掃除しにきました。お話まっ最ちゅう。失礼、と一言もなく、割り込むように入ってきて、吸っている途中の人間がいるにもかかわらず、ひったくるようにして、灰皿を持っていきます

え。

口をあんぐりさせる、その場にいる日本のみなさん。その清掃員にしてみれば、いつ終わるかわからない座談会が一息つくのを待っていられないとばかりに、淡々と作業を始めています。またまた、失礼します、の一言もなく、投げるようにして新しい灰皿を指定の場所に置く。ガチャンと音が響く中、ロザンゼルス在住のおじさんの微笑み付き「ありがとう」と、ニューヨーク在住の僕の「おい!まだみんな吸ってんだろ!ちょい待てよ」の声が重なります。

なりゆきを口を開けたまま見守る、その他、北海道、茨城、京都、神戸勢。北海道と京都と茨城と神戸の人たちは同じリアクション。大陸出身の生きてくためのブルーワーカーたちから見ると、同じ動作。同じ習慣。

もうそろそろ、アメリカ人と比べてロシア人は、イギリス人と比べて日本人は、って話題にシフトチェンジしていく方がいいかもしれません。名古屋人と神戸人の違いは、世界から見たら「細かすぎて伝わらない選手権」。答えは「ほぼ同じ」

image by: Sean Pavone / Shutterstock.com

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全米発刊邦字紙「NEWYORK BIZ」CEO 兼発行人。同時にプロインタビュアーとしてハリウッドスターをはじめ1000人のインタビュー記事を世に出す。メルマガでは毎週エキサイティングなNY生活やインタビューのウラ話などほかでは記事にできないイシューを届けてくれる。初の著書『武器は走りながら拾え!』が2019年11月11日に発売。

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【著者】 高橋克明 【月額】 初月無料!月額586円(税込) 【発行周期】 毎週水曜日

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