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北杜市いじめ事件で被害者を貶める、地元新聞の「忠犬」ぶり

先日掲載の「いじめ自殺未遂に開き直り。教育委の呆れた逆ギレと逃げた北杜市長」で、保身のためだけにその問題が被害者や家族にあるとしたり市長が記者会見場から逃げるなど、信じられない対応を取る山梨県北杜市の卑劣さを白日の下に晒した、現役探偵の阿部泰尚(あべ・ひろたか)さん。阿部さんは今回、自身のメルマガ『伝説の探偵』に、調査過程で明らかになった「さらなる闇」を記しています。

【関連記事】● いじめ自殺未遂に開き直り。教育委の呆れた逆ギレと逃げた北杜市長

北杜市いじめ自殺未遂問題にさらなる闇

山梨県北杜市で起きたいじめ自殺未遂問題では、いじめ問題のみならず、北杜市教育委員会が、文科省ガイドライン上「いじめ重大事態」として取り扱う条件を満たしているのに、重大事案と認めず、さらに、第三者委員会設置について委員が誰かも明かさずに被害家族を納得させようとしていたなど教育委員会の対応に大きな問題があることが報道されました。

「伝説の探偵」でも直接被害者、被害家族から聞き取りをしたり、関係者から証言を取るなどして、前回、メルマガ上で報告したところです。

ところが、この問題、さらなる闇が出てきました…。今回は、被害家族からインタビュー形式で話を聞いてきましたので、こちらと併せて報告したいと思います。

いじめ第三者委 市外在住者のみ
家族に限り氏名開示へ 北杜市教委

 

北杜市内の中学校に通う女子生徒がいじめ被害を訴えた問題で、市教委は12日、臨時教育委員会を開き、原因などを調査する第三者委員会の構成を変更して委員を市外在住者のみとし、委員の氏名を家族に限り伝える方針を決めた。生徒の家族が第三者委の中立性に疑義を示していることを踏まえ、委員構成を変更し氏名は非公表とする従来の方針を転換した。

 

市教委は今年7月に第三者委を設置したが、家族は「市教委に近い人が選ばれているのではないか」との疑念を示し、委員の氏名や推薦理由の公表を要求。市教委は「氏名を公表すれば委員に働きかけが行われる可能性がある」として公表には応じておらず、第三者委が開かれない状態が続いている。…以下略

(山梨日日新聞 11/13)

阿部 「お仕事ある中、お時間取っていただきありがとうございます。早速ですが、私はこの記事を読んで、何か悪意のようなものを感じたのですが」

家族 「悪意というより、この件については私たちは、新聞記事で知りましたので、一体何が起きているんだろうというのが本音です」

阿部 「つまり、直接の当事者である被害生徒を含め家族は知らなかったのに、日日新聞は知っていたということですか?」

家族 「私達は、委員の名前は家族にだけ開示する意向があるというメールは13日にもらいました

阿部 「13日というと、ちょうどこの新聞記事が出たところですね」

家族 「そうなんです。13日の新聞を読んで初めて知りました

阿部 「つまりマスコミの方が当事者より情報が早く来たということですか?」

家族 「そういうことになります。そもそものところで、私どもの主張とは異なりますし、なんでわざわざこれを新聞記事にしたのかもわかりません」

阿部 「市教委の担当者とは連絡は取り合っているのですか?」

家族 「メールや電話で連絡はあります。携帯の番号も知っているので、直接かかってくることもありますが、仕事中や運転中などそういう場合は出られません」

阿部 「当然ですが、伝えるだけならメールでも十分ですよね?そういうものもなかった?」

家族 「ありません」

阿部 「でも13日には動きがありましたよね?それをお聞きしたいのですが」

家族 「はい、13日の日中突然北杜市の井出部長鈴木指導監小澤指導主事と他市教委の誰か2人が自宅を訪ねてきました。当然、私達が仕事をしている時間帯です」

阿部 「アポなし訪問はこの場合、あり得ない方法ですね。そもそも社会人としてもちょっと自分の時間すら無駄にしていることの証明みたいなものですから。対応したのは、おじいちゃん?」

家族 「そうです。そこで、第三者委員会のことや今後のことを話し合いたいと言われました。ですが、一人で対応するのは良くても、決断はできませんから、ちゃんとメールなり電話をして日時を決めてやりましょうということにしてお引き取りいただきました」

阿部 「よくあるのですが、第三者委員会も教育委員会の事務局も人が働いているということを理解していないのではないかという動きをしますね。平日の昼間に突然訪問してきたり、呼び出そうとしたり、教員もそういう人がいますが、それに応じないと、問題に対して真剣味がないという話をしてくる。それは、子供を人質に取って、仕事と子供どっちが大事?という究極の選択をさせようとしているに近い悪行だとしようとする。それで、出た記事がこれですか?

第三者委の氏名家族に開示意向
いじめ問題で北杜市教委

 

北杜市内の中学校に通う女子生徒がいじめ被害を訴えた問題で、市教委は15日、第三者委員会の委員名を開示することなど伝える文書を家族宛に発送した。市教委によると、文書では、家族の要望などに基づき、市内在住の人権擁護委員と民生委員の3名を外し、市外在住者に限定したことを説明。家族が公表するように求めていた委員名についても、家族に限り、閲覧を認めることを知らせている。

(中略)

13日に担当者が生徒宅を訪れたが、家族に伝えられなかったことから、文書を配達証明付きの郵便で発送することとした。

(山梨日日新聞 2018年11月16日)>

家族 「ええ、そうです。これじゃ、まるで、私たちが何かの妨害をしているように感じます」

阿部 「私もそう受け取りました。何かの意図があるのか?第三者委員会をやるのに被害家族側には不都合があるように読み取れてしまう

家族 「かなりショックでした。ああ、こうやって悪者にされいくんだろうなと」

阿部 「以前、私はジャーナリストの上杉隆さんの『ニューズオプエド』という番組に出演したとき、記者クラブなどがあるとそこと権力側がくっ付く、記者は情報が欲しい。権力側は世論の情報源であるメディアの声を変えたいとなって、真実を伝えようとすると排除されるという内容を聞きました。まさに、そう言うことなのかな?ですから、これはちょっとやり過ぎでしょ?ちゃんと被害家族にも取材しようよって思いましたね。こんなこと言うと、私も叩かれそうですが」

家族 「そうならないで欲しいと思っています。信じたいという気持ちはあります」

阿部 「市教委は市議会でも問題として取り上げられないように、注意書きを13日に出しています。そこには、被害家族にのみ委員の氏名を開示するが、守秘義務を課すとあります」

(市議会に釘を刺した文書の一部)

家族 「それは市教委から届いた文書にもありました。なぜそんなに公開を渋るのか、全く理解できません。私たちは、中立公平な第三者委員会を求めています。中立公平を担保するのは透明性ですから、委員は公開するのが普通だと思っていました。インタビューをしている阿部さんに質問をするのはどうかな?と思うのですが、第三者委員会のメンバーを公開しなかったことってこれまでありますか?」

阿部 「私が知り得る範囲ではありませんね。なぜ秘密にするのか、それは隠蔽をしたいからというようにしか思えません。それに、被害者側の推薦を受けて、委員を構成するというのがフェアですし、それでも、教育委員会の権力は強いので、取り込まれてしまう委員もいます。だから、メンバーを公開しない事態が論外です。それを、ちょっと被害者側がうるさいし、報道されちゃったから、じゃあ、被害者側だけにちょっとだけ見せるよ、でも黙ってな、というのは、もはや開き直りだと思いますね。とても幼稚で稚拙権力的で無能です。こういうのを聞くと、私は探偵ですからご家族以外からでも情報を取って公開しちゃおうって思うんですよね」

家族 「やはり、論外なのですね」

阿部 「ええ、守秘義務を課すというのも論外です。ならば、私が暴きますよ。というか、この場合の法律家は●●弁護士さんですし、県教委からも人を入れますね、●●さん、情報は漏れてます。今からいじめ防止対策推進法の本をアマゾンで買っても遅いですよと、付け加えたいですね。(※公開すると、刑事民事共に訴えると聞き及びましたので、●●としました)」

家族 「え?そうなんですか!?」

阿部 「結局、メディアの方が情報を早く知る、これは、市教委がメディアに意図して教えていたり、うるさくなってきた市議会を黙らせるために文書を出すから、漏れているということですが、私のような探偵が情報を引き抜くということは、市教委が被害者にも家族にも寄り添えていない結果ですし、彼らは一枚岩でもないということです。もはやご家族に守秘義務を課しても無駄ですね。私が暴いてしまうから。それで支障が出る第三者委員会なんて聞いたことがないです。だって、じゃあ、調査結果を告げたり公開する場合、その委員は出ないんですか?となります。それって市民の税金で運営するんですよね?誰が動いたか、それも隠すんですか?となる」

ここからは北杜市いじめ事件について、被害家族が北杜市教育委員会に何を要望したのかを改めて質問したい

阿部 「そもそもに戻りますが、ご家族として何を市教委に要望したのですか?」

家族 「それについてはちょっと長くなりますが、まずはきちんと第三者委員会の委員が誰かを教えて欲しいということ。文部科学省の資料でも法でも、職能団体からの推薦理由などを求めているのでそれを教えてくださいということを言っています。公表しないという理由も具体的に教えてくださいと言いました。あとは、私たちは教育委員会の方々から第三者委員会の方々はよく知っている信頼できる人だからと言われました。だから、未だに重大事態だと認めていない教育委員会の影響を受けるということを心配しています」

阿部 「つまり、あの職業と所属があるだけの紙を見せて、この人たちはよく知る人で信頼できる人だから、名前は開かせないけど信頼して第三者委員会にGOサインを出してくれと言われたんですよね」

(北斗市教育委員会担当者が被害家族に示した第三者委員会の資料)

家族 「はい、そうです。だから、これでは何とも言えませんとなりました」
阿部 「当然だと思います。私が気になったのは、この問題に関わっている市教委側の指導主事の中に、問題のあった中学校の元教諭がいることです。人事交換で指導主事を拝命しているということですが、普通は関係者は外しますね」

家族 「知っています。もう何が何だかわかりません」

阿部 「文部科学省のガイドラインによれば、『調査組織については、公平性・中立性が確保された組織が客観的な事実認定を行うことができるよう構成すること。このため、弁護士、精神科医、学識経験者、心理・福祉の専門家等の専門的知識及び経験を有するものであって、当該いじめの事案の関係者と直接の人間関係又は特別の利害関係を有しない者(第三者)について、職能団体や大学、学会からの推薦等により参加を図るよう努めるものとする』とありますね。つまり、被害家族としては、このガイドライン通りにきちんとフェアにやってくださいねと頼んでいる。けれど、もう始めっから、中立公平なんていうのはない状態で、市教委に従わないのは悪ということで進んできた。実際、『次の手はどんな…』というメールの際は、文科省の指導が入っていて、仕組みとしては、文科は県教委(山梨県教育委員会)にしか指導が入れないから、県教委から市教委への指導ということで、文科省としては異例中の異例を北杜市教育委員会がやっているから、ちゃんとやって!と言いに言った、その時のメールですね」

(山梨県教育委員会担当者が北杜市教育委員会指導監に送ったメール)

家族 「とてもショックでした。ああ、やっぱり敵視されているんだなと思いました。それについては謝罪も何もありませんでした。理由すら聞いていません」

阿部 「それです。あのメール問題の際、すぐに記者会見しています。市教委は初めから、記者会見などでは頭を下げますが、被害者にも被害家族にも謝罪も何もしていないんですよね。記者会見で頭を下げるとまるで、被害側に頭を下げているように感じますが、あれは世間に向けて謝っているということで、被害者側だけが置き去りにされてしまう。他に要望したことはありますか?」

家族 「守秘義務です。なぜマスコミの方が知っていてそれを私たちが知らないのか。その情報は全て北杜市教育委員会から記者の方に渡された情報です。私たちには守秘義務を課すと言いますが、それってどうなんでしょう」

阿部 「本来公務員には守秘義務があります。これを破るのはダメですね。でも、破っていますよね、彼らは。全くもってして不可解極まりないですね」

家族 「自分たちのことを新聞で後から知るという状態です。何のために、メールで教育委員会の方とやり取りしたり、電話を受けたりしているのか、理解できなくなるときがあります」

阿部 「後から知ると、裏切られたような複雑な気持ちになりますね」

(続く)

第三者委員会のあり方について

一部の新聞記事によれば、まるで被害者側がゴネている印象を受けるが、その実はその逆であった。第三者委員会の構成については、近々話し合いが持たれるということであるが、それについても話し合いになるかというところも怪しいものである。

本件については民放の報道機関も取材に入っていますが、北杜市教育委員会による取材拒否を受けている。正直に報道されると、不都合なことでもあるのだろうか。

北杜市の堀内教育長は「1日も早く第三者委員会を開きたい」と言っているが、その前に、透明性という中立公平の基本となる担保をした第三者委員会をまず設置すべきであるという前提に問題があることをすっ飛ばしてはいけない。

記憶に新しい日本体操協会のパワハラ問題でも、塚原夫妻と関連深い朝日生命に近い委員は第三者委員会を辞めているのだ。これは関係性や利害関係を排除することで、第三者委員会が中立公平であることを最も重要視するから起きることであって、これを秘密にするというのは、その前提にも立てていないことを意味する。

被害家族にも守秘義務を課すというのも異例中の異例だ。こんなことがまかり通って良いのか、この現代社会に…。日本は法治国家であり民主主義国家、発言の制限を公がするということ自体ナンセンス極まりないし、基本的人権という概念があるのか問い正したいところだ。

編集後記

山梨で教員をやっている友人がいます。彼は前回の記事「いじめ自殺未遂に開き直り。教育委の呆れた逆ギレと逃げた北杜市長」に即座に反応しました。「恥を知れ、何をやっているんだ!と言いたい」そう言っていました。

読者の方からも意見もらいました。

北杜市市長は前市長が後継者を!という際に色々な人から断れて仕方なくなった人だから、そもそもがどうしようもない人物なんだよと、政治家としてもアドリブきかないから、議会なんかすぐ逃げちゃうからね。ということでした。

今回NHKさんが記者会見から逃げる市長を追ったのも、いつものことを映像にしただけのようです。

北杜市在住の方からも意見がありました。

移住組ですが、差別・村八分がすごくて、移住組は移住組としか付き合えない状況になっていますとのことでした。太陽光の問題もあったそうで、それに市議が関わっていたもんだから、結果モヤモヤで終わってしまったということで、ここはそういう土地なんだと諦めるしかないという空気が流れているそうです。

諦めは権力者の横柄しか生みません。前回も編集後記には書きましたが、絶対に見逃してはいけない問題は、相手がたとえ権力者、権力ある組織だとしても「お前らのやっていることは違う」という必要があります。

私を見てください。無償で被害者の元へ行き、家族の話を聞き、もしかしたら、私がターゲットにされるかも知れないのに、事実を書きますし、対決もします。

私が代表理事を務めるNPO法人ユース・ガーディアンは、理事会決議に基づき、北杜市いじめ自殺未遂事件における第三者委員会に被害家族である母親と祖父を委員として推薦する推薦状を発行しました。被害家族が委員となることは異例ですが、委員となっているケースもあります。これは最大の中立公平を保つ対策であると私は考えます。

山梨県の人間でも団体でもない私がここまでやっています。さて、山梨県民は?北杜市民は?戦うときに逃げ出すだけではなく、動かない人間は、意気地なしで卑怯者です。

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image by:Ebiebi2 [CC BY-SA 3.0], via Wikimedia Commons

阿部泰尚この著者の記事一覧

社会問題を探偵調査を活用して実態解明し、解決する活動を毎月報告。社会問題についての基本的知識やあまり公開されていないデータも公開する。2015まぐまぐ大賞受賞「ギリギリ探偵白書」を発行するT.I.U.総合探偵社代表の阿部泰尚が、いじめ、虐待、非行、違法ビジネス、詐欺、パワハラなどの隠蔽を暴き、実態をレポートする。また、実際に行った解決法やここだけの話をコッソリ公開。
まぐまぐよりメルマガ(有料)を発行するにあたり、その1部を本誌でレポートする社会貢献活動に利用する社会貢献型メルマガ。

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