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罰則はどうなる?有給休暇取得のルールは4月からどう変わるのか

今年の4月から有給休暇に関する取得ルールの改正が行われ、使用者側の義務も増えるようですが、皆さんの会社、準備は整っていますか?社労士の飯田弘和さんは今回、自身の無料メルマガ『採用から退社まで! 正しい労務管理で、運命の出会いを引き寄せろ』で、使用者側が対応しなければならない新ルールのポイントをきめ細かく解説しています。

御社では、有給休暇取得の新ルールに対応していますか?

過去に何度かお話しているように、今年の4月から有給休暇取得に関するルールが変わります。今回は、私が多く受ける質問事項について解説していこうと思います。

新しいルールとは次のようなものです。

すべての事業所において、年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対して、年次有給休暇の日数のうち年5日については、使用者が時期を指定して取得させなければならない。

パートさんなどで、1週間の所定労働時間が30時間未満で、かつ週の所定労働日数が4日以下の方については、有休の付与日数は比例付与になります。勤続年数の短いパートさんや週1~2日しか勤務しないパートさんなどについては、「年10日以上の有休が付与される労働者」に該当しません。したがって、これらの方については、有休の年5日分について、使用者が取得させる義務はありません。あくまで、年10日以上の有休が発生する労働者が対象です(これには、前年からの繰り越し分は含みません)。ちなみに、管理監督者であっても、この対象労働者になります。

いつまでに5日の有休を取らせなければならないかというと、有休を付与した日から1年以内ということになります。有休付与日が平成31年3月31日以前であれば、その付与日から1年間については、新ルールは適用されません

有休の取得のさせ方ですが、まず使用者が労働者から取得希望日を聴きます。これは義務となっています。この希望日を尊重しつつ使用者が有休取得日を指定します。この指定日については、必ずしも労働者の希望通りでなくても構いません

もし、使用者が有休取得日を指定する前に、労働者が自ら有休を5日以上取得した場合には使用者は取得日の指定はできません。また、使用者による有休取得日の指定について、半日単位での指定はOK。時間単位年休での取得はダメということになっています。

さらに、年末年始や夏休みなどの特別休暇を与えているからといって年次有給休暇を取得したということにはなりません。ですから、これらの日数は「年5日の有休取得」にはカウントされませんので注意してください。

それと、「有休管理簿を作成し3年間保存することが義務付けられました。この有休管理簿については、決まった雛形があるわけではありませんが、以下の項目を盛り込む必要があります。

  1. 有休を付与した日
  2. 有休の付与日数
  3. 有休を取得した日

新ルールに違反した場合には罰則の適用がありますが、労基署では、原則として是正に向けた指導を行い改善を図っていくこととしているようです。余程悪質でない限り、いきなり罰則が適用されるということはなさそうです。そうであっても、新ルールに適合するよう準備を怠らず、社内のルールを整備して、法改正に備えてください。

以上を踏まえて、改めてお聞きします。

「御社では、有給休暇取得の新ルールに対応していますか?」

image by: Shutterstock.com

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【著者】 飯田 弘和 【発行周期】 週刊

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