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NYで働く日本人女性が、たった2ヶ月で「すっぴん」出勤になる理由

ファッションにおいても最先端の街というイメージがあるニューヨーク。しかし、メルマガ『NEW YORK 摩天楼便り-マンハッタンの最前線から-by 高橋克明』の著者で、米国の邦字紙「NEW YORK ビズ!」CEOの高橋克明さんは、「ニューヨーカーはダサい」と一刀両断。高橋さんのオフィスで働く女性もファッションに無頓着。そしてかくいう高橋さんも、着るものはワンパターンだとか。ニューヨークのファッション事情はいったいどうなっているのでしょうか?

ダサいニューヨーク

実はニューヨークってダサいんです。東京の方がずっと洗練されている。雑誌に載っているスタイリッシュな人はごく一部。『セックス・アンド・ザ・シティ』のような人はおそらく統計でいうと10%もいない。

世界中から人が集まっているので、流行がひとつではない。ニューヨークは実は「先端」ではなく、「多様性」なんです、とは、以前インタビューしたNY在住の芸術家、千住博さんの言葉。なので、日本のように全員が同じトレンドを追いかけて、それに乗り遅れたら「古い」と言われなくても済むというメリットはあります。

アメリカに比べて日本が嫌いという意味ではなく、日常生活の中では僕は東京に住んでいなくてよかったと思うことがあります。東京に住んでいたら、ひょっとすると今日もファッション誌をチェックして、雑誌に載ってるようなおしゃれな隠れ家的ダイナー(笑)に通って、流行りのアパレルを追いかけていたかもしれない。そう考えると、世界中の人間が集まって好き勝手なトレンドを追いかけている、もしくは追いかけなくていい、ニューヨークは楽かもしれません。

30年前のならともかく、一昨年のワールドシリーズのTシャツを着てたり、ケミカルウオッシュのジーンズにぴっっかぴかの真っ白なスニーカーを履いてたりの確かに、信じられないくらいダッサイ格好のニューヨーカーは日常的に目にします。全身スーツに野球帽は日にひとりは目にします。

もちろんおしゃれな人は、東京人以上におしゃれですが、無頓着な人は、栃木県民以上に無頓着です(怒られるぞ、オレ)。

ターバン被ってるインド人タクシーの運転手や、全身黒づくめ衣装で真夏でも目付近しか露出していない中東の女性もいっぱいいるので、そこまで人のファッションに注目してる人も少ないのかもしれません。そういった意味では自由です。みんな好きな格好をしている。逆に気をつけなければいけないのは、あまりに自由なので、在米期間が長くなればなるほど、無頓着になっていくこと。

先日、日本からインターンとして入社した20代の女性は、とても綺麗な身なりで、着ているもの、髪型にも気を使っている今時の子。「日本から来ました、って感じだな」と面接終わりに、うちの社員たちにつぶやくと、「最初の1ヶ月だけですって」と、髪の毛輪ゴムで留めてる編集の女性社員。「2ヶ月目から、どうせすっぴんっすよ」とサンダル履いたデザイナーの女性社員。確かにふたりも、というか、みんな最初はあんな綺麗な格好をしていたなぁと思いを巡らせていました。

そういう僕もファッションには必要以上の時間はかけません。キリがないからです。朝、着る服を考える時間が勿体無いと、スティーブ・ジョブズが毎日同じ格好をしていたのは有名な話ですが、僕自身もそこに時間と能力をかけるのが無駄に思えてしまいます。

ジャケットはネイビー、シャツは白かブルーと決めている。で、フォーマルなビジネスシーン以外では、ノーネクタイに第一ボタンを外す。もう、それがユニフォーム。春夏秋冬、素材は変わるけど、色は変わりません。もう何年も一緒です。お店も同じ。行きつけのバーニーズニューヨークは僕が行くと、いつものでいいか?とだけ言って、サイズを測ってくれます。

身に付けるものもすべてここ数年一緒です。靴はクロケット&ジョーンズというイギリスのブランドで黒と茶色のストレートチップ。財布はバリーの赤いラインの入ったやつ。香水はD&Gのライトブルー。一見、すべてブランド品で固めているように見えますが、それが理由じゃありません。定番だからです。定番は、すり減ったり、なくなったりした時に、また入手可能だからです。まったく同じのでいい。ただのユニファームにパワーも時間も使いたくない。

ファッションにうるさい人には「なんてつまんない」と言われるかもしれません。でも、もともとファッションセンスなんて皆無だし、ファッションで個性を出すという感覚自体が僕にはない。お金を出せば、もしくはスタイリストに頼めば、誰にでも得られる個性はもはや個性とは思えないだけです。

一番無難なネイビーのジャケットは、ピアノの演奏で言うなら、課題曲。一律のその課題曲を着て、どうやって個性的に演奏(仕事)するかという方が僕にとっては重要です。ちょっとだけ乱暴な言い方になりますが、トレンドを追わなくていい時間だけ、その時間を夢に使える。

あくまで個人的な意見ですが、ニューヨークの方がダイレクトにむき出しで夢を追える。一番大切なことに時間を使える街でよかったと思っています。

image by: Monkey Business Images, shutterstock.com

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全米発刊邦字紙「NEWYORK BIZ」CEO 兼発行人。同時にプロインタビュアーとしてハリウッドスターをはじめ1000人のインタビュー記事を世に出す。メルマガでは毎週エキサイティングなNY生活やインタビューのウラ話などほかでは記事にできないイシューを届けてくれる。初の著書『武器は走りながら拾え!』が2019年11月11日に発売。

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【著者】 高橋克明 【月額】 初月無料!月額586円(税込) 【発行周期】 毎週水曜日

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