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入浴だけじゃない!飲んでもカラダにいい温泉「飲泉」のススメ

入浴以外の温泉利用といえば、「温泉卵」や「温泉饅頭」などが思い浮かびますが、元『旅行読売』編集長の飯塚玲児さんがメルマガ『『温泉失格』著者がホンネを明かす~飯塚玲児の“一湯”両断!』で紹介するのは、温泉のお湯を飲む「飲泉」です。泉質によって病気の改善も期待でき、食事もより美味しくなるというさまざまな効用を、注意事項とともに教えてくれます。

「飲泉=温泉を飲んで」健康になる!

温泉は入浴するだけでなく、湯を飲む、つまり“飲泉”をすることで療養効果があることをご存じだろうか?本メルマガ読者の多くにとっては常識なんだろうが、案外一般の旅行客はその効用をご存知でない方が多いようなので、今回は飲泉についてざっくりと解説をしてみたい。

環境省指針(平成26年)では、温泉を飲用する際の適応症(いわゆる効能)の掲示基準を、泉質別に定めている。これは環境省のHPなどでも読むことができる。心地よく温泉に浸かるとともに、湯を飲むことで「糖尿病」や「痛風」、「ドロドロ血」にも改善効果が期待できるとなれば、積極的に実践したいところだ。

ただし、どんな湯でも飲んで良いというものではない。同指針では「温泉飲用の1回の量は一般に100~150ml程度とし、その1日の総量はおよそ200~500mlまでとすること」、「15歳以下の人については、原則的には飲用を避けること」、「飲泉は決められた場所で、源泉を直接引いた新鮮な温泉を飲用すること」など注意事項があるほか、温泉成分ごとの細かな飲用量の規定が定められている。

これは書いているとものすごい分量になってしまうのでかいつまんで解説すると、たとえば高血圧の人が塩分濃度の濃い温泉を大量に飲むと、当然これは体に悪いことになってしまう。こうした飲用の定めに関しては、温泉施設の飲泉場などに掲示されている注意事項を参考にするといい。

また飲泉する場合は、湯口から湧き出したばかりの新鮮で清潔な湯を飲むことも大切。循環ろ過式の温泉などは、湯口からでもけっして飲んではならない。

クセのない単純温泉などでは、温泉で炊いたご飯や、温泉粥を出してくれるところもある。焼酎の温泉水割などを味わうことができる宿も少なくない。

ことほど左様に、いいことづくめのような「飲泉」だが、温泉は“良薬口に苦し”というものが少なくない。苦いだけではなく、渋い、塩からい、鉄臭いなど、総じてそんなにおいしいものではないことの方が多い。僕の大好きな『花山温泉 薬師の湯』の湯なんぞは、おそらく日本一まずい温泉だと思う。

その一方、飲泉によって胃腸が刺激され、その後の食事がいっそうおいしくなるということもある。飲泉は原則として食事の30分程度前にするのが良いとされている(例外もあり)のは、そうした意味もあるだろう。

そうしてこの季節、旅先で待ち受けているのは冬~早春の味覚である。越前や山陰ではカニが解禁を迎えて旬の時季だし、山に行けば体を芯から温める根菜類がうまい。もうしばらくすると山菜の季節も始まる。

知人の栄養士によると旬野菜は旨味が濃く、栄養価も高いという。ほうれん草のビタミンCは、旬以外の時期の2~3倍、キャベツのβカロテンも2倍といわれ、これらの栄養素は抗酸化を促進する力があるそうである。

魚介類にも、ほど良い脂が乗る時季だ。魚の脂としてよく知られるDHAやEPAは、不飽和脂肪酸の中でも、とりわけ健康に良いとされるオメガ3脂肪酸である。これらは血管をしなやかに強くして中性脂肪を減らす、悪玉コレステロールを減らし、善玉コレステロールを増やす、などの効果があるとされている。

さらに、免疫力アップ効果がある温泉旅の「転地作用」を促進させてくれるのが、土地土地の旬の幸なのである。「普段は食べない料理」を「旅先で味わう」事によって、非日常性をおいしく楽しめる、これがストレスを軽減させてくれるのに役立つわけである。

温泉施設や宿の浴室で、湯口にコップが置いてあることがあるが、こういうところはお湯がフレッシュであり、循環していない名湯である、ということでもある。入浴前の水分補給にも、ミネラルを豊富に含んだ温泉を飲むのは大いにオススメできる。

そんなわけで、飲みすぎない程度に、温泉を飲んで健康になりましょう。僕なんぞは糖尿で痛風でドロドロ血なので、積極的に温泉を飲むようにしている。

ちなみに、「糖尿病」「痛風」にいいのは「炭酸水素塩泉」、「ドロドロ血」つまり「高コレステロール血症」に良いのは「硫酸塩泉」「含よう素泉」である。メタボな同志の方々、がんばって温泉を飲みましょう!

image by: Poh Smith, shutterstock.com

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【著者】 飯塚玲児 【月額】 初月無料!330円(税込) 【発行周期】 毎週水曜日or木曜日配信 発行予定

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