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なぜ日本は「愛国心」と口にするだけでファッショと言われるのか

どの国でも、学校は子どもに「国を愛すること」の大切さを教えます。そんな「当たり前」をおろそかにしているのは、日本だけかもしれません。今回の無料メルマガ『致知出版社の「人間力メルマガ」』では、「授業道場 野口塾」主宰の野口芳宏氏と中村学園大学教授の占部賢志氏との対談を通して戦後の教育史を振り返るとともに、「教育の根幹」について考察しています。

日本の教育をミスリードする2つの罠

長年にわたって学校教育に携わり、いまなお志ある教師の育成などに尽力する野口芳宏さんと占部賢志さん。お二人の対談は現在の教育問題に始まり、教育再建の提言にまで及びました。

本日はそんなお二人の対談の中から、いまの日本の教育を形づくった背景についてご紹介します。

国家百年の計 野口芳宏(授業道場 野口塾主宰)×占部賢志(中村学園大学教授)

野口 「私は日本の教育を語る場合、忘れてはならないのが、戦後の占領政策だと思っています。いわゆる『ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム戦争についての罪悪感を日本人の心に植えつけるための宣伝計画)』によって日本人は精神的な価値観を骨抜きにされました。

アメリカは日本に仕返しをする、いじめるという方法ではなく、表向きは日本を大事にするという姿勢を見せながら、反感を抱かせないように少しずつ少しずつ蝕んでいった。日本人を根無し草にするという作戦を見事に成功させたんです。日教組だけでなく文科省までも籠絡されていったのは、まず、間違いないでしょう」

占部 「最近では、それに加えて欧米からの新自由主義の流れも大きく影響するようになりましたね。1980年代のレーガン、サッチャーの教育改革はよく知られていますが、その成功の一因に新自由主義がありました。つまり、教育に市場競争の原理を持ち込んだんですね。それが成果を挙げることもあるわけですが、逆の場合は無残な状態を招きます。

日本は20世紀末から21世紀にかけて、それを無批判に取り入れてきました。先ほどから出ています多様なカリキュラムを取り揃えて選択させる『多様性』などはまさに新自由主義を象徴するような考えです。

そして、新自由主義の最後の狙いが小中学校を自由に選択できるようにすることなんです」

野口 「占領政策で崩壊しかけた秩序の上に、新自由主義の嵐が吹き込んで、さらにおかしくなってしまった図式ですね」

占部 「その通りです。新自由主義が取り入れられた背景には国際競争に打ち勝つ人材を育てることがあり、その流れの中で2020年からは小学校で英語が教科として教えられることになっています。

これはいまの政府の方針なんでしょうが、一方で英語教育の安易な低年齢化に頼らないで、国際社会を逞しく生き抜いていける子供の育成方法もあるのです。『日本のこども大使育成塾』のプログラムは私なりのアンチテーゼの取り組みなんですね」

野口 「そのように考えていくと、日本人は様々な呪縛から解放されて、国家あっての国民という意識を一刻も早く回復しなくてはいけないと痛感します。私たちは皆、国家に守られているわけですが、アメリカの政策によって尊敬する国家を蔑ろにし、愛国心という言葉を口にするだけでファッショと言われるようになってしまった。皆でいい国家を築き上げていこうという思いは教育の根幹なんですよ。

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image by: Shutterstock.com

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【著者】 致知出版社 【発行周期】 日刊

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